先の未来を夢見て
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
巫兎(みこと)
囚人番号:211
※囚人番号は固定となります。
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5舎8房の囚人、囚人番号58番のウパには、自分だけの特等席があった。
その特等席というのは、同じ8房の囚人である囚人番号211番、巫兎の膝の上だ。
「ウパってさ、やっぱ子供だねぇ」
「ボクは子供ではありません!!」
ウパの年齢を知るものはいないが、身長は135センチと低く、見た目からして他の囚人達より遥かに年下であることは間違いないだろう。
だが、ただの子供というわけではなく、気功使いであり、強力な気功術を放つことができ、他にも空中飛行が出来たりとただ者ではない少年だ。
「えー、だって今も巫兎ちゃんの膝の上に座ってるじゃん」
「ッ……これは、この場所が落ち着くからです!!」
ウパは子供扱いされることを嫌い、子供と言うチィーに否定をするが、そんなウパにチィーは、そっかぁと言いながら笑みを浮かべている。
そんなやり取りに巫兎まで笑みを溢すと、巫兎さんまでボクを子供扱いするんですかと、ウパは眉を顰め巫兎を見詰める。
「違うよ、ウパが可愛いなと思って」
「やっぱりアナタもボクを子供扱いしてるじゃないですか!!ボクは男です、可愛いなんて言われても嬉しくありません!!」
どうやら怒らせてしまったらしく、ウパは視線を巫兎から外すと前へと戻してしまう。
だが、怒ってはいても膝の上からは降りようとしないウパはやっぱり可愛くて、つい口許が緩みそうになるが、更にウパを怒らせてしまうと思い、巫兎はぐっと耐えた。
「あらら、怒っちゃったみたいだねぇ」
「チィー、元はと言えば貴様が余計なことを言うからだろう」
房の隅でチィーとリャンが話している間巫兎は、どうしたらウパの機嫌が直るだろうかと考えていた。
つい可愛いなんて言ってしまったが、ウパは男の子であり可愛いなんて言葉を言われるのは嫌に決まっている。
そんなことにも気づけないなんてダメだなぁと落ち込みそうになる巫兎だが、今は落ち込むよりウパに謝らなければと、伏せかけた顔を上げると膝に座るウパに声をかけた。
「ウパ、ごめんね、可愛いなんて言っちゃって……。でも、子供扱いをしてるつもりはないからね!!ウパは私なんかよりも強いし、凄いなって尊敬してる!!」
必死に思っていることを口にしてみるが、こんな言葉でウパに許してもらえるだろうかと不安に感じながら、巫兎はウパの返事を待つ。
「アナタは女性なんですから、ボクのが強いのは当然ですよ」
そう言いながら巫兎へと振り返るウパの口許には笑みが浮かべられており、どうやら機嫌を直してくれたようだ。
こんな風に拗ねてしまうのも可愛い、なんて思ってしまうけど、口に出さないようにと心の中に仕舞う。
「でも、私だって5舎の囚人なんだから、これから強くなって見せるよ!」
「そうですね、ボクに勝てないにしても、チィーに勝つことならアナタにもできると思いますよ」
「えー、何か私バカにされてるー」
「え?何か俺、二人から酷いこと言われてない?」
そんな会話をしていると、丁度鍛練の時間となり8房に猿門が来たため、巫兎達は演習場へと向かう。
そして早速ランニングから始まり、次に腹筋、腕立てと厳しい鍛練をこなしていく。
ここ5舎では、女だろうが関係なくシゴかれるため、最初の頃は巫兎も苦労していたものの、今では皆についてこれるまで成長していた。
「ふぅ、やっと終わったぁ」
「お疲れ、今日も頑張っていたな」
「うん!さっきウパにバカにされちゃったからね。今日は猿門さんに相手をお願いしたから、この後も頑張るよ!」
「そうか、なら私も見学させてもらうとしよう」
猿門相手に一本すら取れないのはいつものことだが、それでも少しずつでも、皆に追い付きたくて巫兎は日々頑張っている。
鍛練の5舎と呼ばれているこの5舎で、巫兎だけが女であるからと甘くみられたくはないのだ。
「猿門さん、お願いします!」
「ああ、かかってこい」
猿門の言葉で、巫兎は大きく息を吸うと一気に間合いを詰めて回し蹴りをするが、その一撃は猿門に簡単に交わされてしまい空を切る。
隙を与えないうちにすかさず拳を突き出すが、やはり気も使えず女の力のみでは、簡単に猿門の掌で繰り出された拳は受け止められてしまう。
「隙を与えない動きに関しては褒めてやる、だが」
「ッ!?」
猿門の手が巫兎の腕を掴むと、そのまま地面に叩きつけられてしまった。
「相手に捕まれば簡単にこうなっちまう。お前の場合は、どう捕まらないように相手と戦えるかだ」
「はぁはぁ……ッ……ありがとう、ございました」
やっぱり猿門さんは強いなと、地面に倒れたまま考えている巫兎に影が射し、目を塞いでいた腕を退けると、猿門が巫兎を見下ろしていた。
「巫兎、大分強くなってきたじゃねぇか」
「でも、まだまだです。いつか猿門さんから一本取って見せますから、覚悟していてくださいね」
「キキッ!そう簡単に取られてたまるかっつぅの」
猿門に褒めてもらえたことが嬉しくて、ニコニコと笑みを浮かべていると、巫兎と猿門の様子を見ていたリャンとチィー、そしてウパが巫兎へと近づいてきた。
「あの人に褒められるなんて凄いんじゃない」
「ああ、猿門さんとの手合わせを見せてもらったが、巫兎の動きは素早かったからな。それに咄嗟の判断力もよかったと思うぞ」
「ありがとう。でも、まだまだ皆には追い付けないから」
「いや、チィーなら越してるんじゃないか?」
「え、いくら俺でも女に負けたりしないよ?」
そんな会話をしている中、何故か一言も話さず眉間にシワを寄せているウパの姿が巫兎の瞳に映る。
いつもなら、あそこでああすれば、などのアドバイスをくれたりするのにと不思議に思いながらも、巫兎達8房は猿門に連れられ房へと戻された。
房へ戻った後は、各自やりたいことをし始めるが、いつもは膝の上に直ぐに座ってくるウパが今日は何故か来ない。
「ウパ、どうかしたの?さっきから様子が可笑しいみたいだけど」
「いえ、何にもありませんよ」
そうは言っているが、あからさまに様子が可笑しいことは、近くにいる巫兎には簡単にわかってしまう。
だが、原因まではわからずどうしたらいいのか悩んでしまう。
何を言ったとしても、ウパは話してはくれないだろうが、だからといってこのまま見て見ぬふりはできない。
「ねぇウパ、私達、まだ出会って日は浅いけど、ウパが元気ないことくらい私にもわかるんだよ」
「巫兎……」
ウパは、少し考えるような仕草をすると、少し躊躇いながらも口を開く。
「アナタが強くなってしまったら、と、考えていました……」
「え?」
「もしアナタがボクより強くなってしまったら、ボクは必要なくなってしまうでしょう」
「何故?」
「ボクは、アナタを守れる男になりたいんです。そして、アナタの側にいられる男に……」
それはまるで告白のようで、巫兎の鼓動が静かに脈打つ。
そんな事を考えていたなんて気づかず、嬉しくて可愛くて、何とも言えない感情が巫兎の中で溢れだし、気づいた時にはウパを抱き締めていた。
「必要なくなるなんて事は絶対にないよ。私はウパが大好きだから、これからも私の側にいて?」
「し、仕方ないですね、そこまで言うのならいてあげます。でも、覚悟してくださいね」
「覚悟……?」
「はい。ボクが子供だからと思っているならそれは間違いです。ボクは、アナタに恋をしているんですから」
その瞬間、ウパが一瞬大人びて見え、鼓動が高鳴ってしまう。
その瞳は子供の純粋さを纏っており、だからこそ想いが真っ直ぐに伝わってくる。
「ふふ、じゃあ私も、ウパの隣にいられる女にならなきゃだね」
「アナタはそのままでいいんですよ。私が好きなのは、目の前にいるアナタなんですから」
「ッ……!?」
柔らかな感触を唇に感じ、巫兎の頬が上気していく。
そんな巫兎を見て、アナタの方が子供のようですねとウパは笑う。
「いきなりこんなことされたら誰だってこうなるよ!」
「じゃあ、キスをしますと最初に伝えればいいんですか?」
「ッ……そういう問題じゃ……」
巫兎がウパにイジメられている光景は珍しく、少し離れた場所から二人を見ていたリャンとチィーは珍しそうに二人へと視線を向けていた。
「へぇ~、ウパって意外に子供じゃなかったんだねぇ」
「いや、子供だから素直な心でできるんだろう」
「いやいや、腐った大人も平気でキスくらいするからね」
「ウパをお前と一緒にするなクズ」
「俺、流石にそこまで腐ってないからね!?ピュアな心だってまだあるからね!?」
ウパに意地悪をされている巫兎、そして、リャンに冷たい視線を向けられているチィー。
少しいつもと違った光景もあり、どこかウパと巫兎からは甘い空気が流れ出していた。