今はこのままで
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
巫兎(みこと)
囚人番号:211
※囚人番号は固定となります。
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「ジューゴ、ここも脱獄するの?」
「正直わかんねぇ」
ここへ来てから何度か皆で脱獄を試みたものの、13舎看守に簡単に捕まり、結局房に逆戻りだ。
だが、それでもいいのかもしれないと二人は思い始めていた。
ここの刑務所は雑誌や食事も充実しており、今まで入ったどの刑務所よりも居心地がいい。
それに何より、こうして皆でバカ騒ぎするのが今は楽しいのだ。
「巫兎ちゃん、ジューゴ、今日もいっちょやっとくか!」
ウノの言葉で、巫兎とジューゴは顔を見合わせニッと笑みを浮かべる。
「いいぜ!」
「うん、やろう!」
今日もジューゴが房の鍵を開け、皆で房から逃げ出す。
脱獄といっても、皆本気で逃げるつもりなどはなく、ただのお遊び感覚なのだ。
「テメーら待ちやがれええぇぇ!!」
「おっ!ハジメの奴追い付いてきたぞ」
ロックの言葉で皆の視線が走りながら後ろへと向けられると、鬼の形相で13舎看守のハジメが追いかけてくる姿が見える。
捕まれば皆頭上に拳が落とされることがわかっていながらも、この日課はやめられないのだ。
「ハジメめちゃ怖いよ!!私にも平気で拳落とすし」
「まぁな、ハジメに女だから手加減なんて言葉は通用しねぇもんなー」
ウノの言葉に、他の皆もうんうんと頷くと、どうやらハジメに今の会話が聞こえていたらしく、何か叫んでいる。
「流石野生、お耳がいいことで」
巫兎の言葉に皆が笑いだし、疲労は倍となった。
そして、ハジメの怒りも倍となったのは言うまでもない。
「ジューゴ、お前大丈夫かよ、って、ジューゴ!?」
ウノが声をかけるがジューゴの返事はなく、皆の視線が後ろへと向けられると、すでにジューゴはハジメに捕まりかけていた。
「ジューゴ、お前の犠牲は無駄にはしねぇぞ!」
「あー、やっぱアイツが一番最初に捕まったか」
「ジューゴくん可哀想」
「ニコ、私達も後からジューゴと同じ目に遭うんだからね……」
結局その後も、次々と犠牲がでた結果、残ったのは巫兎一人となってしまっていた。
まさか自分一人が残ってしまうとは思わず心細くもあるが、何より今一番怖いのはハジメに捕まることだ。
「アイツ、一体どこに行きやがった!!」
巫兎が息を潜め隠れていると、突然背後から口を塞がれ叫びそうになる。
「静かにしてろ、見つかるぞ」
聞き覚えのある声音に視線を向けると、巫兎の後ろにジューゴの姿があった。
巫兎は、ジューゴに言われた通りじっとハジメが去るのを待つ。
「ちっ、面倒ばっかかけやがって!!」
怒りを露にするハジメがその場を去ると、ジューゴの手が巫兎の口から放された。
「なんでジューゴが!?ジューゴさっき捕まったんじゃ」
「ああ、だからまた脱獄してきた!」
「何で?」
「お前、俺がいないとまた泣くだろ」
ジューゴは、巫兎と出会った最初の頃の事を言っているのだと直ぐにわかり、もう泣かないもんと巫兎は顔を赤く染めながら言う。
そんな巫兎に、ハイハイ言うジューゴは全く信じておらず、巫兎がムッとして拗ねていると、伸ばされたジューゴの手が巫兎の腕を掴み走り出す。
「このまま逃げんぞ!」
「でも、脱獄したことが知られたら、またジューゴ一に拳を……」
「いいんだよ、んなこと。俺とお前はいつだって一緒だろ!」
そんな言葉を平気で言えてしまうジューゴに、深い意味などないことはわかっていながらも、巫兎の鼓動は高鳴ってしまう。
握られた腕にジューゴの体温を感じ、初めて一緒に脱獄した日のことを巫兎は思い出す。
あの日から、どんな時もジューゴと巫兎は一緒で、今もこうしてそばにいる。
最初は些細なきっかけだったのだが、いつの間にかこんなにも近い存在となっていた。
「ジューゴ、大丈夫?」
「はぁはぁはぁはぁ……ッ」
すでに限界よろしくなジューゴを心配していると、突然巫兎の体は宙へと浮かぶ。
一体何がおきたのかと思っている巫兎の耳に、今一番聞きたくない声が聞こえてくる。
「散々手間かけさせやがって……!!テメーら、覚悟はできてんだろうなぁ?」
「は、ハジメ、話せばわかるよ!話し合おうよ!」
「そうだ、ハジメ!話し合おう!」
ゴリラに話し合いなどという言葉が通じるはずもなく、二人の頭上に拳が落とされると、房へとほおり込まれてしまった。
「テメーらはそこで大人しくしてやがれ!!」
はーいと返事をするものの、巫兎達がそう簡単に反省するはずもなく、この日の夜もまた、ハジメを悩ませることになるのだが、それはまた後の話だ。
「それにしてもジューゴくん、何でまた脱獄なんてしたの?」
「だよな、わざわざまたハジメに殴られに行くなんてよぉ」
「バカだなーお前らは、そんなの愛に決まってんだろ!」
そう言いながらウノは、巫兎とジューゴに視線を向けるが、何故か本人二人は首を傾げている。
そしてその瞬間、ウノは瞬時に理解した。
この二人は、こういうことには鈍いということを。
《完》