アナタは皆に優しくて
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
巫兎(みこと)
囚人番号:211
※囚人番号は固定となります。
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今日もここ、南波刑務所は平和である。
筈だったのだが、仕事中、看守であるはずの巫兎の姿が見えず、猿門一人で8房の囚人の鍛練を監視することになり、随分お怒りのようだ。
そんな猿門がやって来たのは休憩室であり、扉を開ければ、長椅子に横になっている巫兎の姿がある。
「やっぱりここに居やがったか!!何仕事もせずにサボってやがる!!」
「だって、別に私がいなくても猿門さん一人で足りてるじゃないですか」
そんな怒りを露にしている猿門にも、巫兎は平然と言葉を返す。
一応猿門は巫兎の上司となるのだが、誰が見ても明らかになめられている。
「足りてるとかの問題じゃねぇ!!俺だって仕事があんだよ!!それに、猿門じゃなくて猿門だッ!!いい加減覚えやがれッ!!」
「猿門でも猿門でも似たようなもんじゃないですか。それに、鍛練の監視くらいなら猪里猪里先輩に任せれば私はいりませんよね?あの人いつもサボってますし」
「お前って奴は……」
猿門が怒りにプルプルと肩を震わせていると、休憩室の扉が開き、3舎の主任看守であるキジがやって来た。
キジは休憩室に入るなり、横になる巫兎、肩を震わせる猿門を見て直ぐに状況を理解する。
「巫兎、アンタまたサボったのね」
「だって、私がいてもいなくても同じなんですもん」
キジにたいしてもこんな態度であり、普通なら問題とされるところだが、巫兎は本部が送ってきた人材だ。
話によればかなり優秀で仕事ができるようなのだが、ここにやって来てから全く働く気配はない。
「わかった……。そんなに仕事がしたくねぇなら、今日からお前は俺から離れることを禁じる!!」
「え?」
「それいい考えじゃない!猿と一緒に行動してれば逃げる隙なんてないものね」
まさかの展開に巫兎は驚きの表情を浮かべ、冗談だろうと思ったが猿門の目は本気だ。
だからといって巫兎は嫌がる様子もなく猿門の言葉を受け入れると、早速猿門の後に続き5舎へと向かう。
「あっさり受け入れたが、まさかこの俺から逃げられるなんて思ってねぇだろうなぁ?」
「そんなこと思ってないですよ。それより、これから何するんですか?」
「今から8房の様子を見に行くんだよ」
そう答えた猿門の後では、つまらなそうに欠伸をする巫兎の姿がある。
それからとくに会話もないまま8房へとやって来ると、猿門を見るなり筋トレをしていたリャンがこちらへと向き直る。
「猿門さん、先程は組手のお相手をありがとうございました!」
「おう!房に戻っても筋トレとは、流石2番だな」
猿門に褒められたのが嬉しいのか、笑みを浮かべながらこれくらい当然ですとリャンは答える。
そして他の二人はというと、こちらも猿門を見るなり集まりだす。
「今日は巫兎も一緒なんですね」
「ええ、俺から離れるなって猿門さんから言われてるから……」
珍しそうに尋ねてくるウパに、どこか意味ありげに答えると、それを聞いていたチィーが口を開く。
「えッ!?それってまさか、愛の告白!?」
「んなわけねぇだろうがッ!!コイツを一人にするとサボるから仕方なくだ!!巫兎、お前も変な言い方すんじゃねぇッ!!」
退屈でからかってやろうと思ったのだが、予想通りのいいリアクションに猿門の横ではクスクスと巫兎が笑っている。
叱られてもなんともないといった様子で巫兎ははーいと返事をすると、何か面白いことはないかとキョロキョロする。
すると、不意にチィーと目が合い、猿門達に気づかれないように手招きをしている。
何だろうかと3人が話に夢中の隙にそっとチィーの元へと移動する。
「どうかしたの?」
「ちょっとアンタに頼みたいことがあんだけど」
何だろうかと言葉を待つが、チィーの意外な頼み事に、巫兎は別に構わないけどと返事をする。
「マジで!?やった!!流石巫兎ちゃん、話がわかってくれて助かるぜ」
「まぁ、猿門さんなら了承しないだろうしね」
「ああ、もうすでに頼んだんだけど断られてさ……」
そんな会話をしていると、そろそろ行くぞと猿門さんに呼ばれ、3人にまたねと挨拶をして8房を後にした。
その途中、チィーと何を話していたのか猿門に聞かれたが、秘密ですと巫兎は誤魔化す。
それから翌日のことだ、今日も猿門と一緒に行動をしていた巫兎だったが、唯一一人になれる休憩時間だというのに何故か休憩室に巫兎の姿はない。
休憩時間に直ぐに姿を消したため、休憩室に直行したのだと思っていた猿門は不思議そうに首を傾げる。
「キジ、今日はアイツ、まだ来てねぇのか?」
「アイツって巫兎のこと?そういえば見てないわねぇ」
先に休憩室へと来て爪の手入れをしていたキジに聞くが、やっぱりまだ今日は休憩室には来ていないようだ。
なら巫兎は何処にいるんだろうかと猿門が思っていたとき巫兎は、5舎の8房にやって来ていた。
「はい、昨日言ってたサボテン」
「あぁ~サボテンちゃん、やっと俺の物に!!」
まさかチィーがこんなにサボテン好きだとは意外だったが、こんなにも喜んでもらえると巫兎も買ってきたかいがあるというものだ。
「チィーって、サボテン好きなの?」
サボテンに夢中のチィーには声がかけづらく、近くにいたウパに尋ねる。
「あの人はサボテンというよりは植物が好きなんですよ。僕は前に一族からの差し入れでサボテンを頂いたのですが、チィーがかなり欲しそうにしてましたから」
「そうなんだ」
囚人に看守が差し入れなんて、猿門に知られれば怒られること間違いなしだが、サボテンくらいなら問題もないだろう。
「巫兎ちゃんありがとうな!」
「いいえ。じゃあ、私は用事もすんだし行くね」
植物が好きなら、今度はお花を持ってこようかなと考えながら8房を出ると、巫兎は休憩室へと向かう。
扉を開ければそこには、猿門とキジの姿があり、巫兎も椅子へと座る。
「お前、どこいってたんだよ」
「ちょっと用事がありまして」
「用事だと?休憩中にお前がする用事ってのはなんだってんだ?」
何やら巫兎を怪しんでいるらしく、猿門は探るように巫兎に尋ねる。