「優しいね」と言ってみた
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リタ
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※リタは生徒です。
■オリアス・オズワール
言われ慣れてますといわんばかりに「ありがとう」と言ってウィンクをされた。
こんな明らかに遊んでますと顔に書いてある悪魔のどこがいいのかわからないけど、オリアス先生に思いを寄せる生徒は多い。
そんな生徒をふった現場を見てしまったわけなんだけど、女子は泣いて走り去って行った。
私の存在に気づいていた先生に「そこに居るでしょ」と言われ姿を表せば、先生はいつもと変わらない表情で「見られちゃったかー」と軽く言う。
そんな悪魔を私は嫌い「優しいんですね」と皮肉のつもりで言ったのにウィンクが返ってくるとは。
「生徒を子供扱いしてませんか? 子供の恋だって」
「そんなことないよ」
飄々とした態度にイラッとする。
私はさっきの会話を全て聞いていた。
だから知ってる。
先生がなんて言ってふったのか。
生徒と教師だから恋愛は出来ない。
それが一番の答えだと思う。
なのに先生は『ごめんね。君のことそういった風に見てないんだ』って、何で希望すらないと突きつけるのかわからない。
相手が子供だから真剣に向き合わなくてもいいと思っているのだろうか。
考えれば考えるほど嫌いという気持ちが湧き上がる。
「先生からしたら私達は子供ですが、子供だって傷つくんです」
「そうだね。だからこそ、教師と生徒だからって言葉で片付けられないんだよね」
その言葉にハッとした。
傷つかないように、希望を与えるようにするんじゃなく、自分の気持ちを正直に伝えることで傷つくとしても叶わない希望を見せるよりはいいと考えていたんだ。
軽そうな先生だと思っていたのに、生徒のことを考えていたんだと知って心の中で謝罪する。
「あれー、もしかして惚れちゃったりした」
「それはないです」
キッパリ言った言葉に「残念」と言葉を漏らしその場から去る先生。
残った私は一人思う。
惚れたりなんてしたら他と同じようにふられるだけだと。
先生の優しさは、気づいていながら気づかないふりをしていた。
本当は最初から好きだったのに、それを無理矢理嫌いに変えようとしたけどもうダメみたい。
先生の言う通り私はずっと先生に惚れている。
それでもこの気持ちを口にすることはない。
希望はないと知っているから。
■バルス・ロビン
瞳を大きく開き「え! 僕優しい」なんて聞き返されて頷けば頭を撫でられた。
優しいって言われたことがそんなに嬉しかったんだろうか。
ロビン先生はいつも明るくて笑顔が絶えないけど、一点集中する性格と軽そうに見えて真面目な性格がその笑顔を怖くさせることもある。
ついこの前テストで苦手な教科の相談に行ったとき「それじゃあ今日から授業以外は下校時間まで勉強しよう」なんて言い出して本当にさせられた。
休みの日も勉強をするようにって私だけ大量の宿題が手渡されて、その量が半端じゃない。
学校がある日は授業以外下校時間までロビン先生と勉強。
休みの日は大量に出された宿題で徹夜が当たり前。
お陰で今日返されたテストは赤点回避できたわけだけど、もう二度とロビン先生に相談しないと心に決めた。
でも、そんな辛い日々も全ては私のためにロビン先生がしてくれたことだ。
授業以外の時間をつくってくれたり、わざわざ休みの日の宿題まで作ってくれていたんだと考えると生徒思いの優しい先生なんだと思う。
やり過ぎなところはあるけど。
テストの結果報告と感謝を伝えに行ったとき「ロビン先生って優しいですよね」と思ったことを口にしたら冒頭の反応が返ってきて頭を撫でられている。
髪はもうぐちゃぐちゃだけどやめてくれる様子は無い。
「あのー、そろそろやめてほしいんですが」
「遠慮なんてしたらダメだよ。テストの順位も良かったし、教師としてしっかり褒めないとね」
優しいなんて言うんじゃなかったと後悔するけど、先生を見ていたらつられて私まで嬉しくなる。
「次のテストは更に上を目指して頑張ろうね」
「え!? まさか次のテストも……」
「勿論今回以上に勉強するよ」
笑顔でサラッと恐ろしいことを言う先生が本当に優しいのかわからなくなってきた。
次は成績上位に入って位階昇級が目標とか言い出すロビン先生。
赤点回避できればよかったのに、私が何を言おうと先生の耳にはもう届かない。