喧嘩しました
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
リタ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※リタは問題児クラスの生徒です。
■ナベリウス・カルエゴ
カルエゴ先生の機嫌がずっと悪くてどうしたのか尋ねたら「自分の胸に聞いてみるんだな」なんて言われて喧嘩になった。
最初は生徒達の事で頭を悩ませてるだけだと思ってたけど、言葉からして私に原因があるみたい。
心当たりがなくて理由を聞いたけど話してくれなくて、頭にきた私は怒ってしまいそれから口をきいていない。
担任である先生とは必ず顔を合わせることになるけど、喧嘩してから私を一度も見ようとすらしないことにムッとすると同時に寂しくなる。
自分はカルエゴ先生の特別な存在なのかもしれないなんて自惚れていた。
先生が私に優しく見えたのも気のせいで、心を許してくれてるように思えたのも勘違いだ。
私は生徒で先生は教師。
特別な存在になんて最初からなれるはずがなかったんだ。
私もクラスの皆と同じ、カルエゴ先生を悩ませる問題児の一人にすぎなかった。
「おい」
突然の声に伏せていた顔をバッと上げると、目の前にカルエゴ先生がいた。
ホームルームはいつの間にか終わっていたらしく教室に生徒はもういない。
「貴様、何をボケっとしている」
「先生が悪いんですよ!」
口にした途端涙が溢れだす。
いろんな感情が渦巻いて心がぐちゃぐちゃでわけがわからなくて、なのに勝手に言葉が口から出る。
思わせぶりなことしないで。
怒ってるなら放っておいたらいいのに。
何で私を見てくれないの。
言ってくれなくちゃわからない。
「私を見てよ、っ!」
カルエゴ先生は私の腕を掴むともう片方の手で後頭部を押さえ自分の胸に引き寄せた。
なんでこんなことするのかわからない。
だから勘違いしちゃうんだよ。
「はぁ……。悪かった」
吐かれた溜息に謝罪の言葉。
視線を上に向ければ、眉間の皺をいつもより深くしたカルエゴ先生の姿。
だけどその表情は怒っているというより苦しんでいるように見える。
「いかなるときも厳粛でなければいけない私が一人の生徒相手にこのザマとはな」
言葉の意味が理解できずにいると「涙が止まったなら速やかに家へ帰れ」と言われ温もりが離れる。
結局怒っていた理由もさっきの言葉の意味もわからずじまいだったけど、帰り際に「怒ってませんか?」って確認したら腕を組んだまま頷いてくれたから仲直りできたみたい。
私はカルエゴ先生にとってどんな存在なのか今は怖くて聞けないけど、明日の朝一番に先生に謝ろうと決めた。
まだまだ子供な私はきっと知らず知らずのうちに迷惑を沢山かけてるんだと思うから、怒らせてしまった原因はわからないから謝れなくても泣いて困らせてしまったことは謝りたい。
私も大人になればわかるだろうか。
先生が何を考え思っていたのか。
そして、先生の特別を望むこの感情の意味も。
■バラム・シチロウ
私は生徒でありながら、バラム先生と内緒のお付き合いをしている。
バラム先生は普段優しくて穏やかで、周りにほわほわとしたお花が飛んでいる感じの先生なんだけど、今日の朝は違った。
いつものようにまだ生徒が少ない早めの時間に登校して準備室にいるバラム先生の元を訪れた私は「おはようございます」と笑顔で挨拶。
いつもなら「おはよう」って笑みを浮かべて挨拶をしてくるのに先生からは何の言葉もなくて、もう一度挨拶をしても反応はない。
もしかして無視されてるんじゃないかと思った私は不安で抱き着こうとした。
なのに避けられた。
いつもなら私が抱き着くと頭を撫でてくれて、脚の間に座らせてくれるのに。
「酷いです……。私に飽きたんならハッキリ言ってくれればいいじゃないですか」
「違うよ!」
「何が違うんですか。やっぱりバラム先生にとって私はただの弱い人間なんでしょ」
準備室を飛び出して以降、私はバラム先生と顔を合わせていない。
まさかバラム先生と喧嘩するなんて思わなかった。
私の気持ちは本気なのに、私が子供だから、人間だからダメなんだろうか。
授業が終わり皆が帰った教室は静寂で、私の心に空いた穴に冷たく染み込む。
帰らなくちゃいけないけど動きたくなくて、もうバラム先生との関係は終わってしまうんだろうかと考えた瞬間涙で視界が歪み机に顔を伏せる。
「ここにいたんだね」
聞こえた声の主を間違えることなんてない。
別れを告げに来たんだろうか。
伏せている顔を上げずにいれば、頭に大きな手が乗せられた。
優しく撫でるその温もりに目頭が熱くなり堪えきれず泣く私は、必死に声を殺すけど嗚咽が出てしまう。
頭を撫でていた手は背に移動し、まるで小さな子をあやすようにポンポンと叩く。
「ごめんね。君を悲しませたかったわけじゃないんだ」
私が泣いている間、先生は今日の事を話してくれた。
最近バラム先生と私の噂が校内に流れているらしく、その件で昨日カルエゴ先生に尋ねられたバラム先生は「ただの噂だよ」と嘘をついた。
「今は小さな噂でも、それが大きくなれば見過ごせんからな」
学生時代からの付き合いであるカルエゴ先生の目は誤魔化せなかったらしい。
直接的な言葉でなくてもそれは忠告。
危険と隣り合わせの事をするなら、責任を持てという。
周りに迷惑をかけること、何より私との関係を続けるためにバラム先生は私と適切な距離を保とうとした。
その結果、上手く距離感が取れず無視をする形になったり、抱き着こうとした私から避けることになったそうだ。
嫌われたわけでも飽きられたわけでもないと知った私の涙はいつの間にか引っ込み、頬についた涙を手で拭うと顔を上げる。
気をつけていたつもりだけど、噂の原因は私にもある。
だから、これからどうするか二人で話し合いたい。
でもその前に、朝の事を私も謝らなくちゃ。
もう喧嘩なんてしたくないから。