3章 ポアロの仕事は思った以上
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倉山 紅那(くらやま くれな)
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「キミは警戒心がなさすぎるようだな。いくら彼が公安警察で安全だとはいえ、理由がない行動はしない」
いつの間にか変声機は切られ、声が赤井さんに戻っている。
でも確に、安室さんは私がこの世界に来てから親切にしてくれた人物の一人。
それに公安警察でもあるから警戒なんてしていなかった。
安室さんは公安の仕事で日々動いている。
赤井さんが言った言葉も、安室さんの性格を考えれば当然だ。
全ての行動には理由がある。
だから警戒しなくてはいけない。
人に危害を加えるまねはしないとしても、組織での役割は探り屋。
私の行動一つで沖矢さんの正体を知られかねない。
そんなことすら考えず私は、安室さんと沖矢さんが接触する状況を作ってしまった。
「すみません。これからはもう少し注意します。沖矢さんの正体が知られたら大変ですから」
「どうやらキミは鈍いようだな」
「え?」
何か私は間違ったことを言っただろうか。
赤井さんは私から離れると「安室君とはあまり二人きりになるな」と言い残し自室に行ってしまう。
何だか赤井さん、少し怒っているように思えた。
でも当然だ。
安室さんは悪い人ではないし、私を信じてくれてもいるみたいだけど、私の些細な言葉から沖矢さんの正体がバレてしまう可能性もありえる。
沖矢さんのことを考えるなら、これからは安室さんと二人きりになるのはなるべく避けて、遅くなるときはしっかり沖矢さんに連絡をしよう。
独り暮らしの生活が長かったせいで、連絡なんてすっかり忘れていた。
でも今は、連絡もなく遅くまで帰らないと心配してくれる人がいる。
沖矢さんには悪いけど、それがなんだか嬉しい。
私は鞄を自室に置くと、着替えとタオルを手に脱衣所へ行きお風呂に入る。
シャワーだから30分くらいで出てくると、私は自室に戻り鞄から新のスマホを取り出す。
スマホのランプが点滅してることに気づき電源を入れると、コナン君からメールが来ていた。
内容はコナン君の番号とアドレス、そして「何かあったら連絡してくれ」という一文。
私のスマホには新たにコナン君が加わり、登録が終わるとベッドに横になる。
スマホは枕元に置き、瞼を閉じると明日のことを考えた。
明日は梓さんにお礼を伝えて、安室さんからはメニューの料理を教わる。
早く仕事を覚えて慣れなくてはと考えているうちに、私の意識は夢の中へと落ちていく。
翌朝。
アラームで目を覚ました私は、顔を洗い歯を磨くと朝食を作る。
食べ終わり後片付けをしたあと時計を見ると、昨日と同じ6時頃。
鞄を持ち、まさか今日はいないよねと思いながらそっと扉を開けて門の前を見るが、車は止まっていない。
安室さんとはなるべく二人きりにならないようにすると決めたのだから気をつけなくては。
トリップしてきたときは、交番を見つけるために少し歩いたけど、それ以降は安室さんや沖矢さんと車で移動していたから、こうして歩いたことなんてなかったかもしれない。
私はスマホを鞄から取り出すと、現在地からポアロまでのナビを出す。
この時間、人や車通りが少ないとはいえ歩きスマホは危ないから、立ち止まりナビを見て進むを数回繰り返す。
目的地についたのが6時30分。
ゆっくり歩いたから少し時間はかかったが、ここまで迷うことなく来れた。
今日歩いたことで場所も把握でき、明日からは普通に来れそうだ。
安室さんや沖矢さんに迷子を心配されて、本当は自分自身も少し不安だった。
ナビはあるものの、向こうの世界でも使ったことはなくて、自分が方向音痴かどうかもわからなかったから。
これで、自分が方向音痴でないことがわかって安心。
でも早くついてしまったから、お店は開いているだろうかとガラス越しに中を覗く。
すると中にはすでに梓さんの姿があり、私に気付いた梓さんが笑顔で手招きをしている。
中に入ると、梓さんが嬉しそうに私に歩み寄って来て「あの日以来よね。私は榎本 梓です。これからよろしくね」と言われ、私も自己紹介をする。
トリップしたその日にここで少年探偵団のみんなに聞かれて名乗ったから梓さんも知っていると思うけど、やっぱり新人としてしっかり挨拶しなくては。
「もう少ししたら安室さんも来ると思うから、紅那ちゃんは奥でエプロンに着替えてきてもらってもいいかな」
「わかりました」
鞄をロッカーに入れ、エプロンをつけると店内に戻り、私はテーブルを拭く梓さんにマスターの件のお礼を伝える。
「気にしないで、丁度人手が欲しかったところだから。それに、安室さんやコナン君の知り合いみたいだから安心できると思ったの」
安室さんとコナン君の信頼度は高いなと思いながら、私も開店の準備を手伝う。
少しして安室さんもやって来て、7時になると札をOPENに変え、今日の仕事が始る。
今はまだお客さんがいないので、私は昨日話した通り安室さんにメニューの作り方を教わっていた。
料理を安室さんに教わり、珈琲は梓さんが教えてくれる。
珈琲といっても一回の量や種類もあるから、お家で買った物を淹れるのとは違う。
混みだしてくる時間帯は皆忙しくてそんな暇はなかったけど、お客さんが落ち着いているときには教わった料理を作って二人に味見をしてもらう。
そして安室さんから合格を貰う度に、その料理をお客さんが注文したら私が作るを繰り返す。
メニュー全てを作るとなると、味見をしてくれる二人も大変だけど、私が教わった料理はよく注文を受ける物のみ。
教えてもらっていない物は他の人が作るから問題ないとのこと。
そして今日のランチタイムは、男性のお客さん数人が梓さんに特製カラスミパスタを注文していた。
安室さんから聞いた話だと、梓さんの作る特製カラスミパスタが刑事さんの間で評判になり、常連客になって頻繁にお店に通ってくれているみたい。
梓さんを見る男性の視線が、女子高生達が安室さんを見ている時と同じに感じるから、料理を食べるだけが目的ではなさそうだけど。
それにアニメで見たことがあるけど、グルメ雑誌で梓さんのことを「美人店員の梓さん」と書かれていたから、美男美女で本当にお似合いの二人。
とはいえ見てる感じ、二人に恋愛ムードは感じられず、従業員仲間という接し方。
安室さんの恋人はこの国って本人が映画で言ってたくらいだから、そういう人は恋愛より仕事優先なんだろうなと思う。
そんなこんなで時間は過ぎ、閉店作業をしていると、二人が私の覚えがいいことを褒めてくれた。
安室さんも、まさか私が本当に一日でここまで出来るとは思っていなかったらしく驚いていて、何だか嬉しいような恥ずかしい気持ちになる。
一応料理は人並みに出来る方だとは思っていたけど、まさか教えてもらった物を全て一発合格するとは自分でも思わなかった。
昨日は二人だけで忙しかったせいか、今日は昨日ほど疲れてはいない。
それどころか出来る事が増えて楽しいくらい。
着替えて三人外に出ると、私は今日のお礼と「お疲れ様でした」の言葉を伝えて二人と別れようとしたそのとき、聞き慣れた声が聞こえ視線を向ける。
するとそこには何故か沖矢さんの姿。
折角安室さんと沖矢さんが接触することがないように注意しようと決めたというのに、沖矢さんが来ては意味がない。
だが沖矢さんがすること、きっと何か意味があるに違いない。
「沖矢さん、どうしてここに?」
「そろそろ仕事を終えて出てくる時間かなと思いましたので、迎えに来ました」
そんなことを言うものだから、梓さんが何だかキャッキャッとしだした。
きっと、付き合っているんじゃ、とか思っているに違いない。
変に誤解されるのも後々大変だと思い、沖矢さんと一緒に暮らしていることを話すと「もうお二人はそんな関係なんですね」なんて更に誤解が誤解を生んだ。
沖矢さんと恋人同士に思われるなら正直嬉しいけど、このままでは沖矢さんの迷惑になる。
それに、誤解が広まったり、仕事で会った時に梓さんから質問攻めに合いそうな未来しか見えない。
きっと広まるとしたら少年探偵団辺りだと予想できてしまう。
同棲といっても梓さんが考えているようなものではないことを伝えなくてはと思っていると、沖矢さんが口を開いた。