「優しいね」と言ってみた
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リタ
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※リタは後輩です。
■ガルゥ
ガルゥ先輩は、魔術開発師団の団長。
団員に対して優しくて、私はこの師団に入ってよかったと思ってる。
団員の中には、私と同じ問題児クラスのジャズくんもいて、私は良い悪魔達に恵まれているみたい。
「ガルゥ団長、先生の情報を提供いただけませんか」
今私は、問題児クラスの皆と教師の判を集めている。
事の始まりは、同じクラスの入間くんが悪周期になり「城に移るぞ」と言った一言。
元々私達問題児クラスの教室は最悪な環境だった。
そこで、王の教室であるロイヤルワンへの移動願いを申し出たところ、教職員全員の判を三日以内に集めることが条件とされた。
ガルゥ団長は教師とも仲が良く、私とジャズくんは情報提供を頼みに来ている。
とはいえ教師の情報を何の見返りもなく渡すほど甘くはない。
最初はアスモデウスくんが「私の炎提供と引き換えにしてまいります」なんて入間くんに言っていて、私はそれを止めた。
確かにガルゥ団長は、アスモデウスくんの上質な炎を欲しがっているけど、教室移動のために定期的に炎を提供するなんて見過ごせない。
正直、それ以外に方法はないと思うけど、一度私に任せてもらいたいと言えば、入間くんは頷いてくれた。
上手くいかなかったときはアスモデウスくんの案でいくといわれているから引き下がれない。
一人より二人のがいいだろうとジャズくんもついてきてくれて二人で頼んでみるけど、無償での提供に頷く気配はない。
私が引き換えに出せるものと考えたところでそんなものあるはずもなく、このままだとアスモデウスくんの案になってしまう。
「あー、わかった。だからそんな顔すんなって」
「俺も不安気な表情作ってたのに酷くないっすか」
「お前は演技だろ」
どうやら不安な気持ちが表情に出ていたみたい。
ジャズくんは私だけなのが納得いかないとブーブー言ってるけど、情報提供してくれるということは私だけでなくジャズくんを含めた問題児アブノーマルクラスへの協力を意味する。
つまりは、私とジャズくん、後輩の為ということ。
「ガルゥ団長は優しいですよね。私、ガルゥ団長が団長で良かったです」
ニコリと笑みを浮かべれば、何故か顔を伏せてしまう団長。
どうしたんだろうと思っていると、ジャズくんが団長に近づき何やら耳打ちしてる。
何を話したのかはわからないけど、バッと伏せてていた顔を上げて慌てる団長と笑うジャズくん。
団長と視線が重なったけど直ぐに逸らされ「今紙に書いて用意するから待ってろ」と言い残し師団バトラ室の奥へ行ってしまう。
「見返りなしで団長に協力させるなんてことできるのリタちゃんだけだろうねー」
ジャズくんの言葉の意味がわからず首をかしげれば「無自覚なのが怖いよな」と言われ更に首が傾く。
しばらくして団長から紙が渡され、改めてお礼を伝えれば「優しい団長だもんなー」と言ったジャズくんの言葉で「用が済んだなら行った行った」と追い払われた。
優しいって言葉が照れくさかったのかなと思いながら二人入手した情報を手に教室へと戻る途中、ジャズくんが紙の内容を見て驚いていた。
かなり細かく書かれていたみたいで「優しいって言われたのがよっぽど効いたんだな」って私を見てニヤリと笑う。
■アミィ・キリヲ
キリヲ先輩は普段通りのおっとりとした雰囲気を纏い「優しいなんて初めて言われたわぁ」と言いながら自分の左耳に付いた耳飾りを指で触った。
その仕草さえ色気を感じてしまうのは、相手が悪魔だからなのか先輩だからなのかはわからない。
私にとって悪魔の先輩はキリヲ先輩だけで、優しいと思ったのも本心からの言葉だけど時々先輩が怖く見えるのは何故なのか。
今見ている先輩が全てではないような不安を感じていると、心地良い声が耳に届く。
「どないしたん?」
「い、いえ、少し考え事をしていて」
覗きこまれ近づいた距離に驚き顔を逸し答えれば、いつも穏やかな瞳が鋭く私を捉える。
「何考えてたんか話してみ」
「大したことではないので」
先輩が時々怖いなんて言えるはずがない。
それも、今が正にそれを感じるときなんだから尚更話せるわけがない。
部室にはキリヲ先輩と二人きり。
早く入間くん達が来る事を願っていると頬に添えられた手の感触に顔を上げる。
「その顔、めっちゃええわぁ」
重なった視線。
キリヲ先輩の瞳に映るのは怯える私。
私の瞳に映るのは興奮して頬を上気させる先輩。
優しさによって隠されていた素顔を見たと知ったとき、私の頭は真っ白になった。
歪んだ笑みは先程までのおっとりとした先輩とは別悪魔のようで、それでも確かに私が優しいと思った先輩本人。
本当の先輩はどっちなんだろうと別の悩みができてしまう。
「また考え事してはるなぁ。僕にも話してみ」
声は優しいのに何処か別の期待を秘めているのを感じ、その先輩の欲に触れたいと思った。
開きかけた口は部室の扉が開かれる音で閉じることができたけど、もし入間くん達が来ていなかったらどうしていたのか。
キリヲ先輩の欲に触れていたらどうなっていたのか。
それ以上考えるのはやめた。
私の中ではまだ、優しい先輩なのだから。
《完》