人を思い人を想う
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
巫兎(みこと)
囚人番号:211
※囚人番号は固定となります。
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ここ、4舎には、今まさに恋をしている者が二人いた。
だが、この二人の恋は結ばれないものであり、そんな二人の恋バナトークが今日も始まっていた。
「双六 一……看守長の心を奪うとは、なんと卑劣な男だ……!!」
「ちょっと待ってください主任!逆ですよね?双六さんの心を奪ったのが看守長ですから!!」
「何を言っているんだお前は、それこそ逆だろう」
実際のところは、看守長が想う相手は13舎主任のハジメで間違いないのだが、何故か巫兎はハジメが看守長を好きだと勘違いをしている。
そのため4舎では、同じ言い合いが毎日のように交わされていた。
「ところで主任って、看守長のどこを好きになったんですか?」
「無論、あの方の全てだ」
「聞いた私がバカでした……」
そういう貴様は双六 一のどこを好きになったのかと犬士郎に質問で返されると、巫兎も無論犬士郎と同じ答えとなるのは言うまでもない。
こんな二人だが、犬士郎はここ4舎の主任であり、巫兎は4舎の看守でもある。
一見言い合いばかりの二人に見えなくもないが、合うときはとことん気が合ってしまうのもこの二人だ。
「あっ!聞いてくださいよ主任!」
「なんだ?」
「今日休憩中に双六さんとお会いしたんですよ!!もう会えただけで心臓が壊れちゃいそうで」
頬を赤く染め、両手で押さえるようにしてニヤけている巫兎に、犬士郎は頷き口を開く。
「私も、看守長とお会いする時は胸が焦がされるような感覚になる」
「ですよね!!好きな人を一目見られるだけで」
「幸せを感じることができるからな」
一度息が合うと、ここからは二人永遠とお互いの好きな相手や感情などについて話始め、そんな二人の会話を中断させるのは、ここ地下牢に収容されている囚人の声だ。
そう、二人が話している場所は4舎の地下牢であり、そこにもちゃんと囚人はいる。
「二人ともさ、俺のこと忘れてない?」
囚人番号634番のムサシからの冷静な言葉に、巫兎と犬士郎は顔を真っ赤にし仕事に戻る。
好きな人のことは巫兎と犬士郎、そしてムサシの3人しかしらず、つい気持ちがわかるもの同士話し出すと止まらなくなってしまう。
主任と看守という上下関係はあるものの、恋に関しては上司などは関係なく盛り上がってしまうから不思議だ。
だが、一度仕事に戻ってしまえば、さっきまでとは一転し、恋をするもの同士から主任と看守という関係に戻ってしまう。
「巫兎、この書類を13舎に届けてもらえるか」
「え、13舎にですか!?」
「ああ、よかったな、これでアイツと会う理由が出来たな」
そう言い口許に笑みを浮かべた犬士郎に、巫兎は華が咲いたような笑顔を向けると、ありがとうございますとお礼を伝え13舎へと向かう。
こんな機会がなければ、13舎へ行く用事などあるわけもなく、ハジメと仕事中に会えることに、巫兎は胸踊らせていた。
「えっと、13舎の看守室はと」
久し振りに訪れた13舎で看守室を探していると、突然通路から騒がしい足音が近づいてくるのが聞こえ視線を向ける。
すると、視線の先からやって来たのは囚人であり、その後ろをハジメが追いかけていた。
「え、囚人!?ってことは……脱走っ!?」
状況が理解できず、その場で固まってしまった巫兎の存在に気づいた囚人達は巫兎の前で立ち止まった。
「あっ、やべ……」
「え、何でこんなとこに4舎の看守がんだよ!?」
「あ、ほんとだ、巫兎ちゃんだ!」
「これってヤバイんじゃねーか?」
囚人達の後ろでは頭を抱えるハジメの姿があり、巫兎は訳もわからないままハジメに看守室へと連れられた。
囚人達はハジメが房へと戻したが、巫兎はわからないことだらけだ。
囚人達が脱獄していたこと、そして、脱獄したにも関わらずこの落ち着きっぷり、いくらなんでも可笑しすぎるのだ。
向かい合う形で座る巫兎とハジメだが、ハジメは先程から頭を抱えている。
「あのだな、さっきのことは他の奴等には黙っといてほしいんだが」
「脱獄のことですか?」
「ああ。正直に話すとだな、アイツらは遊びで脱獄を毎日繰り返してんだ」
この事実が他の人に知られれば、間違いなく隠していた13舎看守は何らかのペナルティー、もしくは退職をさせられる可能性もある。
それは、ハジメが好きな巫兎にとっても避けたいことであり、そんな巫兎が出す答えは1つしかない。
「わかりました。この事は誰にも話しません」
「ああ、すまねぇな。だが、見られたのが巫兎で助かった」
不意に自分の名前がハジメの口から出た瞬間、巫兎の鼓動は大きく高鳴り頬が熱くなった。
今まで、お前と呼ばれることはあったものの、名前で呼ばれたのは初めてであり、あまりにお前と呼ばれていたため、自分の名前なんて覚えてもらえていないのだと思っていたのだから無理もない。
「ところで何しに13舎に来たんだ。何か用があったんじゃねぇのか?」
「あっ!この書類を13舎に届けるように頼まれまして」
「あー、わりいな」
用事も済んでしまった巫兎が4舎へと戻る途中、先程のことを思い出し頬を緩ませていた。
名前を呼ばれたこともそうだが、13舎の極一部しか知らない秘密を知り、それはハジメとの秘密が出来たということだ。
「ふふふ……」
「おい、何をニヤけていると」
「ひゃいッ!?」
いつの間にか4舎まで来ていた巫兎がニヤけていると、突然声をかけられ変な声が漏れてしまう。
「余程双六 一と会えたことが嬉しいようだな」
「はい!それも双六さんとのひみ」
そこにいたのは犬士郎であり、いつものようにさっきあったことを話しそうになり、巫兎は口をつぐむ。
「ひみ、何だ?」
「ひ、ひみ……あっ!そろそろ634番の様子を見に行く時間なので失礼致します!」
無理矢理ではあったが、あのままではまた何か余計なことを話しかねないため、巫兎は地下牢へと向かう。
すると地下牢では、何時ものようにムサシが本を読んでおり、巫兎の気配に気づいたムサシが本を閉じた。
「巫兎ちゃん、何かいいことでもあった?」
「えっ!?な、何で!?」
「何かそんな気がしたからさぁ」
ムサシは目が見えないため何時も本は点字なのだが、こういうことに気づかれてしまうと目が見えているんじゃないかと思ってしまう。
表情がわからなくてもムサシには、足音や人の雰囲気でわかってしまうようだ。