その名は
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
風明 音根(ふうめい おとね)
■友達(親友)
陽子(ようこ)
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「それならその背中、私が代わりに守ろう」
「何をいってるの……。私の話を聞いてなかったんですか?」
「聞いてたよ。だから」
腕を引き反転させると、昆奈門は音根を背中から抱き締めた。
「私が君の背を守る。だから君には、私の背を守ってほしい」
驚きで反応できない音根の耳元で低く囁かれた言葉で、音根はサッと昆奈門から距離を取ると、そんなのはお断りですと言い捨てて、スッと姿を消してしまう。
昆奈門はその場に座り空を眺めながら、何故自分はあんなことを言ったのだろうかと考えた。
忍者にとって任務を遂行することが大切であり、それさえできれば十分だ。
だが、チームで組、連携をとることも大切なことであり、それを教えるためにこの場所に連れてきたはずだった。
「はず、だったんだけどねぇ」
気づいたときには体が動き、何故か言葉が口から出ていた。
そんな自分に一番驚いたのは自分自身であり、音根はとくに気にした様子もなく平然と去っていった。
「何だか、懐かしい感情だ」
こんなにも一人の女を気にし、一人の女の事で頭を一杯にするなど、何年ぶりのことだろうか。
「この懐かしい感情の名を口にするのは、まだ早いかな」
頭巾で隠された口許をフッと緩ませると、昆奈門はそっと瞼を閉じた。
そしてその日以降、昆奈門は音根と任務を共にすることを増やしていった。
最初は嫌そうな顔をし拒んでいた音根だが、回数が増すごとに、溜息を一つ吐くだけで何も言わなくなっていく。
だが、やはり任務は一人でこなそうとするため、二人で行動する意味がない。
「そろそろ、私の事を信頼してくれる気にはなったかい?」
「なりません」
ただ一言冷たく答えると、またも音根は先に突っ走っていく。
昆奈門は一つ溜息を吐くと、音根の背を追う。
ミスなく完璧に一人でこなく音根には、昆奈門の入る隙などない。
だが、一人で全てをこなすには限度と言うものがある。
だからこそのチームなのだから。
「しま、ッ!?」
その時、かかってしまった罠に音根の声が漏れたとき、苦痛の声が耳に届いた。
音根の背を庇うように立っていた昆奈門の背には、矢が刺さっている。
「組頭ッ!!」
「やっぱり、君の背を守る人物は必要だった、だろ、う……」
覆い被さるように倒れた昆奈門を音根一人の力で支えきれるはずもなく、一緒に地面に倒れてしまう。
昆奈門の呼吸は荒く、どうやら矢には毒が仕込まれていたようだ。
「兎に角今はここから離れないと」
まだここは偵察に来た城の中であり、直ぐにその場から離れなければならない。
音根は昆奈門の腕を肩に回すと、ズルズルと引きずり歩く。
しばらく昆奈門を背負いながら向かった先は、前に昆奈門と来たことのある場所だ。
昆奈門を地面に下ろすと、聞き覚えある声に振り返る。
「あれ?そこにいるのはもしかして」
そこにいたのは、前に見たことのある忍たまの姿であり、その忍たまはどうやら状況を察したらしく、持っていた薬箱を開けると手当てを始める。
その様子をじっと見つめる音根だが、苦しそうに声を漏らす昆奈門の姿に音根の表情まで歪む。
「もう大丈夫ですよ。少しここで休ませてあげてください。では、僕はお使いの途中なので」
「な、何で、助けてくれたの……?」
昆奈門から忍たまの保健委員には何度かお世話になったと聞いたことがあり、前に見かけたこの場所まで来たわけだが、手当てをし
去っていこうとするその少年に、音根は問いかけた。
だが、返ってきた返事は笑ってしまうくらいお人好しなものであり、音根はフッと笑みを溢すとありがとうとだけ伝えた。
「保健委員だから……」
忍たまが言った言葉を呟くと、あの子は忍者には向かないなと思ってしまう。
しばらくして昆奈門の意識が戻ると、音根は自分の水が入った竹筒を昆奈門に差し出す。
受け取った水を飲むと、この手当ては忍たまがしてくれたと聞き、また仮ができてしまたようだと昆奈門は口許を緩ませる。
「あの忍たまもだけど。組頭、あなたもお人好しです」
敵の忍者でも関係なく手当てをしてしまう忍たまに、任務が終わったというのに自分を庇い怪我をする組頭。
そんな二人の行動は、音根には理解できないものだ。
それでも、言うべきことは伝えなければならない。
「一応言っておきます。ありがとうとございました……」
背を向けながら言われたありがとうの言葉に、昆奈門の胸が締め付けられ、気づけばまた音根を抱き締めていた。
「言ったはずだ。私は君の背を守るってね」
「その必要はありません。あれくらい一人でかわせましたから」
強がりながら言う音根を見て、ニヤけずにはいられない自分のこの気持ち。
最初は呼ばずにいたこの感情の名を、今なら口にしてもいいのかもしれないが、今はやはりまだ早いようだ。
《完》