君は誰のモノになるのだろうか
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
巫兎(みこと)
囚人番号:211
※囚人番号は固定となります。
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【おまけ】
今日も炎天下の中、5舎8房の囚人は演習場を走っていた。
だが今日は、そこにいつもと違う光景があった。
「珍しいこともあんだな、71番がサボらねぇなんて」
「71番さんはやればできる子ですから!」
「子って、んな歳じゃねーだろ」
そんな会話をしながら、巫兎と猪里が向ける視線の先には、ウパやリャンと一緒に走るチィーの姿があった。
いつもなら、二人が走り出す前にチィーは日蔭にいき寝転がっているのだが、今日は一切休まず走り続けている。
「ゴホッゴホッ!!はぁはぁ……やっぱ、おじさんには、キツいわ……」
「だらしがないですね」
「普段から鍛えていないからだ」
「ちょっとは褒めてよ!!」
いつもサボっているせいか、走り終えたチィーは息が上がり噎せている。
そんなチィーに、リャンとウパは容赦ない言葉をかける。
「チィーさん、お疲れ様です」
そんな中、チィーの目の前にタオルを差し出したのは巫兎だった。
チィーはお礼を言いタオルを受け取ると、そのタオルをじっと見つめる。
「どうかしましたか?」
「いや、たまには頑張るのもいいかなと思ってさぁ」
どんなに疲れても辛くても、こうして巫兎からタオルを渡されて笑みを向けられるのなら、頑張ってみるのもいいかもしれないと、何ともクズらしい理由がチィーの頭に浮かぶ。
だが、その後は直ぐにリャンとウパに巫兎を取られてしまい、いつものように食堂へ行くと二人は巫兎の隣を奪い合う。
「二人とも喧嘩は止めてください」
喧嘩を止めようとおろおろする巫兎だが、そんな巫兎のことなど考えず、二人は喧嘩を続けている。
「巫兎ちゃん、ここ座ってもいいかな?」
「え?」
いつもチィーは、巫兎の前の椅子に座っていたため、突然隣に座っていいかと尋ねられ巫兎は驚いてしまう。
だが、巫兎は直ぐにニコリと笑みを浮かべ、どうぞとチィーに返事を返す。
そんなことに気づきもしない二人は、今も巫兎の隣をかけて言い合いをしている。
「珍しいですね、チィーさんが隣になんて」
「まぁね」
この5舎で、やり直すとチィーは決めていた。
道を間違えてしまったチィーだが、この5舎でやり直し、いつかこの気持ちを伝えられる男なりたいと思った。
チィーは、想いに背を向けるのではなく、向き合うことを決意したのだ。
今はまだ触れることはできないが、今はこうして側にいるだけでチィーは幸せを感じる。
いつか巫兎が誰かを好きになったとして、それが自分であったら、そんな夢みたいなことを思いながら、チィーはそっと笑みを浮かべた。
《完》