本命チョコのお相手は?
名前変更
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【デフォルト名】
巫兎(みこと)
囚人番号:211
※囚人番号は固定となります。
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巫兎が向かったのは、彼がいるであろう喫煙所だ。
扉を開け中に入ると、やはりそこには巫兎の想い人の姿があった。
「珍しいな、お前が喫煙所に来るなんて」
その人物は、13舎主任、双六 一。
巫兎は煙草を吸わないため、喫煙所に近づくことはないのだが、今日は別だ。
背に隠しているチョコを掴む手に力が込められると、巫兎はハジメの目の前に立ち、手にしたチョコを差し出す。
「あ、あの!よければ受け取ってください!!」
可愛くラッピングされた小さな箱を目の前にし、ハジメの脳裏には、昨日の休憩室での会話が思い出される。
まさか、猿門のようなアピールもしていなかった自分にチョコが貰えるなど思ってもみず、煙草を持つ手が止まってしまう。
「ハジメ主任……?」
「ッ……それ、チョコだろうが、渡すなら本命だけにしとけ」
一見、冷静に見えるハジメだが、内心は動揺しまくっていた。
なんとも思わない相手からのチョコなら、ここまで心が乱されることはないのだが、ハジメにとって巫兎は、冷静でいられる相手ではない。
「あの、これ、本命なんですが……」
義理チョコだと思っていたハジメにとって、巫兎のその一言は、自分の耳を疑いたくなる言葉であり、煙草を床に落としてしまう。
なにもなかったかのように落ちた煙草を拾うと、床に落ちたことすら考えられなくなっているのか、ハジメはその煙草を口につけ吸う。
余程動揺しているのか、何度も煙草を吸うハジメに、差し出したままとなっているチョコの行き場がなくなってしまうと、巫兎はチョコを下げ、口を開く。
「チョコ……嫌いでしたか?」
しゅんっとする巫兎の手から、ハジメはチョコを奪い取ると、嫌いとは言ってねぇだろうがと、ぶっきらぼうに言う。
巫兎は、ハジメがチョコを受け取ってくれたことが嬉しくて、笑みを浮かべる。
「では、私はこれで失礼します」
巫兎は喫煙所から出ると、休憩室へと行ってしまう。
一人残ったハジメは、煙草の火を消すと、巫兎から貰ったチョコの包みを開ける。
中にはトリュフチョコが入っており、ハジメは1つを指で摘まむと、口へと放り込む。
「美味いじゃねぇか」
口から溢れた言葉は、誰に聞かれることもなかったが、ハジメの口許には笑みが浮かんでいた。
その頃、休憩室では、ハジメ以上にニコニコとしている巫兎の姿があった。
「ヤッホー!!俺ちゃん参上ー、って、巫兎ちゃん、なんかいいことあった?」
いつもは本部にいる、南波刑務所放送局部部長の三鶴は休憩室に入ってくると、巫兎の前に座り尋ねる。
「えへへ、わかりますか?」
「そりゃぁ、そんな幸せ満開な顔してたらわかっちゃうよ。もしかして、バレンタインと関係あったり?」
鋭い三鶴の言葉に巫兎は、相手の名前は言わずに、本命チョコを渡せたことを三鶴に話す。
すると、三鶴はニヤニヤとしながら、その本命ってハジメでしょ、と言い当ててしまう。
「な、何で知って!?」
「俺ちゃん、エスパーだからさぁ」
からかっているような発言で、あることを思い出した巫兎は、その種がわかってしまった。
三鶴は、南波刑務所放送局部部長だけでなく、普段は、本部のセキュリティールームで刑務所内全ての監視をしている。
そこから予想できる答えは1つしかない。
「三鶴さん、見てたんですね?」
「ピンポーン、正解!!まぁ、渡してるところまでは見てないけどさぁ、喫煙所に入るハジメと、チョコを持った巫兎ちゃんの姿はバッチリよん」
とくに隠していた訳ではないが、一番知られたくない人に知られてしまい、巫兎は苦笑いを浮かべる。
誰にも話さないように、口止めをしようとしたときには、すでに三鶴は休憩室から飛び出して行ってしまう。
「お、遅かった……」
普通に皆に知られるくらいならいいのだが、三鶴の場合、その普通の展開にならないのが何時もだ。
そして、巫兎の予想通りの展開となり、しばらくしてから各舎にて放送が流れた。
その放送内容は、巫兎とハジメの顔が真っ赤に染まる内容だ。
怒りと恥ずかしさに震える二人が、三鶴の名を叫び、セキュリティールームに到着するまでにはもう少し時間がかかりそうだ。
《完》