俺が笑えば君は咲く 前編
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
風明 音根(ふうめい おとね)
■友達(親友)
陽子(ようこ)
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忍たまの五年い組、久々知 兵助は、くのたまの音根と仲が良く、食堂でもいつも二人は一緒にご飯を食べ、二人で一緒にいる姿を見かけるなんて毎日だ。
そんな二人を見ている周りは、付き合ってるんじゃないかとも思い噂されたこともあったが、二人の関係は友情以外のなにものでもないことがわかってからは、そんな噂はなくなった。
だが最近、二人についてある噂が広がっていた。
それは、そこまで仲が良かった二人が口を利かなくなったというものだ。
「なぁ兵助」
「ん?何?」
そんな噂は勿論兵助と同じ五年生の耳にも入っており、ここ食堂では今正に、五年い組の尾浜 勘右衛門がその件について本人に聞こうとしていた。
だが、話を聞こうとしたタイミングで食堂に音根がやって来てしまい、兵助は音根に気づいたとたんご飯を口に掻き込むと、食堂を出ていってしまう。
どうやら噂は本当のようだが、あれだけ仲のよかった二人がこうなってしまった原因を知るべく、勘衛右門は音根の座る場所へと移動し声をかけた。
「ここ、座ってもいいかな?」
「あ、尾浜くん。勿論いいよ」
許可をもらい音根の目の前に座ると、早速本題を話そうと口を開こうとしたとき、先に音根が口を開いた。
「兵助とのことでしょ?」
「当り!よくわかったね」
「そりゃわかるわよ。尾浜くんって私が一人のときって話しかけてこないもの」
そう言われて気づいたが、音根の言う通り今まで話したことがあるのは全て、兵助と三人の時だけであることに気づく。
誰にでも基本声をかけられるタイプの人間である勘衛右門だが、音根には声をかけることができない。
三人で話すときは会話の流れなどで話せるのだが、一人でいるときの音根は物静かで声がかけづらいのだ。
「そんな尾浜くんが私に話しかけてくるってことは、何か私に用があるってことでしょ」
だが、もし先生からの言伝ならわざわざ音根の前に座ることもない。
伝言でないとすれば、消去法で兵助との事だと予想したようだ。
「流石だだね。で、喧嘩の原因って何?」
「豆腐」
「え?」
「だから豆腐なのよ」
喧嘩の原因が豆腐とはどういうことなのだろうかと更に詳しく聞いてみると、どうやら、喧嘩の始まりは今から二~三日前。
つまり、二人が口を利かなくなったという噂が丁度流れ始めた頃だ。
その日、兵助に呼ばれた音根が食堂を訪れると、そこに兵助の姿はなく。
待ってようとしたとき、視界に豆腐が映り込んだ。
美味しそうな豆腐を目の前に、少しなら食べてもいいかなと思った音根はその豆腐を一口食べたのだが、そのあまりの美味しさにぺろっと完食してしまった。
そこに丁度兵助がやって来ると、皿にあったはずの豆腐がないことに気づき激怒したようだ。
「可笑しいなぁ。兵助なら、自分で作った豆腐を食べてもらえたら喜ぶと思うんだけど」
「うん、兵助が作った豆腐ならね」
その話には続きがあり、あまりに兵助が怒るものだから、そんなに怒らなくてもいいじゃないと言い返した音根だが、どうやらその豆腐は貴重なものだったらしく、毎日数量限定のため、買えないことがほとんどのようだ。
兵助もようやく買えた一丁だったらしく、激怒した理由も豆腐好きの兵助なら頷ける。
「でも、それって風明さんが悪いんじゃ……」
「うん、そうなんだけど。豆腐一丁であそこまで怒られると、何かこっちまで頭きちゃって」
そのあとは喧嘩になり、遂には、豆腐くらいでそこまで怒ることないじゃない、と音根は言ってしまったらしく、豆腐くらいという言葉に兵助も何かがキレたらしく、それからお互いに口も利かなくなってしまったようだ。
何故豆腐のことでここまでの喧嘩になるのかと呆れた笑みを浮かべる勘衛右門だが、前に豆腐が原因で他の忍たまとも喧嘩をしていた兵助を見たことがある勘衛右門のため、そこまでの喧嘩となっても可笑しくはない。
「まぁ、一応喧嘩の発端は、風明さんが豆腐を勝手に食べたのが原因なんだし、謝った方がいいんじゃないかな?」
「それは、そう、なんだけど。今更謝りにくくて」
「でも、喧嘩したままなんて嫌じゃない?」
「……嫌」
どうやら音根の中ではすでに答えが出ているらしく、勘衛右門に礼を言うと食堂を出ていってしまう。
それから時刻は過ぎ、昼飯を食べに食堂に来てみれば、二人向かい合わせに座り笑いながら話す音根と兵助の姿があった。
その様子に仲直りできたんだなと思っていると、勘衛右門と目が合った音根が駆け寄ってくる。
「尾浜くん、ありがとう」
「え?」
「私一人だったら、きっと意地になって謝れなかったと思うから。だから、仲直りできたのは尾浜くんのお陰なの。ありがとう」
ニコリと柔らかな笑みを浮かべるその姿に、勘衛右門の鼓動は高鳴った。
兵助の所へ戻ってしまう音根の背をぼーっと見つめていると、食堂にやって来た同じ五年生の鉢屋 三郎が不思議そうにその視線の先を辿る。