雪の思い出(運命)
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【デフォルト名】
サナギ ハル
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「……ん…………ハルさん?」
目を覚ましたロビンが起き上がると、ハルは静に、リビングで朝食を取りましょうと言う。
二人リビングへと向かうと、開け放たれたカーテンの向こう側の、真っ白に染まる世界がロビンの瞳に映る。
「雪……」
ロビンが呟いた言葉に気づかない振りをし、ハルはいつものようにココアを淹れる。
この日飲んだココアは何時も以上に温かく感じ、寂しさや辛さが渦巻くロビンの心を慰める。
だが、そんな風に慰められると、瞳からは涙が溢れてしまう。
帰れるのだから嬉しいはずで、喜ぶはずなのだが、ロビンの涙は止まらない。
「いや……」
「ロビンちゃん……?」
ハルが声をかけると、ロビンはハルに抱きつき顔を埋める。
「いや……。私は……私はハルさんとずっと一緒にいたいっ!!」
初めて見せるロビンの本音と涙に、ハルの視界も涙で霞んでしまうが、それでも涙は流さないようにと堪え、ロビンの頭を撫でる。
外では今も雪が降り続け、雪と一緒に寂しさも募っていく。
「ハルさんと家族になれたみたいで楽しかった……」
「うん。私も、妹ができたみたいだったわ」
抱き締めあったまま、ポツリポツリと溢すロビンの言葉にハルは返事を返す。
「私にはもう家族はいないから、元の世界に戻ったら、私は一人になる……」
「そんなことないよ。きっと、家族以上に大切な存在ができるから」
確信なんてない言葉だが、ロビンならきっと大丈夫だと、ハルは信じていた。
「あ……」
次第にロビンの体は透け始め、その存在は消えようとしている。
「っ、ハルさん……!」
「ほら、そんな顔しないの。生きている限り、きっとまたあえるから。ほら、笑って」
ハルが笑みを浮かべると、ロビンも笑みを浮かべ、その姿は完全に消えてしまった。
まるで、ロビンとの日々が夢だったのではないかと思うくらいに、一人の部屋は静寂に包まれる。
雪が降ったのは12月最後の日、そしてハルは、年が開けてから普段の日常へと戻っていった。
普段の生活に戻ったハルは、ロビンとのことを思い出さないようにし、次第にその記憶は薄れていく。
「はぁ~、疲れたぁ~!クリスマス前に残業って、彼氏いない女だからってこき使いすぎよ!!」
家に帰って早々、ハルはお酒片手にソファへと座る。
テレビの電源を入れると、雪マークがハルの瞳に映る。
「雪、か……」
思い出されるロビンとの記憶、目頭が熱くなり、ハルはお酒を一気に飲み干す。
そしてその夜ハルは、お酒を沢山飲むとそのままソファで眠りへとつく。
「雪だー!!」
「ちょっとルフィ!!何雪食べてるのよ!!」
外の騒がしさに目を覚ますと、そこは真っ暗な部屋の中だ。
床に手をつくと敷いてあったラグはなく、ただ冷たい床となっている。
「あれ?私リビングで寝たはずじゃ……」
不思議に思っていると、外からは騒がしい声が聞こえてくる。
誰かいるのだろうかと、暗闇の中声のする方へ近づいていく。
するとドアノブを見つけ、ハルは扉を開けた。
「まぶしっ!」
目が慣れ始めると、ハルの目の前には海が広がっていた。
驚きでその場から動けずにいると、横から声をかけられ振り返る。
「お前、誰だ?」
少年は不思議そうにハルをじっと見つめていると、オレンジ色の髪の女が姿を現す。
「どうしたのルフィ?って、その人誰?」
二人の様子に気づいた他の人達も、ゾロゾロとハルの周りに集まり出す。
「その桃色の髪、貴女にとてもよくお似合いです」
「あ、ありがとうございます……」
黄色の髪の男がハルの手を取り褒めると、エロコックがと、緑の髪の男が呟く。
「ところで貴女、どうやってこの船に?それに貴女は一体何者なの?見た感じ悪い人には見えないけど……」
「えっと、私は」
「ハル、さん……?」
ハルが言いかけたとき、聞き覚えのある声でハルの名が呼ばれ、視線を向ける。
「ロビン……ちゃん……?」
目の前には、あの頃より遥かに成長したロビンの姿がある。
お互いにあの頃より成長したというのに、直ぐに気づき、言葉もなく抱き締め合った。
なんの言葉もなく、ただお互いに涙を流し抱き締め合うとそっと放れる。
「え?ロビンの知り合いなの?」
「ええ。私が昔とてもお世話になった人で、私のお姉さんよ」
その言葉に皆が驚きの声を上げたが、お姉さんと妹、姉妹の関係のようになったのには訳があるのよと、ロビンはあの頃の話を皆に聞かせる。
そしてハルは、楽しそうに話すロビンの姿を見て、家族以上に大切な仲間という存在がロビンにできたのだと、ロビンの話を聞きながらそっと笑みを溢した。
《完》