本命チョコのお相手は?
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
巫兎(みこと)
囚人番号:211
※囚人番号は固定となります。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
巫兎が向かった先は、13舎11房だった。
11房の囚人は、囚人番号99番の九十九一人であり、そこに向かっている巫兎の本命は、九十九しかいない。
牢の鍵を開け中に入ると、そこにいるはずの人物はおらず、まさか脱獄かと思い房から出ようとする巫兎だが、突然背後から伸ばされた手に口を塞がれてしまった。
「拙者の忍術に気づかぬとは、巫兎殿もまだまだでござるな」
耳元で聞こえる声音に、巫兎の鼓動が高鳴ると、口を塞いでいた手が放された。
振り返れば、やはりそこにいたのは九十九であり、巫兎の本命の相手だ。
「いきなりなにするんですか!」
「すまない。誰かがこちらに近づいてくる音が聞こえたので驚かそうとしたのだが、まさか巫兎殿だったとは思わなくてな」
柔らかな笑みを向けられ、巫兎の鼓動が音をたてると、あることに気づいた。
先程まで手にしていたチョコが、なくなっていることに。
「これはなんでござるか?」
「あっ!!それは」
巫兎が気づいたときにはすでに遅く、九十九は床に落ちていた箱を拾い上げる。
どうやら、先程口を塞がれたときに驚いて落としてしまったらしい。
「もしやこれは、バレンタインチョコでごぞるか?」
「は、はい……」
もっとちゃんと渡したかった本命チョコだが、経緯はどうあれ、九十九に受け取ってもらうことができたと思った巫兎の前に、九十九が拾った箱を差し出した。
ぎこちない笑みを浮かべる九十九に、巫兎は首を傾げる。
「頑張るのでござるよ」
その言葉で、九十九はそのチョコが自分への物だと気づいていないことがわかった巫兎は、一度チョコの入った箱を受け取ると、改めて九十九の前にチョコを差し出す。
ちょとんとする九十九に、巫兎は頬を染めながら口を開く。
「受け取って、いただけますか?」
その一言でようやくわかったらしい九十九は、横を向くと、腕で顔を隠してしまう。
「ごめん、こういうの慣れてるはずだったんだけど、巫兎さんから貰えるとは思ってなくて」
九十九は、刑務所に入る前は有名な人気俳優であったのだが、アドリブは苦手のため、刑務所では忍者の役になりきっていた。
こうして素で話せる相手は、刑務所内では、13舎13房のジューゴと巫兎くらいなのだ。
「やっぱり、貰い慣れてますよね……」
今は刑務所の囚人ではあるものの、元は人気俳優。
チョコは貰いなれていて当然だとわかってはいたものの、やはり落ち込まずにはいられない。
「ごめん、えっとそういう意味じゃなくて……。巫兎さんから貰ったチョコは今まで貰ってきたものとは違うんだ」
素で想いを伝えることに慣れていない九十九は、必死で自分の気持ちを言葉にしようとしていた。
だが、やっぱり言葉で伝えるのは難しく、九十九は巫兎を腕の中に閉じ込めると、耳元で、今伝えられる想いを言葉に込め口にする。
「ありがとう。嬉しいよ」
その言葉1つで、巫兎は単純にも喜んでしまう。
ありがとうや嬉しいなんて言葉は、誰に対しても口にする言葉だが、九十九の言葉には、それ以上の想いが詰まっていることに巫兎は気づいているからこそ、こんなにも嬉しいのだろう。
「喜んでいただけてよかったです」
巫兎は九十九の背に手を回し、ぎゅっと抱き締める。
「チョコ、食べてみてもいいかな?」
「はい、勿論です」
離れる温もりに寂しさを感じつつも、お互いに抱き締める腕をそっと緩める。
九十九は、手にした箱のリボンとラッピングを綺麗に取ると、蓋を開け笑みを溢した。
箱の中に入っていたのは、手裏剣などの形をしたチョコであり、九十九は静かにいただきますと言うと、チョコの1つを摘まみ口へと運ぶ。
「うん、とても美味しいよ」
笑みを浮かべ言われた言葉に、巫兎まで笑みが溢れてしまう。
巫兎の休憩時間は残りわずかなのだが、そんなことすらも忘れてしまうくらいに、二人の時間はゆっくりと流れていく。
《完》