禁断の恋をアナタと
名前変更
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【デフォルト名】
巫兎(みこと)
囚人番号:211
※囚人番号は固定となります。
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今日から13舎に配属となった新人女看守の巫兎は、この13舎の主任看守である双六 一に案内され、11房へと向かっていた。
「今日からアンタには11房の看守をしてもらうが、今のところ11房には一人しか囚人はいないからな、新人でも大丈夫だろう」
「え!?入ったばかりなのに私一人で11房の監視をするんですか!?」
「ああ、そうだ」
なんとも簡単に言っているが、新人看守一人にいきなり任せるなど無理がある。
巫兎は直ぐに無理ですと拒否するが、そんな言葉など却下されてしまった。
「看守になったんだ、これくらい一人でやってみせろ。じゃねェと、俺が面倒だからな」
ハジメはただ、新人看守のおもりをするのが面倒な為、どうやら11房の看守に巫兎をあてようとしているようだ。
一体11房の囚人とはどんな人なのだろうかと不安を感じていると、どうやら11房についたらしい。
「ここが11房だ」
そうハジメが言ったとたん、13舎の警報が鳴り出す。
巫兎は一体何事かと驚きハジメを見ると、何故かハジメは血管を浮き上がらせイラついているようだ。
「アイツら、また脱獄しやがったな……!!」
「アイツら……?」
脱獄したというのは普通に考えて囚人だろうが、囚人が脱獄したというのにハジメは慌てる様子もなく、ただ面倒そうに大きな溜め息をつくとそのまま行ってしまおうとする。
「あの!私はどうしたら」
「あー……適当に頼むわ」
「え?」
それだけ言い残すとハジメは行ってしまい、一人取り残された巫兎はどうしたものかと考えてしまう。
11房の鍵はすでにハジメから預かっているものの、まだ巫兎は新人看守、それに女だ。
迂闊に扉を開けて囚人が脱獄したなんてことになれば、配属早々クビにもなりかねない。
だからといってこのまま立っているだけというわけにもいかず、覚悟を決め扉の鍵を開けると中へと入る。
だが、そこにいるはずの囚人の姿がなく、もしかして脱獄なんじゃと慌てそうになったその時、壁にその姿はあった。
「あの、99番さん、何をされてるんですか?」
「何!?何故わかった!?」
「そりゃわかりますよ」
日本とでかでかと書かれた布を手で持ち、壁に張り付いていればわからない方が不思議だ。
いいですからその布しまってくださいと巫兎が注意すると、99番は布を退ける。
そして、布で隠れていた姿が露になると、あまりのイケメンに、巫兎は一瞬驚きの表情を浮かべた。
容姿はかっこよく、まるでスターのようなオーラさえも感じさせる。
「って!彼は囚人なのよ!!何を私は考えているの!!」
「どうかしたのでござるか?」
「ござる……?」
いきなりの語尾ござる発言に耳を疑っていると、そんな巫兎に99番が口を開く。
「今日から新人看守が拙者につくと聞いていたが、もしや!」
「あ、はい。今日からここ、11房の専属看守となった巫兎です」
「そうであったか!見たところ、巫兎殿も生まれが日本のようだな」
「はい、そうですよ」
カッコイイ見た目とは違い、何故か口を開けば昔の時代劇のような喋りで、よく見れば見た目も忍者のコスプレをしたただの不審者だ。
やはりここは刑務所、こういう人がいる場所なのだと何だか安心してしまう。
「ところで、ハジメ殿は一緒ではないのでござるか?」
「はい。先程まで一緒だったんですけど、突然警報が鳴り出してそちらに行ってしまいました」
「そうでござるか、どうやらまた13舎の囚人が脱獄したようでござるな」
よく聞き取れず巫兎が首を傾げると、99番は巫兎へと向き直り、忍術を見せてくれると言い出した。
さっきの隠れる忍術を思い出すと、なんだか嫌な予感しかしないが、折角なので見せてもらおうと99番へと視線を向ける。
「忍法、隠れ身の術!」
「え、煙り!?」
本格的っぽく少しの期待をしてしまうと、煙りの中から転ぶような音が聞こえてくる。
そして、煙が晴れたかと思うと、下には転んだらしい99番の姿がある。
「やっぱり……」
「はっはっはっ!こういうときもあるという見本でござる」
「何が見本なんですか、って、鼻の頭擦りむいてるじゃないですか!」
こんなのどうってことはないという99番だが、巫兎はポケットから絆創膏を取り出すと擦りむいたところへと貼る。
いくら小さな傷でも、そこから菌が入らないとは限らないのだ。
「これでよし!ここには医務室もあるみたいですけど、このくらいの怪我なら見てもらう心配もなさそうですね」
ニコリと笑みを浮かべる巫兎の姿を、99番が驚いた表情で見つめている。
その視線に気づいた巫兎がどうしたのか尋ねると、99番は口許を隠していた布を下へと下げた。
「なんか、こんな風に優しくされたことなんてなかったから、嬉しくてさ……」
「ッ……!!」
さっきまでござる口調だった99番が突然普通の男の顔つきになり、照れ臭そうに言うものだから、巫兎まで恥ずかしくなってしまう。
普通のことだとは思うが、99番にとってはその普通でさえ嬉しいものなのかもしれない。
「そんな小さな傷ならいつでも絆創膏を貼ってあげますよ!あと、そっちの話し方のが99番さんって感じがします」
「ッ……今のは忘れてくれ」
「何故ですか?私はさっきの99番さんの方が好きですよ。なんだか、ござるって言ってるときとは違う感じがするんです。本当の99番さんというか」
自分で何を言っているのかよくわからないが、ござると言っているときの99番は、忍者という姿を借りているだけのように巫兎には感じてしまったのだ。
「ありがとう。でも俺、何かの役になりきってないと、人と上手く話せないんだ」
「ふふっ、99番さん、今私と話してるじゃないですか」
「あ……」
二人で顔を見合わせて笑うと、囚人と看守ということを忘れてしまいそうになる。
そんな不思議な囚人、99番の九十九の専属看守となった巫兎は、休憩時間となると看守室へと向かった。
「あ、巫兎さん!どうでしたか?11房の様子は」
「特に問題はありませんでした」
巫兎の先輩である13舎看守の七夕 星太郎が、心配をし声をかけてくた。
そんな星太郎に問題がないことを伝えると、デスクで頭を抱えているハジメの姿が目に入る。
「主任、大丈夫ですか?とてもお疲れのようですが……」
「1日に何度も何度も脱獄しやがって……!!」
かなりストレスをためているのか、どうやら巫兎の声が届いていないようだ。
「あの、主任はどうされたんですか?」
「あぁ、そうでしたね、巫兎さんはまだ知らないんですよね。実は13房の囚人は」
星太郎が何かを話そうとしたその時、再び警報が13舎に鳴り響いた。
これは脱獄を知らせるものであり、ハジメと星太郎は看守室を出ていってしまう。
またも一人残されてしまった巫兎は椅子へと座る。
「私、なにもしなくていいのかな……」
「あれ、看守室に女がいる」
「え……?」
その声に振り向くと、そこには囚人服を着た一人の男の姿がある。
先程の警報はきっと、目の前に立つこの男の脱獄を知らせるものだったに違いないと思った巫兎は、その男に声をかけた。
「大人しく牢へ戻ってください!」
「ああ」
「へ?」
あまりにもあっさりと頷かれたものだから驚いてしまうと、男は巫兎の前に置かれた椅子へと座った。
全く何がしたいのか予想できず呆然としていると、男はニヤリと笑みを浮かべ口を開く。
「戻るかわりにアンタ、話し相手になってくれよ」
「話し相手?」
どうしたらいいのかわからず戸惑いながらも椅子に座ると、男は私に質問を始めた。
質問といっても本当に簡単なものばかりで、何でここにいるのか、年齢、好きな食べ物に色など、様々な質問だ。
「へー、アンタ、11房の看守なんだ」
「はい、今日からですけど」
「だから俺のことも聞いてねーわけか」
「え?」
その時、勢いよく看守室の扉が開かれると、ハジメが鬼の形相で中へと入ってきた。