浮かれる恋と続く友情
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
風明 音根(ふうめい おとね)
■友達(親友)
陽子(ようこ)
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明日はバレンタイン。
女の子が男の子にチョコをあげる日なのだが、何故かここ、久々知 兵助の家では、兵助が豆腐を作っていた。
作った豆腐を綺麗にカットすると、回りをチョコでコーティングし皿に乗せる。
そしてその皿をリビングで待つ尾浜 勘右衛門の目の前に置き、食べてみて、と緊張した様子で見詰める。
いただきますと手を合わせると、勘右衛門は箸で豆腐を掴み口へと運ぶ。
「どうかな?」
「う~ん……不味くはないけど美味くもないかな」
やっぱりダメかと落ち込む兵助に、元気を出せよと励ます勘右衛門。
この二人が何をしているかというと、兵助が想い人に逆チョコをしたいというので、勘右衛門はそのチョコの味見に付き合っていた。
兵助といえば豆腐好きで有名であり、その豆腐好きはバレンタインにまで影響を及ぼしていた。
普通のチョコを作れば簡単な話なのだが、兵助は自分が好きな豆腐でアレンジしたチョコを贈りたいと、バレンタイン2週間前からこの調子だ。
すでに明日がバレンタイン当日。
今日中に完成させなければバレンタインに間に合わなくなってしまうため、勘右衛門は今日も学校帰りに兵助の家に来て味見をしている。
「明日がバレンタインなのにどうしよう」
「元気出せって、付き合うからさ」
結局その日、勘右衛門は平助の家に泊まり、何とかバレンタインに豆腐チョコを間に合わせることができた。
一緒に学校へ向かう途中、聞いていなかった相手のことを尋ねると、兵助は頬を染め顔を背けてしまう。
顔もよく成績も優秀ともなれば女の子の人気も高いのだが、兵助が恋をした話など聞いたことがなかった。
そのため、今回のバレンタインのことも聞いたときは驚いたが、一体兵助を落とした女の子がどんな子なのか気になる。
「実は、俺が好きなのは音根ちゃんなんだ」
その瞬間、時間が止まったような感覚が勘右衛門を襲う。
兵助の想い人は勘右衛門と同じクラスの音根だった。
勘右衛門と音根は同じクラスで仲良くなり、そんな勘右衛門と仲のいい兵助に音根を紹介すると直ぐに仲良くなった。
クラスは違うが3人で遊ぶことも増え、勘右衛門は仲の良い3人組という感覚だったのだ。
だが、まさか兵助が音根に恋をしていたなど思いもしなかった。
「どうしたんだよ勘右衛門」
「あ、ああ。ちょっと驚いただけだ。頑張ってチョコ渡せよ」
ニッと笑みを浮かべ言うと、兵助は勿論だと笑みを返す。
胸が苦しくなるのはきっと、二人が恋人になったら3人で遊ぶこともなくなると思っているからだ。
友達というのに変わりはないというのに、何故か友達を二人同時になくしてしまうような気持ちになる。
だが、音根も兵助も大切な友達だからこそ、恋を応援しなければならない。
3人で遊ぶことが減ったとしても、友情にヒビが入る訳ではないのだから。
そんな事を考えながら、一旦兵助と別れると教室に入る。
すると、隣の席の音根がおはようと挨拶をしてきたのでいつも通りおはようと挨拶をする。
いつも通りの挨拶だが、予鈴が鳴ったあとも音根の事が気になってしまい授業どころではない。
普段気にしたこともなかったが、音根は兵助の事をどう思っているのか。
恋や愛などといった話は兵助もだが、音根からも聞いたことがない。
「勘右衛門ってば」
「っわ!?」
突然覗き込まれ驚くと、お昼食べに行こうと音根が誘ってきた。
時計を見ると12時。
いつの間にか時間が経っていたようだ。
こんな時間になるまで気付かないなんて、どれだけぼっとしてたんだと自分を笑ってしまいそうになる。
兵助と登校途中に買ったパンの袋を手に、音根と兵助のクラスに行こうとしたその時、呼びに行こうとしていた本人からやって来た。
手には一緒に買ったパンが入った袋を持っており、隠すようにバレンタインチョコを入れた袋も持っている。
お昼時間。
唯一別のクラスの兵助が音根と過ごせる時間。
今渡さなければ下校時間しかチャンスがなくなるため、お昼時間の今渡すつもりなのだろう。
3人学校の外にあるベンチへと向かうと、何時ものように音根を真ん中にし座る。
とくにこの位置に意味はなかったが、兵助の気持ちを知った今、自分は兵助の隣に座るべきなのかもしれないと思う。
つい癖で座ってしまったため、明日からそうしようと一人頷く。
すると、兵助がそわそわと落ち着きがないことに気づいた。
どうやら、チョコを渡すタイミングを伺っているようだ。
協力したいが、こればかりは兵助が自分から渡さなければ意味がないため、勘右衛門は適当な理由を着けて一度その場を離れることにした。
去り際に、頑張れよと兵助だけに聞こえるように言い残すと、勘右衛門は適当に暇を潰そうと屋上へ行く。
屋上からならベンチに座る二人の様子も見えるため、タイミングを見計らい戻ることにする。
だが、なかなか兵助は音根にチョコを渡せず、これでは無理そうかと思ったとき、音根が兵助に何かを渡した。
よく見えないが、そのあと兵助がチョコを渡したのを見る限り、どうやら音根も兵助にチョコを渡したようだ。
その様子を見届け、二人の元へ戻る勘右衛門だが、音根が兵助にチョコを渡している光景を思い出すと胸の辺りがモヤモヤとする。
それから時間は経ち下校時間となるが、いまだ勘右衛門の胸のモヤモヤはなくなっていない。
「勘右衛門、帰る前にちょっといいかな」
いつもは二人で兵助の教室に迎えに行き三人で帰るのだが、今日は音根に呼ばれ人通りの少なくなった廊下に来ていた。
一体なんだろうかと思っていると、勘右衛門の目の前に小さな紙袋が差し出された。
よくわからず首を傾げる勘右衛門だが、バレンタインチョコだよ、という音根の言葉で紙袋の中身がわかる。
どうやら音根は兵助だけでなく、自分の分も作ってくれていたようだ。
つまり、兵助と勘右衛門が貰ったチョコは義理ということになる訳だ。
この事を兵助に伝えるべきか迷っていると、本命だから、という声が聞こえ音根をみた。
頬を色付かせる音根を見れば冗談でないことはわかる。
そして、心で喜んでいる自分がいることにも気づいてしまった。
音根に礼を伝えチョコを受け取ると、カバンにしまう。
先程まで義理だと思っていたチョコが自分のは本命だとわかり、こんなこと兵助に話せるはずがなかった。
それも、自分も音根のことが好きだなんて言えるはずもない。
それから音根と二人兵助の教室に行くが、すでに姿はなく。
来るのが遅くなったため先に帰ってしまったようだ。
こうして音根と二人で帰ることになったわけだが、先程のことがあったせいか話しづらい。