雪の思い出(運命)
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サナギ ハル
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あれは、運命の出会いだったのかもしれない。
今ハルの目の前にいるのは、昔出会ったことのある少女がいるのだから。
「ハル、さん……?」
「ロビン……ちゃん……?」
それは運命と呼ぶにふさわしい、クリスマスが起こした奇跡だった。
今から13年前、ハルが27の頃のクリスマスの日、ハルの家の前で少女が倒れていた。
ハルは冷えきった少女の体を抱き上げると、家の中へと入れ、毛布をかけ、ヒーターの電源を入れ、兎に角少女の体を温める。
冷えきった体に体温が戻りだし、しばらくすると、少女が目を覚ましたため、ハルはホットココアを用意し少女に飲ませた。
「ありがとう……。ここは……」
「私の家よ。貴女は私の家の前で倒れていたのよ。貴女は何処の家の子?私が貴女の家まで送っていくわ」
まだ目を覚ましたばかりの少女に、もう少し休んでからにしましょうと言い、ハルは珈琲片手にソファへと座る。
無言のままの少女は何かを考えているらしく、部屋の中をキョロキョロと見渡す。
「貴女、名前は?」
「ニコ・ロビン」
その名は日本人の名ではなく、顔立ちからして外国人のようにも見える。
だが、会話はスムーズに出来ており、日本で育ってきたのだろうかとハルは思った。
「よし!そろそろ帰ろうか」
ハルは立ち上がりコートを羽織るが、ロビンは顔を伏せたまま何かを考えると立ち上がり、ハルへと視線を向ける。
「私は、どうやらここではない世界から来たみたい」
「え……?」
その後ハルは、ロビンが話し出す言葉を静かに聞いた。
ロビンはこの世界ではない別の場所から来たこと、そして、自分は考古学者であることを。
最初は信じられなかったが、ONE PIECEという言葉を聞いた瞬間、それは確信へと変わった。
買ってきたONE PIECEの漫画には、今目の前にいるロビンと、名前も顔もそっくりな絵が描かれている。
「何で……そんなこと、有り得ないわ……」
「そうね。私も最初、もしかしたら、私の知らない島か何かなのかもしれないと思ったわ」
でも、と、ロビンは話を続ける。
ロビンはハルの家の前で倒れる前、この辺をさ迷っていた。
そしてわかったのだ、この世界は自分がいた世界とは全く違う場所なのだと。
服装、建物、人、全てが違う。
考古学者だからこそ、簡単にわかってしまうのかもしれない。
「前に何かの本で読んだことがあるの。ある人が、ここではない別の世界に行っていたというものを」
その本を書いた人は事実だと言ったが、そんな話誰も信じなかった。
その話の、別の世界というのがここなのではないかと、どうやらロビンは考えているようだ。
「その本には、クリスマスの日に別の世界に行っているの。そして、もし合っているのなら、今この世界でも今日はクリスマス、なんじゃないかしら?」
ロビンの言う通り、今日はクリスマスなのだが、そんなことは日本中の誰だって知っていることであり、それだけで信じられるはずがない。
だが、ロビンが嘘をついているように見えないハルは、一つため息をつくと、信じるわと口にする。
「で、ロビンちゃんが帰れる方法はあるのかしら?」
「ええ、本には、雪が降る夜に帰れるとあったわ」
「雪が降る夜って……」
つけたままのテレビから、しばらく晴れという予報が静かな空間で大きく聞こえる。
それからロビンとハルの生活が始まったわけなのだが、雪が降る気配は一向にないまま、すでに3日が過ぎていた。
「ダメね、何処も晴れマーク」
「ごめんなさい、ハルさんに迷惑をかけてしまって……」
あまり変わらないロビンの表情が一瞬曇、ハルはロビンの体を抱き締める。
ロビンはまだ15歳、しっかりした行動や言葉遣いに気にしていなかったハルだが、知らない場所に来てロビンは不安に違いない。
「もう、そんなこと気にしなくていいのよ」
「でも……」
「ほら、そんな顔しないの。今ココアを淹れるわね」
ハルが笑みを浮かべ言うと、ロビンは安心したのか頷き笑みを浮かべる。
そんな日々を過ごしていると、ハルはロビンを自分の妹のような存在に感じ始めるようになっていった。
「ロビン、これ食べてみて!自信作なの!」
そう言い、ハルがロビンの前に差し出したのはパウンドケーキだ。
カットされたパウンドケーキの中にはドライフルーツが入れられている。
「とっても美味しいわ」
「よかったぁ~」
沢山食べてねと嬉そうい言うハルに、ロビンもハルを自分のお姉さんのような存在に見ていた。
もし自分にお姉さんがいたらこんな感じだったのだろうかと、二人は幸せな日々を送る。
だが、そんな幸せは、突然終わりを迎えることになった。
「雪…………」
カーテンを開けると、外は真っ白な世界に包まれていた。
それは、ロビンとの別れを告げるとても悲しい白銀の世界。
「っ、ロビン!!」
ハルは慌ててロビンが眠る部屋へと向かい扉を開けると、そこにはまだロビンの姿がある。