また皆で笑いたい
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リタ
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♡─ス・キ・魔─♡
ここ魔界には、一から十までの位階がある。
位階は悪魔の評価であり魔界の全て。
でも僕は、生まれつき魔力が少なかった。
魔具研究師団の部長である僕やけど、団員は僕一人やった。
今回の新入生勧誘も期待なんてなんもしてへんかったんに、彼女との出会いで四人の新入団員が入った。
彼女はおトモダチやゆうて、イルマくん、アズくん、クララちゃんを誘ってきてくれた。
でも不思議やった事がある。
なんで彼女は魔具研に入ってくれたんか。
師団は位階にも影響してくる。
慎重に選んで入る悪魔が普通で、正直他の師団に入団した方がいいはずや思う。
「そういえば、リタちゃんは何でうちの師団に入ってくれたん?」
まだ他の三人が来てない時に尋ねれば、一瞬言葉に詰まる彼女。
何かを思い出すように少しの間を置いて「キリヲ先輩の野望が叶った世界を見たくなったからです」なんてゆうてくれた。
彼女と最初に出会ったのは、僕が荷物を運んどッた時や。
他の悪魔とぶつかて「何だ2かよ」なんて言われるんいつもの事やった。
一人で散らばった荷物を拾っていたら、一人の女の子が駆け寄ってきて手伝ってくれた。
「酷いですね。手伝いもしないで行っちゃうなんて」
「仕方ないんよ。僕は位階が低いからなぁ」
彼女はなんやムッとした表情をしとったけど、慣れてしもうた僕の為に彼女が代わりに怒ってくれてるんやと思ったら嬉しゅうて口元が緩む。
最初の出会いから君は他の悪魔と違った。
僕が野望を話したときも「素敵な野望ですね」なんてゆうてくれた。
同じ2だからやろか、僕は最初から彼女に惹かれとった気がする。
こんな野望、高位階や他の悪魔達からしたら迷惑でしかない。
彼女やて一年生で2。
これから位階は更に上がってくはずやのに、まるで興味ないみたいにゆうたんや。
「僕の野望に興味があるんやね」
「はい。私に何か手伝える事があったら言ってくださいね」
彼女の嘘のない笑顔を見ると嬉しゅなって、口元が緩む。
ほんま不思議な子や。
一緒にいるだけで安らいでまう。
そんな中やってきたんは師団披露。
うちのスペースは他と比べて範囲は狭い一角。
周りの悪魔達が「物置師団」何てゆうとるけどそんなん気にならへん。
アズくんには「バカにされてるんですよ」なんて怒られてもうたけど、もう少しでここは混沌カオスになる事を考えると楽しみでしゃあない。
でも今はなだその時やない。
皆で出し物を考えとったら、不意にイルマくんが「花火」ゆうた。
リタちゃんはなんや知っとるみたいやけど、僕を含めた三人はさっぱりや。
イルマくんがゆうには、夜空に華を咲かせるらしいんやけど、それなら夜の方がええ思うてお泊り作業の申請を出した。
こうして泊まり込みでの花火制作が始まったわけやけど、実物を知らんもんを作るんは簡単やない。
説明だけやと限界もある思うとったら、イルマくんが書物を持ってきて見せてくれた。
実物はわからへんけど、絵だけでも派手なんがわかる。
ええもん教えてくれたわ。
これなら計画も更に派手に綺麗に出来る。
この絵を参考に花火作りを開始したんはええんやけど、また爆発させてもうて、吐血していた僕に「大丈夫ですか」ゆうて驚いたイルマくんが声をかけてきた。
「僕には断絶があるから怪我はしてへんよ」
「断絶?」
「見せた方が早そうやね。そこ、触ってみて」
伸ばされたイルマくんの手が僕の断絶に触れる。
クララちゃんも体当りするけど弾かれてしまう。
これは僕の家系能力であり、この断絶のお陰で怪我をせずに研究ができていると話す。
その後、完成した花火を暗くなった空に打ち上げると、小さな光の華が咲く。
師団披露ではもっと大きな花火を打ち上げなあかんのやけど、取り敢えず完成は見えてきた。
ここで一旦作業は終了にして、そろそろ就寝。
と思いきや、枕投げが始まった。
チーム分けは、アズくんとクララちゃん。
イルマくんと僕。
余ったリタちゃんが僕らから距離をとろうとしてたんに気づいて腕を掴む。
「リタちゃんは僕達と同じチームでもええ?」
「ええ、構いませんよ」
「リタち覚悟してね」
余裕のあるアズくんとやる気十分なクララちゃん。
こんな風に皆と騒いだり、リタちゃんと一緒におれるんも最後や。
やっぱり笑顔の顔を見てから絶望に染まる顔が見たい。
とくにリタちゃんは最後を一緒に見るんやから。
「勝手に決めてしもたけどよかったやろか?」
「やるからには勝ちましょう」
何も知らんと二対三の勝負が始まる。
イルマくんは枕を見事に交わし、僕は魔具を使って枕を飛ばす。
クララちゃんは枕をどんどん家系魔術で量産して、アズくんはイルマくんに枕を全力投球。
ワイワイと楽しいお泊り会。
視線を向ければリタちゃんも凄く楽しそうに笑顔を見せている。
何を考えているのか柔らかな笑みを浮かべていた彼女めがけて枕が飛んできたのに気づき、僕は咄嗟に断絶を使う。
「勝負中に考え事しとったら危ないで」
白熱した戦いは暫く続き、終わった頃には皆ヘトヘトになって布団の上に倒れていた。
そろそろ眠らなアカンなぁ思っとったら、アズくんが明かりを消してくれた。
暗くなった空間に、光で照らされたクララちゃんの顔が浮かび上がり「悪魔怪談」なんてゆうものやからイルマくんとリタちゃんが驚いて声を上げとる。
そんな二人の後ろにおったら、吐血している僕を見て今度はクララちゃんも一緒に驚きアズくんが明かりを付けた。
「悪魔怪談懐かしいなぁ。昔先輩等とやっとったことがあるんやけど、吐血ばかりしてよう怒られとったわ」
なんて話をしとったら、僕のス魔ホの着信が鳴り出した。
一度皆から離れて通路で出れば、電話の主は兄さん。
内容は計画の話やったけど、そんな心配せえへんでもしっかり進めとるんに。
花火ゆうんいいもんも完成に近づいて、当日が楽しみやわ。
お泊り会も終わり、無事に花火も完成した師団披露前夜祭。
三年塔にある隠し部屋で僕は装置の接続をしとった。
本祭の鐘と同時に花火で爆破。
この日の為に、僕の首につけられた魔具に魔力をため続けてきたんや。
装置の準備も完了し、あとは花火を設置すれば完成。
そろそろ皆のところに戻ろなと思って扉の方へ向かったら、何故かリタちゃんがいた。
この隠し部屋の存在は今は僕しか知らへん。
偶然見つけたゆうところやろうけど丁度ええ。
この場所を最初から彼女が知っていればすんなり来てくれるはずやから。
でも、今計画を知られるわけにはいかへん。
だから僕はこの隠し部屋が前の魔具研の先輩達が使っていた場所である事を説明する。
その頃は、かなり危ない物も作っていたからここで隠れて研究をしていた。
今はガラクタばかりの墓場と化しとるわけやけど。
「こっちに来てみ」
こんな怪しい状況でも、なんの疑いもなくついてくるリタちゃん。
僕は大きな布で覆われた壁の前に立つと紐を引く。
布はバッと上に上がり、暗かった部屋に光が差し込む。
透明なガラスの向こうには、中央広場と本祭開始を知らせるための鐘が見える。
「あんぽんたーん」
突然叫んだら、リタちゃんがアタフタしとるんが面白いわ。
「特殊なガラスやから聞こえへんよ。向こうからは壁に見えるし」
彼女はガラスの向こうを見て、誰もこちらを見ていない事を確認するとホッとしていた。
「ここから見たら、誰が高位階で誰が低位階なんかちぃっともわからん。みぃんな同じ、差ぁなんかあらへん」
ガラスの向こうに視線を向けながら言えば、突然手を摑まれて「特賞を取りましょう」なんて言われた。
弱小だからこそ特賞を取ったら、高位階の皆もビックリするはずやなんて、ほんま彼女は凄いことをいいよるわ。
それが僕の野望に近づくことになるやないかなんてゆうてくれる彼女を見て、口元を緩める。