浮かれる恋と続く友情
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
風明 音根(ふうめい おとね)
■友達(親友)
陽子(ようこ)
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「二人で帰るなんて久しぶりだね」
「そうだな」
兵助に音根を紹介するまでは二人で帰ることもあったのだが、今は三人で帰るのが何時ものことになっていた。
いつの間にか胸のモヤは消えていたが、久しぶりに二人で歩いていると胸の鼓動が煩くなる。
やっぱり自分は音根が好きなのだと実感すると、兵助にどう話せばいいのかわからない。
だからといって、好きな相手からの告白とも言える言葉を断ることなど出来るはずがない。
「じゃあ、また明日。返事はいつでもいいから」
音根と別れたあと、勘右衛門は兵助の家を訪れた。
インターホンを鳴らすと兵助が扉を開けてくれ中へと入る。
兵助は一人暮らし。
周りを気にすることなく話すことが出来るため、リビングに入ると直ぐに本題を切り出した。
「兵助、実は__」
「音根ちゃんに告白されたんだろ」
話す前に兵助が知っていたことに驚いてしまうと、兵助は廊下での二人の会話を聞いていたことを話した。
告白されたことは勿論、本命チョコを貰ったことも兵助は知っている。
そんな兵助に言えることは、ごめんの一言だ。
きっと兵助は傷付いたに違いないと思っていると、頑張れよという言葉がかけられた。
「音根ちゃんの好きな相手が勘右衛門なら、俺も納得できるからさ」
「兵助……」
ぎこちない笑みを浮かべる兵助は、辛い気持ちを押し込んでいるのだと長年の付き合いで直ぐにわかる。
自分が屋上で感じたモヤモヤよりも辛いその感情は、きっと直ぐには癒えない。
その夜、家に帰った勘右衛門は悩むのは辞めようと顔を上げた。
兵助の辛い気持ちを無駄にさせないためにも、勘右衛門は自分の気持ちを音根に伝えなくてはならない。
貰った紙袋に入った箱を取り出し開けると、中に入っていたのは手作りのトリュフチョコ。
一粒摘まんで口に入れると、甘さと苦さが口の中で広がり、まるで今の自分のようだ。
そして翌日、勘右衛門は音根を空き教室に連れていき告白の返事をする。
自分も好きだということを伝えると、音根は頬を染め笑みを浮かべた。
本当に、と尋ねる音根の腕を引き抱き締めると、耳元でハッキリと伝える。
「俺は音根のことが好きだ。誰にも渡さない」
我ながら恥ずかしいことを言っているとは思うが、それでも伝えなければならない。
応援してくれた兵助の気持ちを無駄にしないためにも。
音根の手が勘右衛門の背中に回され、二人の想いが通じた瞬間だった。
そしてこのあと勘右衛門はというと、真っ先に兵助にこのことを報告し、兵助はよかったなと一緒に喜んでくれた。
親友との関係も壊れることもなく、好きな人まで傍にいてくれる。
これを幸せと言わずになんというのか。
それから数日が経ち、バレンタインの日から付き合いだした勘右衛門と音根は、付き合う前と変わらない日々をおくっていた。
朝学校に行けば音根と挨拶を交わし、お昼になれば三人で外のベンチへ行き食べ、下校時間には三人で帰る。
そんは毎日だ。
そして今日は土曜日。
学校が休みであり、勘右衛門は兵助の家に来ていた。
だが、遊びに来たわけではない。
突然兵助にメールで呼ばれたため来たのだ。
「兵助、話ってなんだ?」
「なんだじゃない!音根ちゃんと付き合ってるのに何でデートにすら誘わずにいるんだよ」
二人が付き合って数日が経つが、二人で出掛けるなんてことは一度もなく、会うのも学校だけだ。
そんな変わらな過ぎる二人の関係に兵助は怒っているようだが、付き合ってるとはいえ何をしたらいいのかわからないのが勘右衛門の現状だ。
そこで兵助がある提案をし、それを実行することとなった。
そしてその日の夕方、勘右衛門はスマホとにらめっこをしていた。
メール画面を開いたかと思うと、そこで止まってしまう。
「兵助にはああいわれたけど、どうすればいいんだ」
兵助が提案したこと、それは、明日の日曜日に音根をデートに誘うというものだ。
付き合ってるんだから恋人らしいことでもしてこいと背中を押されたものの、こんなことは初めての経験で、何てメールを送ればいいのかわからない。
ここは普通に、明日デートでもしないか、と直球に誘うか、それとも、明日は暇かどうか先ずは予定を聞いてみた方のがいいのか。
こんな風に悩み続けて30分。
いまだ答えが出ず困っていると、スマホがなり鼓動が高鳴る。
まさか音根からなんじゃないかと画面をみると、兵助と書かれている。
少しガッカリしてしまう自分もいたが、一体なんだろうかと出てみると、どうやら自分が悩んでメールが送れていないんじゃないかと思い電話をしてくれたようだ。
時々兵助はエスパーではないかとさえ思えてしまう。
だが、これは兵助に相談するチャンスだと思い相談をしてみると、そんなの簡単だろと余裕といった返事返ってくる。
「普通に、明日一緒にデートしよう。でいいだろ」
「そんな直球でいいのか!?」
恥ずかしさもあるが、もし断られればショックは大きい。
そんな勘右衛門の心情がわかったのか、兵助は言葉を続ける。
「そんなに悩まなくても、お前は音根の彼氏なんだから、堂々としてればいいんだよ」
兵助の言葉に勇気をもらい、今なら送れるかもしれないと思った勘右衛門は兵助に礼を伝え電話を切ると、メールが面を開く。
そして文字を打とうとするが、その指は止まる。
すると勘右衛門は、メール画面を閉じ電話を開くと、音根に電話を掛けた。
もしもし、という可愛らしい声が耳元で聞こえる、鼓動は早鐘を打つ。
だが、伝えなければと思い、日曜日に一緒に遊ばないかと誘う。
「うん、大丈夫だよ」
「そ、そっか。じゃあ明日はお昼にいつもの公園で」
電話を切ったあと、勘右衛門はガッツポーズをすると、再び電話が鳴る。
もしかしてまた音根からなんじゃないかと思い慌てて出ると、聞こえたのは兵助の声。
どうやら、無事音根を誘えたのか心配してかけてくれたようだが、どうも兵助はタイミングが悪い。
だが、今だけは許す。
兵助が背中を押してくれたからこそ、新たな一歩が踏み出せたのだから。
「ありがとな、兵助」
電話越しにニヤけが止まらない勘右衛門のことなど知りはずもなく、上手くいったみたいでよかったなと、兵助も一緒に喜んでくれているのがわかる。
バレンタインから始まった恋。
これから一体どうなっていくのか今から楽しみだ。
《完》