軽い言葉も本気の言葉
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
風明 音根(ふうめい おとね)
■友達(親友)
陽子(ようこ)
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「あれ本気だったわけ?」
「当たり前だ。そうと決まれば今日は、音根の想い人を――」
大声で叫ぶものだから、喜八郎は滝夜叉丸の口を慌てて塞ぐと、そのまま廊下へと連れ出す。
人通りがあまりない場所まで来ると、喜八郎は音根本人に聞かれたらどうするんだと滝夜叉丸に怒る。
「そう怒るなって。それよりもだ、音根の想い人を突き止めるために、今日は二人で一日、音根の監視をしようと思う」
「だから、突き止めてどうするのさ。それに、僕と音根の関係はもう友達に戻ったんだから、今更どうしようも、って滝夜叉丸聞いてる?」
喜八郎は乗り気じゃないというのに、滝夜叉丸はヤル気に溢れており、喜八郎の話などまるで聞いていない。
そんな不安を残したままホームルームの時間となり、二人教室に戻る。
とくに何の問題もないままお昼を迎えると、突然滝夜叉丸に腕を掴まれ教室から連れ出される。
今からお昼にしようとしていたというのにこんどは何かと尋ねれば、出てきたぞと言う言葉で視線の先を見る。
すると、教室からお弁当を手に出てきた音根の姿があった。
後をつけるぞと無理矢理連れていかれ、辿り着いたのは屋上。
こんなことをしていても仕方がないと思い、教室に戻ろうとした喜八郎だが、滝夜叉丸の言葉で階段を下りかけた足は止まり、滝夜叉丸と同じ様に自分も扉の隙間から屋上の様子を見ると、そこには音根と一緒にお弁当を食べる、上級生の3年、善法寺 伊作の姿がある。
「あの様子を見る限り、どうやら音根の好きな上級生というのは善法寺先輩のようだな、って喜八郎、何処へ行くんだ」
「お弁当を食べに教室に戻るんだよ」
階段を下りていく喜八郎の背に、このまま諦めるのかという滝夜叉丸の言葉が投げ掛けられたが、それに応えることはなく屋上を去る。
諦めるも何も、すでに終わった恋であり、相手が上級生、それも伊作なら仕方がない。
伊作は不運なほどに悪いことばかりを引き寄せる人物だが、男女問わず優しい性格と見た目のかっこよさ、そして不運なところが可愛らしいと女子達からの人気も高い。
それに比べて自分は誰に対しても軽い口調なため、男女から真剣さがないと言われたことがある。
そんな自分なんかより伊作の方がいいのは当然であり、音根にとってもその方がいいのだ。
「喜八郎!!」
「全くしつこいな」
お弁当を食べていると、目の前に滝夜叉丸が現れた。
何故人の事でここまで一生懸命になれるのか理解できないが、本人はすでに諦めがついているというのに関係のない滝夜叉丸は諦めていないようだ。
本当に諦めるのかと言われ、そうだけどと軽く答えると、喜八郎がそれでいいなら私はもう何も言うまい、とどうやらようやく諦めてくれたようだとほっとすると、滝夜叉丸は最後にあることを言い残した。
それは、明日のお昼休みに音根が伊作に告白をするというものだが、自分には関係のないことだ。
そして翌日のお昼。
今日は滝夜叉丸の邪魔もなくゆっくりお昼を食べていると、教室から音根が出て行くのを見掛け、伊作に告白をしに行くのだとわかる。
自分には関係ない。
そう思っているはずなのに、気付けば教室を飛び出し屋上へと走っていた。
どんなに自分に言い聞かせていても、やっぱり諦めることなんて出来ないのだ。
今まで軽い口調で必死や真剣なんて言葉は似合わなかったというのに、今の自分は真剣で必死そのものだ。
屋上の戸を勢いよく開けると、そこには音根の姿しかなく、まだ伊作は来ていないようだ。
喜八郎は音根の腕を掴むと、この場から離れさせようと引っ張る。
「ちょっ、喜八郎!?」
「告白なんてさせない。音根が何て言おうと、僕は音根の事が好きだから」
だから誰にも渡さないと伝えると、背中に温もりを感じた。
顔を斜めに向け視線を下に落とすと、自分の背に音根が抱きついているのが見える。
何故こんな状況になるのかわからずにいると、小さな声が微かに聞こえ耳を傾ける。
すると、背にくっつけていた顔を上げた音根は笑みを浮かべ、嬉しいと口にした。
「喜八郎いつも軽いから、本当に私のこと好きなのかずっと不安だった」
そう言うと音根は全てを話しだした。
本当は、好きな人が出来たなんて嘘で、引き留めてくれることを期待していた。
だが喜八郎に、自分にも好きな人が出来たと言われショックを受けた音根は、嘘だと告げられず別れることしかできなかった。
それでも、自分が喜八郎を好きという気持ちに変わりはないため、友達でいてほしいと言ったのだ。
こうして別れてしまった翌日、偶然伊作と屋上で会った音根はその事を相談していたらしく、その現場を見たのが喜八郎と滝夜叉丸が屋上で二人を見たときだったわけだ。
そして喜八郎はその場から去ったわけだが、その話には続きがあった。
残っていた滝夜叉丸が音根と伊作の話を聞いてしまい、二人の前に現れると、私に任せておけと言い、音根には今日のお昼屋上に来るようにと伝えていたらしい。
どうやら滝夜叉丸にまんまとはめられたらしく、音根が伊作に告白すると言えばここに来ると確信していたようだ。
そしてその予想は当たったわけだが、一体自分が屋上に来なければどうしていたのか。
だが、今だけは感謝をしなければいけないようだ。
こうしてまた二人の想いを再確認することができたのだから。
その翌日。
めでたく音根と喜八郎は寄りを戻したわけだが、自分をはめた滝夜叉丸に対しての喜八郎の態度は更に冷たくなったとか。
《完》