本命チョコのお相手は?
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
巫兎(みこと)
囚人番号:211
※囚人番号は固定となります。
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巫兎が向かったのは5舎だった。
だが、看守室には猿門どころか誰の姿もなく、巫兎は演習場に向かう。
演習場では、囚人達が鍛練をしているが、そこに猿門の姿はなく、かわりに5舎看守の八戒 猪里の姿を見つけた巫兎は、ベンチで寝転がり、雑誌を顔に被せている猪里に声をかけた。
「猪里さん」
「んぁ?なんだ、巫兎じゃねぇか」
起き上がる猪里に、猿門は何処にいるのか尋ねると、今は休憩中らしく、もう少しすれば看守室に戻ってくるらしい。
巫兎は猪里にお礼を伝え、看守室に行こうとしたのだが、鍛練を終えた5舎8房の囚人、囚人番号2番のリャンと囚人番号58番のウパが、巫兎に気づき声をかけてきた。
そして、もう一人、背後からやって来た人物に声をかけられてしまう。
「あれ?巫兎ちゃんがいるってことは、誰かにバレンタインチョコを渡しに来たとかだったりして」
振り返ると、そこには同じく5舎8房の囚人、囚人番号71番のチィーの姿があった。
チィーの言葉に、本当ですかと瞳をキラキラさせるリャンとウパに、渡すのは本命だけですとはいえず、どうしたらいいものか困ってしまう。
「お前らは囚人だろうが、看守が囚人にチョコを渡すわけねぇだろ」
困っている巫兎を助けてくれたのは、意外にも猪里だった。
猪里なら、囚人達と一緒になってチョコを欲しがりそうなものなのだが、とくにそういったこともないまま、猪里は囚人達を牢へと戻しにいく。
その去り際に、主任に渡すんだろと、口許に笑みを浮かべながら、巫兎だけに聞こえるように猪里は言うと、頬を染め、顔を伏せてしまった巫兎に頑張れよと声をかけ行ってしまう。
「猪里さん、知ってたんだ……」
このままここにいてもチョコは渡せないため、巫兎は5舎看守室に向かおうとしたのだが、時計を見ると、巫兎もそろそろ職務に戻らなければいけない時間だ。
「キジさん、ごめんなさい……!」
時間を過ぎたとしても、これだけは渡したかった巫兎は、5舎看守室へと向かう。
扉を開け中に入ると、そこには猿門の姿があり、息をきらしている巫兎にどうかしたのかと猿門は声をかける。
だが、そんな猿門の言葉も聞こえていないのか、巫兎は返事もせず猿門に近づいていく。
「受け取ってください!!」
差し出された包みに、猿門はキョトンとしているが、その頬はみるみる色づいていく。
「こ、これってまさか!!チョコなのか!?」
驚く猿門に、巫兎がコクリと頷くと、猿門は巫兎の手からチョコを受け取り幸せそうな笑みを浮かべながら、サンキューなと言う。
そんな幸せオーラが包み込む看守室だが、巫兎の視界に時計が映り込み、休憩時間が過ぎていることを思い出す。
「で、では、私はこれで失礼いたします!」
巫兎が慌てて看守室から飛び出し通路を走っていると、看守室に戻る途中の猪里と擦れ違ったのだが、どうやら気づかなかったらしく通り過ぎてしまう。
「上手く渡せたみてぇだな」
巫兎の表情を見て、猪里はポツリと呟くと、再び歩みを進めていく。
そして3舎に戻った巫兎は、キジに遅れてしまったことを謝罪する。
叱られると覚悟していたのだが、何故かキジのお説教はなく、そんなことよりも、チョコは渡せたのかとキジは巫兎に尋ねる。
「はい、渡せました」
「よかったじゃない!で、返事は?」
「え?」
首を傾げる巫兎にキジは、本命チョコを渡したってことは告白したも同然なんだから、返事を聞かなくちゃダメじゃないと、別の理由でお説教が始まってしまう。
そもそも、猿門があのチョコを本命として受け取ってくれたのかすらもわからないが、それでも、喜んでくれた猿門の笑顔を思い出すと、巫兎の頬は緩んでしまう。
「だから、って、ダメだわ。この子全く聞いてないわ……」
お説教されながらも幸せオーラを撒き散らす巫兎、キジは1つため息をつくと、そっと笑みを浮かべた。
《完》