人の欲も無限
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リタ
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ここ、悪魔学校バビルスには、二人の人間がいる。
悪魔サリバンが孫を欲しがり、両親により悪魔に売られた二人の人間。
最初は一人と考えていたが、なれない環境で一人は可哀想だと判断し、別々の両親から買い取った。
勿論私も入間くんも初対面だったけど、拒否できるような状況ではなかったため、私達はサリバンの孫で兄妹としてバビルスへと入学した。
最初こそ不安で一杯だったけど、今では悪魔の友達もできて楽しい毎日を過ごしている。
使い魔召喚の儀式では、入間くんがカルエゴ先生と契約したりなんて事もあった。
人間がカルエゴ先生の印が描かれた羊皮紙を使用すれば当然の結果ともいえる。
カルエゴ先生は入間くんの使い魔となったため、私が同じ印で描かれた羊皮紙で儀式を行っても勿論無反応。
悪魔が悪魔と契約したという話は学校中に知れ渡り、私の方は何も出なかった事が異例であることから、その事も噂となり名が知られる形になった。
その後はクラス分けがされ、私と入間くんは同じクラスになった事を二人で喜んだりと、入学から色々なことがあり今に至る。
学校に馴れるのは意外に早かったけど、初対面の相手をお兄さんと呼ばなくてはいけないのでそっちのが少し時間がかかってしまった。
最初の頃よく言われたのは、兄妹なのに似ていないということ。
私も思ったし、なんなら何故双子設定までついているんだと疑問に思った。
似てない兄妹だけならなんとでもなるけど、似てない双子はどうにもならない。
サリバンさんには「同じ人間って種族だし双子でも問題なし」なんて軽く言われたけど、今もそれで問題なくやってこれてるから悪魔は細かい事は気にならないんだなと自分を納得させた。
「リタ様、どうかなされましたか?」
「少し考え事をしてただけだよ。それよりも、その様付はやめてほしいな」
私を様付するこのイケメンくんは、アズくん。
入学式の日に兄さんと決闘をして負けた彼は、負けた相手、つまり入間くんの配下となった。
そんな兄さんの妹だからと、私まで様付で呼ばれるのは何とかしてほしい。
何度言っても「それはできません」と断られ続け、今日も同じ様に断られた。
「リタち、リタち! リタちの使い魔ってどうなったの?」
「儀式からかなり経っちゃったけど、今日改めて別の先生とする事になってるよ」
明るく声をかけてきたのはクララちゃん。
目を離すとおかしな行動をしてるから、アズくんからいつも怒られている。
勿論二人も他の生徒達や教員も、私と入間くんが人間だとは知らない。
唯一知っているのは、私達を両親から買い取った悪魔、サリバンさんと、そのSDSDキュリティデビルのオペラさんだけ。
私達が人間であることを知られれば食べられてしまうと、サリバンさんから最初に聞かされていたため隠している。
「リタ、着いてこい」
何て、今まであったことを振り返っていると、担任のカルエゴ先生に呼ばれ後を追う。
着いた先は、前に使い魔召喚の儀式を行った場所。
何度試しても、カルエゴ先生の印が描かれた羊皮紙じゃ無駄なんだけどなと思っていたら、儀式の間に誰かいるのが見えた。
「シチロウ、後は任せた」
それだけ言って去ってしまうカルエゴ先生。
シチロウと呼ばれたこの悪魔が、今回の儀式を任されたんだろうか。
「初めまして。僕はバラム・シチロウ。空想生物学担当の教師をしてるんだ」
バラム先生の話によると、生物などについて自分が詳しいため、カルエゴ先生に頼まれたらしい。
つまりは丸投げということなんだろう。
印が描かれた羊皮紙を渡されたので、一回目と同じ様に自分の血で羊皮紙に円を描き、陣に入ると中央のロウソクにくべる。
すると、突然床が光だし、使い魔が姿を現した。
見た目は可愛い鳥さん。
カルエゴ先生ではないみたいだけど、一体私は何の悪魔と契約したんだろう。
取り敢えず儀式は成功ということで後ろを振り返るが、そこにバラム先生の姿はない。
まさか儀式の途中で何処かに行ったのではと思っていると、前から声が聞こえる。
ついさっき聞いた声に視線を戻すと、ふよふよと飛ぶ鳥さん。
「まさか、僕が使い魔になるとはね」
「え……もしかして、バラム先生!?」
驚く私に鳥の姿でバラム先生は核心をつく。
魔界でいう空想生物学とは人間のこと。
そんな先生が気付かないはずがなかった。
カルエゴ先生の印が描かれた羊皮紙を使用した入間くんがカルエゴ先生を使い魔にし、バラム先生の印が描かれた羊皮紙を使用した私はバラム先生が使い魔。
ここまで来ると答えは一つ。
私と入間くんが人間だから描かれた印の悪魔が出てきてしまった。
バラム先生は私の目の前でパタパタと羽ばたきながら自分の考えを説明し、その考えが正しいのか私に答えを求めている。
ここで否定しても状況証拠では黒。
入間くんには悪いけど、ここは正直に話すしかない。
食べられないことを心の中で祈りながら、私は「はい」と頷く。
その瞬間元の姿に戻ったバラム先生はグイッと私に近づき「本当だね? 嘘はいけないよ」と凄い勢いで再確認してくる。
「は、はい。バラム先生がおっしゃるとおり人間です」
ハッキリと口にすれば、バラム先生はよろよろと後退り、床にバタンッと大きな音を立て倒れてしまった。
慌てて駆け寄り声を掛け手を伸ばすと、ズズズッと距離を取られてしまう。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫。いや、大丈夫じゃないかもしれない。緊張して」
まさか緊張していたとは思わず、食べられたら、何て考えていたさっきまでの自分が少しおかしくなる。
バラム先生は私と少し距離を取りながら準備室に案内すると魔茶を淹れてくれた。
力が強いせいか、慎重に湯呑みに魔茶を淹れる姿は少し可愛らしく見えてつい口元が緩む。
「あの、この事は内緒にしていただけますか?」
「勿論だよ。でも君はもっと注意すべきだ。気付いたのが僕だったからいいものの——」
まさかのお説教タイムが始まり、しばらくの間準備室にいたわけだが、話を聞いていてわかったことがある。
それは、バラム先生は凄く優しい先生だということ。
お説教の内容も、全て私を心配するもであり、一つ約束を交した。
バラム先生が私の使い魔であることは誰にも話してはいけないし、知られてはいけないという内容。
他の生徒は珍しいで済むかもしれないが、バラム先生の様に気づく悪魔が現れる可能性を避けるため。
「兄さん……入間くんには話してもいいですか?」
「今現在、君を人間だと知っている悪魔になら逆に話しておいた方がいいね」
こんなにも真剣に考えてくれている先生に、私はお礼を伝える。
そんな私を見て「君は僕が怖くないのかい?」と尋ねられキョトンとしてしまう。
最初に見た印象は、髪が長いなと思った程度。
人間だとバレた時は別の意味で怖くはあったけど、バラム先生を怖いとは一度も思っていない。
使い魔の姿も可愛くて、話したら優しい悪魔だってことを知って、怖いどころか初めて安心できる悪魔に出会ったとさえ思う。