「優しいね」と言ってみた
名前変更
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リタ
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※リタは生徒です。
■ナベリウス・カルエゴ
眉間の皺が濃くなったけど、これは驚いているのか呆れているのか、はたまた怒っているのか。
カルエゴ先生は表情だけじゃ読めないから困る。
先生相手に「優しいですよね」なんて言ったから、気分を害したんだろうか。
「貴様、今までの私を見てよくそんなことが言えるな」
溜息を吐かれ言われたけど、これは怒ってるんじゃなく呆れてるみたい。
確かに陰湿なところもあるけど生徒思いなところもあって、ただ素直じゃなくて不器用な悪魔なんだと思う。
「私には優しく見えるんですよ」
「まるで私が貴様にだけ優しくしてるような言い方だな」
「ち、違いますよ!」
先生の言葉で恥ずかしくなり慌てて否定すれば、反応を楽しんでいるのかカルエゴ先生が少し笑う。
一瞬の表情に鼓動が跳ね上がり「やっぱり陰湿教師ー」と捨て台詞を吐いてその場から逃げ出した。
■バラム・シチロウ
嬉しそうに「ありがとう」なんていう先生はやっぱり言われ慣れてるんだろうか。
先生が優しすぎて自分が人間であることをうっかり話してしまったということもあったくらいだし、他の生徒や教師からも優しいなんて沢山言われてきたんだろうな。
「カルエゴくんには甘すぎるって怒られるんだよね。でも、こんな風に褒めてくれたのはイルマくんとリタさんだけだよ」
嬉しそうに話す先生を見ていたらこっちまで嬉しくなる。
言われ慣れてるとばかり思っていたけど、あんな風に普段通り返事が返せるのは大人だからなんだろうか。
私なんて先生に『リタさんは優しいね』って言われたとき顔が熱くなって隠すのが大変だったのに。
先生は気づいてないだろうけど、時々感じる年の差は私の胸をきゅっと締め付け苦しめる。
叶わない恋だ、諦めろと突きつけられているみたいで辛い。
「先生は優しいのに、皆気づかないんですね」
「自分じゃわからないけどもしそうだとしたら、君が気づいてくれてるから僕はそれで充分だよ」
その言葉だけで私の胸を締め付けていた苦しみは消えてしまう。
やっぱり子供で単純だけど、いつか私も先生の心臓を締め付けることはできるだろうか。
■ダンタリオン・ダリ
目の前には固まるダリ先生。
こうなると私も反応に困る。
落としたハンカチを先生が拾ってくれたから、いつも揶揄われるお返しと思い「ありがとうございます。ダーリンってば優しいー」なんて言って受け取ったらこの反応。
ダーリンっていうのはダリ先生のあだ名で、一部の生徒は普通に呼んでいる。
普段私はダリ先生呼びだから普通に冗談で言ってることくらいわかると思うんだけど。
「もう一回言って」
「え?」
聞き間違いだろうかと思って首を傾げる私に同じ言葉が返ってきた。
流石に二回目は聞き間違えるはずもないけど、真顔で言うものだから怖い。
「あの、冗談で──」
「もう一回」
これは言うまで逃げられそうにないと思い観念してもう一度同じ言葉を言おうとするけど、真っ直ぐに私を見てくるものだからさっきと違って恥ずかしい。
冗談で言った言葉をなんでまた言わなきゃいけないのか。
サッと言って終わらせればいいのに上手く言葉が出ず口をパクパクしていると、プッと吹き出したダリ先生がお腹を抱えて笑い出す。
「あはは、今の反応良かったよ」
揶揄ったはずが揶揄われ返されたことに気づきダリ先生を睨むけど、気にする様子もなくケラケラ笑っているこの悪魔には一生勝てそうにない気がする。