Japanese○○!!
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
巫兎(みこと)
囚人番号:211
※囚人番号は固定となります。
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ここ、5舎の演習場では、今日も5舎8房の皆が鍛練をしていたのだが、何故かそこに、いつもはいない4人の姿があった。
「ここがロックくんが鍛練したって場所なんだね!!」
「ああ」
「ほんとにここ刑務所かよ」
「おっ!リャン達走ってるぞ」
見学に来ました感満載の4人は、初めて来る5舎に興味津々だ。
そんな4人がキョロキョロと辺りを見回していると、少し離れた場所に5舎の看守の姿を発見する。
「5舎の看守さ~ん!」
「あっ!おいニコ、何声かけてんだよ!!」
皆がニコの口を塞いだときにはすでに遅く、4人に気づいた猿門が驚きの表情を浮かべた後、殺気を孕ませながら近づいてくる。
「おい、なんでここに13舎の連中がいやがんだ!!」
そう、何故か演習場には、13舎13房の囚人、囚人番号11番のウノ、囚人番号69番のロック、囚人番号25番のニコ、そして囚人番号15番のジューゴの姿がある。
「あはは、えっと……こっそり見学?みたいな?」
「あ?見学だぁ?つまりはてめーら脱獄したってことだろうが!?」
「違うよ!巫兎ちゃんに連れてきてもらったんだよ!」
「何……?」
「おいバカ、ニコ!!」
よく見ると、4人の後ろに隠れている巫兎の姿に気づいた猿門は、怒鳴るように巫兎の名を叫ぶ。
その声に、バレたかとひょっこり現れたのは、5舎の看守である巫兎だ。
「どういうつもりだお前!!」
「だって、皆が5舎に来たいって言ってたんですもん……」
しゅんっとする巫兎だが、猿門はそんなに簡単に許したりはしない。
何故なら、巫兎が勝手な行動をするのは今に始まったことではないからだ。
「言ったよなぁ?次勝手な行動しやがったらただじゃおかねーってよぉ」
猿門の目は本気で、すでに手には拳が握られている。
「猿門主任酷いです!全て私が悪いとおっしゃるのですか……!」
「そりゃ勝手な行動したお前が100%悪いだろーが!!」
泣き真似をしてみせるが、これもすでに何度も試しているため猿門に効果はない。
「もう!私にどうしろって言うんですか!?」
「仕事しろよ!!」
この漫才のような会話はある意味この5舎の名物であり、ウノ、ロック、ニコは、Japanese漫才と喜んでいる。
本当はこの4人、5舎の見学と言うよりも、ロックから聞かされていたこの二人の会話を聞くために来ていた。
勿論このことは巫兎も知らず、ただ見学をしたいという4人の頼みを聞き入れただけなのだが、巫兎は巫兎でサボるためだったりもする。
「あれ?なんで13舎の連中がここにいるわけ?」
そんな騒がしさに気づきやって来たのは、さっきまで木陰で寝転んでいた5舎の囚人、囚人番号71番のチィーだ。
「あ!チィー、今日もサボり?」
「まーねー」
「なんだとぉ?」
チィーの言葉に、猿門の視線が巫兎からチィーに向けられ、チィーは猿門の存在に気づく。
「あれ……?アンタも居たんだ……。よーし、俺も走ってくるかなぁ」
猿門から逃げるように、チィーが走りに行ってしまうと、猿門の鋭い視線が巫兎へと向けられた。
「そういやお前、昨日8房の鍛練中にいなかったみてーだが、いったい何してやがった」
「何って、私にもやることがあるんですよ!」
「てめーのやることは囚人共の監視だろーが!!」
そんな会話をしていると、同じく5舎の看守である猪里が巫兎へと近づいてくる。
「巫兎ー、昨日の競馬なんだけどよぉ、って主任、いたんスか!?」
さっきも似たようなことがあったばかりだが、何故ここに猿門がいることに気づかず話し出すのか。
そして今回はタイミングが悪く、昨日巫兎が何をしていたのか猿門に知られてしまう形となった。
「ほぉ~、お前のやることってのは、看守の仕事サボって競馬を見ることって訳か?」
「えっと、競馬って予想したりとか鍛練になるんですよ!脳の活性化?みたいな!猿門主任も一緒にどうですか?」
「てめー、今日という今日はその腐りきった性根を叩きのめしてやる!!」
そういいながら演習場の真ん中に行く猿門はヤル気満々だ。
これは少し厄介なことになり、13舎の囚人達が巫兎を心配する。
とくにロックは、すでに何度か猿門に相手をしてもらったことがあるが、全て指一本で相手にされているにも関わらず、未だ一度も勝てたことがない。
「巫兎、大丈夫なのか?あの看守強いぞ」
「ごめんね巫兎ちゃん、僕が余計なこと言っちゃったから……」
「いくらなんでも女相手に本気はださねーだろ」
「でもなんか、あの看守の最後から炎が見えんだけど」
どれどれ~と、他の3人も見てみると、どうやら猿門は本気のようだ。
そしてお待ちかねの猿門が巫兎の名前を呼んだため、巫兎は一つ溜め息をつくと返事をし、演習場の真ん中へと出る。
「猪里!!どこいこうとしてやがる!!」
この隙に、こっそりとこの場から離れようとしていたのを猿門に気づかれ、猪里は立ち止まり苦笑いを浮かべる。
「コイツが終わったら次はお前の相手をしてやるからそこで待ってろ!!」
「ゲッ!!」
そんな会話が終わると、猿門は巫兎へと向き直り構えの体制に入る。
それも指一本なんて優しいもんじゃなく両手だ。
「あの看守マジかよ!?」
「相手は女だぞ!!」
「そうですね、あれは危険かもしれません」
心配する4人の横から声がし振り向けば、いつの間にか走り終えていた、5舎8房の囚人、囚人番号58番のウパ、囚人番号2番のリャン、囚人番号71番のチィーの姿がある。
「まさかこんな事態になっていたとは……」
「まぁいーんじゃね?あの人も巫兎ちゃんと手合わせしたいんでしょ」
「そうですね、前のこともありますし」
話がわからず首を傾げる13舎の4人だったが、その時突然大きな音が響き、皆の視線が目の前の光景へと向けられる。
そこには、猿門の突きなどの技を素早い動きで交わし、欠伸をしながらまるで舞うようにして踊る巫兎の姿があった。
「なっ!何なんだよあれ!?」
「彼女は猿門さんより強いんですよ。なんせ猿門さんは今までに一度もあの方に勝てたことはないですから」
「私も手合わせを頼んだことがあるのだが、面倒だからといつも断られてしまう」
そんな話をしている間にも、巫兎の指が猿門の体を突いていく。
突くといってもそんな優しいものではなく、指一本に気を集中させることによりかなりの痛みとなる。
「ッ!!」
「もう、猿門主任ったら!そんな怖い顔しちゃいや~ん」
語尾にハートマークをつけ言われた言葉は、猿門をイラつかせるには十分だった。
「このやろう……バカにしやがってッ!!」
「バカになんてしてませんよ、お猿さんのお尻のように顔を真っ赤にしてイラつく主任が面白いだけです」
「やっぱバカにしてんだろ!?」
そんな二人の会話に、外野からJapanese漫才という声がするが、今の二人にはそんな声など届かない。
今見えるのはお互いだけで、一人は悔しさで顔を歪ませ、一人は笑みを浮かべ楽しんでいる。
「そろそろボク達は退散しましょうか」
「そうだな。お前達も早くこの場を離れた方がいい」
「え~、なんで?僕まだ二人の戦う姿みたいよ!」
大変なことになりたくないなら行きますよとウパに言われ、ニコも皆も仕方なくその場を離れることにした。
そして、皆がいなくなって少し経った頃、巫兎と猿門の勝敗はついた。
地面には、大の字になり倒れる猿門。
服は汚れ、息は上がっている。
そして対照的に巫兎は、今までに猿門と戦っていたのかと疑いたくなるほどに無傷であり、平然と欠伸をしている。
そんな光景を見れば、勝敗などわかりきっていた。
「じゃ!私仕事に戻りまーす」
そういいその場から巫兎が去ると猿門が起き上がり、鋭い視線がずっと待っていた猪里へと向けられた。
「猪里、次はお前の番だ」
その言葉は死への招待状であり、その招待を断ることは猪里にはできない。
そして場所は変わり囚人達だが、ニコはやっぱりさっきの戦いが見たかったと残念がっていた。
「ねー師匠、なんでダメなの?」
「あそこにいたらなんかあんのかよ?」
「はぁ……。いいですか、あのままなら猿門さんは負けてしまいます。そして負けたとき、そのイラつきでこちらに被害が出るんですよ」
そう、その生け贄となったのが今回は猪里だったのだが、今までにリャンやウパ、そしてチィーまでも被害を被ったことがあり、3人の顔は真っ青だ。
「お前ら、苦労してんだな……」
そしてその翌日、あの恐怖が猪里にトラウマを植え付け、しばらくは真面目に働いていたようだが、数日経てば直ぐにまたサボり癖は戻ってしまったようだ。
巫兎と猿門の漫才、あれはきっと、お互いがお互いの強さを知っているからなのかもしれない。