ポーカーの勝敗は未来へ導く
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
巫兎(みこと)
囚人番号:211
※囚人番号は固定となります。
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ここ、13舎13房では、今まさに真剣勝負が行われていた。
「ウノ、甘いわね!ロイヤルストレートフラッシュ!!」
「ウゲッ!?マジかよ!?」
「凄い凄い!!また巫兎ちゃんの勝ちだよ!」
今勝負をしているのは、囚人番号11番のウノと囚人番号211番の巫兎だ。
少し前からあることを賭けて勝負をしている二人だが、ここまでで巫兎は5勝0敗の負けなしだ。
「お前どんだけロイヤルストレートフラッシュが好きなんだよ!?5戦ともそれしか出してねぇだろ!」
「だって、何だかロイヤルって可愛いしストレートフラッシュってかっこよくない?」
「まぁわからなくもないけどさ……。それにしても、どんどんイカサマが上手くなってきてるよな」
そう、5戦ともロイヤルストレートフラッシュがくるなど普通ではあり得ないことであり、これは運でもなんでもなくイカサマでの勝利なのだ。
元々巫兎はカードゲームは得意な方だったのだが、ウノと勝負をしてからというもの、イカサマを使うウノには勝てずにいた。
そんな巫兎にウノがイカサマの技を教えたのだが、今ではウノよりもイカサマが上手くなり、教えた筈のウノが手も足もでない。
「ふふっ!ウノに教えてもらったイカサマの他にも独自で色々試したんだから、簡単に勝たせないよ!」
「へぇ、言ってくれんじゃん」
そんな巫兎にウノはニヤリと笑みを浮かべると、もう一戦と今度はブラックジャックを始める。
そしてブラックジャックも5戦勝負したものの、結局5戦連敗だ。
「何でなんだーッ!!」
「はははッ!!ウノかっこわりぃな!女に負けるなんてよぅ」
「うっせーッ!!」
悔しがるウノを見ながら笑うロックだが、この勝負は単なる遊びではない、何故ならこれは巫兎とウノの賭けだからだ。
イカサマで得た勝利だとしても、ウノ相手に真っ向から勝負をしても誰も勝ち目はない。
イカサマはウノの特技の一つでもあるため、相手もそれを越えるイカサマをする必要があるのだ。
「ウノ、忘れてないよね?何を賭けてたかってこと」
「うッ……マジでやんなきゃダメ?」
捨てられた子犬のような瞳で可愛い子ぶっているが、勝負の世界に情けはなく、巫兎は笑顔でうんと頷き答える。
「悪魔だ……」
「だって、勝ちは勝ちだもん!ほらほら、肩揉みよろしくね!」
「うぅ……屈辱だぁ!!」
ウノは巫兎の背後へと回ると、両肩へと手を置きマッサージを始める。
賭けたモノは些細なモノなのかもしれないが、巫兎にイカサマを教えたウノが負け、マッサージをさせられるというのは、ウノにとっては屈辱以外の何者でもない。
「ウノ、カッコ悪いぞ」
「俺はカッコ悪くなんてねぇ!!イケメンだからな!今日はたまたま調子がでなかっただけだ!」
ジューゴにまでカッコ悪いと言われ言い訳をするウノだが、その瞳は屈辱の涙が滲んでいる。
「コイツら平和だな」
そんな様子を扉の向こうから見ていた13舎看守の双六 一が声を漏らすが、扉の向こうで騒いでいる囚人達には聞こえなかったようだ。
「お、終わったぁ~!」
「御苦労様!」
ようやくマッサージを終えたウノはそのまま畳の上に倒れ込み疲れている様子だが、そんなウノとは対照的に、マッサージを終えた巫兎は清々しい表情だ。
「巫兎、もう一回勝負だ!」
「え?ウノくんまだやるの?」
「あったりめぇだろ!このまま負けたままでいられるかっつの!!」
止めた方がと制止する周りの言葉を無視し、ウノが巫兎に勝負を挑むと、勿論巫兎は了承し、結果はウノの全敗となった。
ここ数日の間でここまで腕が上がるとは巫兎自身驚いてはいるが、こうしてギャンブルやイカサマなどの楽しみ方を巫兎に教えたのはウノであり、そんなウノに巫兎は惹かれ始めている。
そしてその日の夜、南波刑務所で警報が鳴り響く。
それは、13舎13房の脱獄を知らせるものだ。
「待ちやがれてめぇらああぁぁ!!」
「待てって待つ囚人なんていねぇよーだ!」
「だよねぇ!」
ウノとニコが先頭を走り、その後ろに巫兎とロック、そのまた後ろにジューゴがヘロヘロになりながらも走っている。
そんな5人を追いかけてくるハジメとの距離は迫ってきており、一度5人はバラバラに逃げることにし、誰が一番最後まで長く逃げ切れるかという勝負が開始された。
「じゃあ、僕はこっちへ行くね!」
「んじゃ、俺はこっちだな」
皆が次々と行ってしまう中、巫兎はどっちらに進もうかと悩んでしまう。
「何やってんだよ!ハジメに捕まんだろうが!」
「ッ……!?」
なかなか決まらない巫兎の腕をウノが掴むと、そのまま引っ張り左へと走り出す。
そしてそこにはまだ一人、どっちに行こうかと悩む人物の姿がある。
それは、脱獄以外はなんにもできないと皆が知っている人物だ。
「てめーらは、毎度毎度仕事増やしやがって……」
「は、ハジメ……!!」
結局一番最初に捕まってしまったのは、囚人番号15番のジューゴだったが、そこまでは皆が予想できることだ。
脱獄しかできないヤツを一人にすればこうなることは目に見えている。
「……?ウノ、今悲鳴みたいなの聞こえなかった?」
「そうか?気のせいだろ。それよりハジメに捕まらねーように先を急ぐぞ!」
「う、うん」
視線を下げれば、ウノに捕まれた自分の腕が見え頬が熱くなる。
腕を引きながら目の前を走るウノはいつもと変わらないが、そんなウノの姿が巫兎には眩しく見えてしまう。
「はぁはぁ……ここまで来ればしばらくは大丈夫だろ!」
「そう、だね……ッ、はぁはぁ」
息をきらしながら座り込むと、二人の間に沈黙がながれ、乱れた呼吸の音が大きく聞こえてくる。
今までは、13房の皆と一緒だったが、こうしてウノと二人きりになるのは初めてで緊張してしまう。
すぐ横に想いを寄せる相手がいると思うと鼓動は早鐘をうち、先程まで掴まれていた腕に今も熱を感じ頬が熱くなる。
「おい!顔が赤いけど大丈夫か!?」
「ッ……!あはは、走りすぎちゃったのかな?休めば大丈夫だよ」
巫兎は、早く顔の火照りを冷まそうと手で扇ぎながら誤魔化す。
「わりぃ、走らせすぎちまったみたいだな……」
「ううん、気にしないで。ウノのお陰でハジメに捕まらずにすんだんだから」
ウノが巫兎の腕を引っ張っていなければ、間違いなく巫兎はジューゴと一緒にハジメに捕まっていたのは間違いない。
「だよなぁ~、お前ってジューゴと同じで何もできないもんなぁ」
「はいはい、どうせ私は何もできませんよ~だ」
からかうように言われた言葉に、巫兎が拗ねた振りをして答える。
「まぁ、そんなとこがほっとけねぇっつぅか、お前の可愛いとこだよな!」
「ッ……!!」
不意に言われた言葉に、折角収まりかけた熱が再び頬に宿り、巫兎は色づく顔を隠すようにバッと顔を逸らす。
「何言ってんのよ!!変なこと言ってないで先を急ぐわよ!」
「あ、おい!待てって!俺をおいてくんじゃねー!!」
歩き出してしまう巫兎の背をウノは追いかけ、二人は先へと進んでいく。
とくにハジメが追いかけてくる気配はないため、多分ロックやニコが逃げた方を追ったのだろうと思っていると、何やら聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ウノ、この声ってまさか……」
「そのまさか、だよな……」
声が聞こえた方を覗き込むと、そこには二人が想像した人物の姿がある。
「やはり、お昼の訓練もいいでありますな!」
そこには、13舎副主任の五代 大和の姿があり、巫兎とウノは顔を引っ込めると、見なかったことにして別の道へと進む。
「あれから結構たったし、そろそろ他の奴等も捕まったんじゃね?」
「そうだね。じゃあ、そろそろハジメに捕まってあげないとね!」
そう思い立ち止まったその時、何かを踏んだと思ったと同時に、巫兎の足元の床だけに穴が開いた。
「え……?」
「巫兎ーッ!!」
ウノが巫兎の名を叫びながら伸ばした手で腕を掴むと、何とか落ちることだけは回避できた。
だが、掴まるものも何もないこの場所では、ウノの力だけでは限界がある。