「優しいね」と言ってみた
名前変更
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リタ
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※リタは問題児クラスの生徒。
■アンドロ・M・ジャズ
私は頭を撫でられている。
何で「ジャズくんって優しいよね」って言ったら撫でられてるのかわからない。
嬉しそうに顔をニヤけさせて頭をワシャワシャされるから髪はぐちゃぐちゃ。
「やっぱリタは可愛いよなー」
「ちょっと、私はジャズくんの妹じゃないんだよ」
ジャズくんにはお兄さんがいるけど、そのお兄さんをジャズくんは嫌っている。
もし自分に弟か妹がいれば優しくするのになんて最初の頃言ってたけど、まさかその妹ポジションに私が置かれるとは思わなかった。
そんなジャズくんに恋してるわけだけど、妹ポジションになってしまった私が何を言っても「可愛いなー」って言われるだけ。
告白だって何度もしたのに「俺も好きだぞー」って返ってきて本気にされてないのがわかる。
確かに私は周りの悪魔より小さいし人間の中でも小さかった。
まさか小さいからって理由が恋愛の障害にまでなるなんて思いもせず、ジャズくんとよく話してるリードくんに相談したら「身長っていうか、本当に気づいてないの?」なんて言われて予想外のショック。
身長以外に子供っぽく思われる原因があるなんて思わず、どこなのか聞こうとしたらジャズくんに捕まって強制的に会話終了。
「リードと何話してたの?」
「教えない」
ジャズくんの足の間に座らされ、背中からキュッと抱きしめられる。
周りにいる皆なんて視線逸してるよ。
本当の兄妹でもここまでしないだろうとムッとしていたら「俺の事好きなんだろ」なんて耳元で甘く囁かれて鼓動が跳ね上がる。
今までとは違う低い声に見上げれば、ニッとイタズラっぽく笑うジャズくん。
「もしかして私の気持ちに──」
「気づいてないとでも思ったわけ? 俺は最初からリタに言ってるだろ。好きだってさ」
確かにジャズくんからも何度も好きって言われたけど、それは妹ポジションの私に対してだと思ってた。
「誰がリタのこと妹なんて言ったわけ。俺はいつだってリタだけに優しいつもりだけど」
思い出すけどジャズくんは一度も私を妹なんて言ってない。
つまり今までの言葉全て異性に対するもので、私が普段ジャズくんが優しいって感じていたのも妹として見られていたからじゃなく異性として見られていたから。
理解した途端に顔が熱くなる。
自分の顔が赤い事は鏡を見なくてもわかるから顔を伏せれば、頭上から聞こえる笑い声。
リードくんが言っていた言葉も今ならわかる。
あのときリードくんが言っていた『身長っていうか、本当に気づいてないの?』っていうのは、ジャズくんの気持ちに気づいていないことに対してだったんだ。
私とジャズくんの会話は周りに聞こえてるはずなのに誰一人驚かないのが何よりの証拠。
気づいていなかったのは私だけだったってことに恥ずかしくて消えたくなったけど、きっと今も笑ってるこの悪魔は逃してくれないだろう。
■シャックス・リード
理由はわからないけど「リードくんって優しいね」って言ったら固まったまま動かなくなった。
顔の前で手を振るけど無反応。
数回声をかけても反応はなく、耳元で名前を呼べば、バッと私から飛び退くように離れ声をかけた方の耳を両手で押さえこっちを見てる。
「ごめんね。反応がなかったから」
擽ったかったのかなと思い謝罪をすれば「ありがとうございます」と何故か蹲りながら敬語で感謝を口にするリードくん。
本当に彼はどうしたんだろう。
もしかして耳が弱点で知られた事が恥ずかしかったとか、他の悪魔に話されたらとか思ってるのかもしれない。
とくにリードくんとよく話してるジャズくんはそんな事知ったら揶揄ってきそうだから。
「大丈夫、この事は誰にも言わないから」
「え? なんの事」
伏せていた顔を上げたリードくんの肩に手を置き「何も言わなくていいよ」といった雰囲気で私は頷きその場を去った。