俺が笑えば君は咲く 前編
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
風明 音根(ふうめい おとね)
■友達(親友)
陽子(ようこ)
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「風明さん」
「ッ!?雷蔵?いや、三郎か?」
「正解!やっぱ風明さん見てたんだ?」
顔を真っ赤にしている勘衛右門を見て、三郎がニヤリと笑みを浮かべる。
冷やかすように好きなんだと聞いてくる三郎に、そんなんじゃないからと否定し椅子に座ると自分の気持ちを静めるようにご飯を掻き込む。
「風明さん、好きな人はまだいないみたいだよ」
「ッ、ゲホッ、ゴホッ!!」
勘衛右門の前に座った三郎が言った言葉に、ご飯が変な気管に入り噎せてしまう。
何とか落ち着き顔を上げると、三郎はニヤニヤとした笑みを勘衛右門に向けている。
だが、興味がないといった様子で続きを食べ始めると、まだ他にも風明さんについての情報があるんだけどなぁと態とらしく言う。
「でも、勘衛右門は興味なさそうだし、他の忍たまに教えよっかなぁ。風明さんって、下級生にも上級生にも人気あるから知りたい人は沢山いるんだよね」
そう言い、他の忍たまに声をかけようとする三郎の袖を勘衛右門は無意識に掴み引き留めてしまう。
こうなっては、もう自分にも三郎にも言い訳ができなくなり、教えてくださいと頼み込む。
「最初から素直になればいいのに」
勘衛右門は、三郎が話す音根の情報を知るとその情報を元に動き始めた。
その情報と言うのは、音根の好きな異性のタイプだ。
三郎の情報によると、音根は優しい人が好きらしく、前に六年生の善法寺 伊作が素敵だと同じくのたま同士で話していたようだ。
他にも、忍たまの五年生の不破 雷蔵にも好印象らしい。
「話してるのを聞いたんだが、どうやら雷蔵が図書委員の当番の時に、音根が本を借り行ったらしいんだ。そのときに、高くて取れなかった本を雷蔵が取ってあげたらしい」
同じ五年生にも好感を持っている人物がいると知り、自分も負けていられないと手に力が入る。
だが、何より今勘衛右門がしなければいけないことは、音根と話をし距離を縮めることだ。
まだ二人で話したのは食堂で話したあの日だけのため、話す機会を増やさないことには視界にすら入らない。
「よし!兵助が昼飯済ませて食堂から出ていった今がチャンスだぞ、勘衛右門!」
「ああ」
昼ご飯を手に音根に近づくと、前に座っても大丈夫か声をかける。
すると音根は、ニコリと笑みを浮かべ勿論と了承する。
「あれ?尾浜くんのご飯かなり減ってるけど、別のところで食べてたんじゃ」
「あ、ああ。そうなんだけど、少し風明さんに話したいことがあって」
「私に?」
前の時とは違い、今回は何の話なのかわからず音根は首を傾げている。
そんな音根に話したかったこと、それは、明日の休暇、一緒に町に行かないかというデートの誘いだった。
一体何て返事が返ってくるのか、少し考える仕草をする音根からの返事は了承するものだった。
「え?いいの?」
「うん!明日は丁度予定もなかったから、一緒に町に行こ」
音根は手を合わせ、御馳走様でしたと言うと立ち上がる。
そして、また明日ねと言い残すと食堂を出ていってしまった。
その様子を全て見ていた三郎が音根の居た席に座ると、ニヤニヤとしながら勘衛右門に視線を向けている。
「な、何だよ」
「いやー、幸せそうだなぁって思ってさ」
「三郎、お前は俺をからかいたいみたいだな」
「まぁね」
ニコニコと笑みを浮かべながら言う三郎だが、勘衛右門はそんなこと気にしていないようだ。
今日は許してやると三郎に言うと、勘衛右門は残りのご飯を綺麗に平らげ食堂を後にした。
「あの勘衛右門があそこまで浮かれるなんて……」
他の忍たまにも人気があるというのは事実なのだが、まさか勘衛右門までもが音根に本気だということに正直三郎は驚いていた。
何時もの軽い感じなんだと思っていたが、どうやらそうではないようだ。
「三郎」
「雷蔵じゃないか。今から昼飯か?」
「うん、そうなんだけど。今スレ違った勘衛右門の様子が可笑しかったんだけどどうかしたのかな?何だか凄く嬉しそうだったけど」
「うーん、恋は人を変えるみたいだからね」
首を傾げる雷蔵だが、そんな雷蔵を座らせると、話題を音根のことに変える。
実は雷蔵は本を取ってあげたことが切っ掛けで、音根が本を借りに来る度に何度か話す仲になったのだ。
兵助のように親しくはないが、音根の情報が何か掴めるかもしれない。
同じ五年生である勘衛右門のために、少しくらいは協力をしようという三郎の優しさからだ。
「風明さんについて雷蔵が何か知ってることってある?」
「風明さん?あ!そういえば風明さん、最近気になる人ができたって話してたよ」
「え!?それはちょっと不味いかも……」
勘衛右門の為の情報収集がまさかの事実を知ることになってしまい、これは勘衛右門の耳に入ったら大変だと考える。
「全く、何て爆弾を」
「え?何か僕余計なこと言っちゃったかな?」
この事実を知るのは三郎と雷蔵だけであることを信じ、せめて明日の外出が上手く行くように三郎は祈った。
《完》