今はこのままで
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
巫兎(みこと)
囚人番号:211
※囚人番号は固定となります。
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とある刑務所に、新しい囚人が収容された。
名前はジューゴといい、同じ房には巫兎という女の囚人も収容されていたのだが、ジューゴが同じ房に入って3日、二人は一言も口を利いていない。
だが、ある時巫兎がジューゴへと視線を向けると、あるものが瞳に映り、初めて口を開いた。
「アナタのそれって何?ここでつけられたの?見たことないけど」
ただの興味本意で尋ねただけなのだが、ジューゴは腕につけられた枷に手で触れると、寝ている間に付けられたと口にする。
何のためにと尋ねるが、ジューゴはわからないとしか答えない。
「外さないの?」
「外せないんだ、この枷は……。こんな枷を俺につけた男、キズの男を絶対に探し出す」
とうやらキズの男という人物に付けられたようだが、何故か巫兎はこの時違和感を感じた。
こんな枷をつけたキズの男に怒りを感じているような言い方だというのに、今のジューゴは嬉しそうに見える。
3日一緒にいて、巫兎は初めてジューゴと話したが、何を考えているのかわからないジューゴに巫兎は興味が湧く。
「ジューゴって、なんか変わってるね」
「そうか?」
「うん。でも、一緒にいたら飽きなそう!」
ニッと笑みを浮かべると、ジューゴは一瞬驚いた表情を見せたが、その表情は柔らかな笑みへと変わる。
房の中だというのに、二人は笑みを浮かべ、そしてこの時から、巫兎とジューゴが話すことは多くなっていった。
「ねぇ、そのキズの男について何かわかってることとかないの?」
「なにも……。ただ見えたんだ、その男の項にキズがあるのを」
首にキズ、それだけの情報でこの広い世界を探すにも限界がある。
他に何か手がかりがあればいいのだが、これまでの手がかりはゼロだという。
「でも、ジューゴはどうやってその男を探してるの?」
「そんなの、脱獄していろんな刑務所に行く以外に方法ねーだろ」
「簡単に言ってくれるね……。私達囚人は脱獄ができないからここにいるんだけどね」
看守が話しているのを聞いたことがあるため知っているが、ジューゴは脱獄の天才で、どんな鍵でも開けてしまうらしい。
実際に目にしたことはないが、きっといつかこの刑務所からもジューゴは脱獄をするのだろう。
そう思うと、なんだか寂しいような気持ちになるのはきっと、ジューゴといることがいつの間にか楽しいと感じ始めているからなのかもしれない。
そして、その時は直ぐにやって来た。
「え……?今日……?」
「ああ、脱獄するつもりだ」
この刑務所には傷の男はいないことがわかったらしく、ジューゴは今日脱獄することを決めた。
それは突然のことであり、巫兎の口からは言葉がでない。
「お前と話すのは、なんつーか、楽しかった……?」
「何で疑問系なのよ……」
「いや、何かこういうの初めてで……さ……ッ!?」
そう言いながらジューゴが巫兎へと視線を向けると、巫兎の頬には涙が伝っていた。
何で泣いてるのかわからないジューゴは慌てるが、その間も、巫兎の瞳からは大粒の涙が溢れだし止まらない。
「なんで泣いてんだよ!?」
「何でもない……ひっく……」
「何でもねーわけねーだろ!!」
こういう時どうしたらいいのかわからず、ジューゴは巫兎を腕の中へと抱き締める。
突然のことに、巫兎は驚くが、涙は更に溢れ出してしまう。
「嫌だよ、ジューゴ……ッ……ジューゴと一緒にいたいよ……ひくッ……ぅ……」
巫兎が思いを口にすると、ジューゴは巫兎の頭に手を置き慰める。
だが、その手が優しくて温かくて、巫兎の涙は止まらなくなってしまう。
しばらくジューゴの腕の中で泣くと、出る涙がなくなってしまったのか、ようやく涙が止まるが、巫兎は恥ずかしくて顔を上げられずにいた。
そんな巫兎の頭上から、思いもしない言葉がかけられた。
「なら、一緒に脱獄しようぜ」
「え……?」
あまりの驚きに、巫兎は伏せていた顔を上げ、ジューゴへと向く。
「私も、一緒に行っていいの……?」
「ああ!行こうぜ!」
ジューゴはニッと笑みを浮かべると、巫兎の腕を掴み、そのまま牢から連れ出した。
前を走るジューゴへと視線を向けると、巫兎の鼓動が高鳴る。
この高鳴りは、初めての脱獄に緊張しているからなのか、それとも、別の理由からなのかはわからないが、不思議と安心してしまう。
それはきっと、ジューゴがそばにいるから、そんな気がした。
「今回の脱獄も簡単だったな」
「ふふ、何度か危なかったけどね」
「う……」
無事刑務所を抜け出したはいいが、これからどうするのかジューゴに尋ねると、また捕まえに来るまで、近くの街でも見て回ろうぜとジューゴは歩きだし、巫兎もその後を追う。
そう、ジューゴの目的は傷の男を探すことであり、その人物は何処かの刑務所にいる。
そしてその男を探すには、また刑務所に戻らなければいけなくなる。
「結局また捕まるのに、何で今捕まっておかないの?」
「そんなの決まってんだろ。折角脱獄したんだ、少しはシャバを楽しもうぜ!」
なんとも簡単でシンプルな理由に、巫兎はクスッと笑みを溢す。
だが、疑問にも思った。
早くその枷を外したいはずなのに、ジューゴからはその枷を外そうという気持ちが感じられない。
そんな疑問を感じながらも、巫兎はジューゴと色々な刑務所に護送され、そこでもまた傷の男がいないとわかると脱獄し、また別の刑務所へと護送されを繰り返した。
そして最後に二人が行き着いたのは、最強の看守達と世界最高水準のセキュリティに守られた刑務所、南波刑務所だった。
この刑務所の13舎13房の囚人となった巫兎とジューゴだったが、同じ房には二人が今までに出会った囚人、囚人番号11番のウノ、69番ロック、25番ニコの姿があった。
まさかこんな運命的な出会いをするなど思ってもおらず、今では皆でバカやって騒ぐ日々だ。