麦わら海賊団の船長は私だ
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サナギ ハル
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「わりィな、少し遅れ…………」
サンジくんは言葉を詰まらせると何故か固まったように動かなくなり、その目線の先を見ればハンコック様の姿がある。
まさかと思ったときにはもう手遅れで、大量の鼻血を吹き出したサンジくんがその場で倒れてしまうと、チョッパーが慌てて空いている部屋を借りサンジくんを連れていってしまった。
一時は血の海と化そうとしていたものの宴は終わり、私達は部屋へと案内され、皆一人ずつの部屋を用意されていた。
サンジくん、大丈夫かな……。
いつものことではあるため大丈夫だとは思うが、様子を見に行こうと私は部屋を出てサンジくんとチョッパーがいる部屋へと向かう。
部屋の前まで来ると扉越しに声をかけるが返事はなく、そっと開けて中を覗いてみると、部屋にはサンジくんが横になっているだけでチョッパーの姿はすでになく、起こさないように私は部屋の中へと入る。
サンジくんの眠る横へと座り顔を覗き込むが、顔色も悪くないようでホッと胸を撫で下ろし部屋へ戻ろうとしたその時、サンジくんが目を覚ました。
「ハルちゃん……?…………ここはいったい……おれは一体何を……」
「覚えてないの?」
「ああ、何だか忘れてはいけない何かを見た気がするんだが……」
「無理に思い出さない方がいいよ!今はゆっくり休んで!」
また鼻血が出たら今度こそ命が危ないため、サンジくんには忘れたままでいてもらおうと眠るように促す。
「じゃあ休ませてもらうとするよ。でも、どうしてハルちゃんはここに?」
「サンジくんが突然倒れて、チョッパーがここまで運んで見てくれてたんだけど、心配になって様子を見に来たんだ」
詳しく話せば思い出しかねないため、鼻血を出したことには触れずに説明をすると、サンジくんは突然私の両手を握り包み込んだ。
突然のことに何も言えず、目の前のサンジくんへと視線を向ける。
「ハルちゃんがおれの心配をしてくれたなんて嬉しいよ」
「ッ……!仲間なんだから、心配するに決まってるでしょ!じゃあ、私は部屋に戻るから」
私は逃げるようにその場から離れると、自分の頬が熱いことに気づく。
サンジくんがあんな嬉しそうな笑みを向けるなんて思いもせず、きっと不意をつかれたからに違いない。
私は部屋へ戻ると布団へと横になり、まだ熱い頬も明日になればなおると思い目を閉じる。
そして翌日の朝、女ヶ島の人達が用意してくれた朝食を皆で食べると、先を急ぐため私達は島をたつことにした。
「ルフィ、もう行ってしまうのか?」
「ああ、世話になったな!」
「わらわはまた会えると信じております」
本当にハンコック様はルフィの事が好きなんだなぁと思っていると、何かが倒れる音が聞こえ視線を向ければ、地面には鼻血を流しながら倒れているサンジくんの姿がある。
またも皆に存在を忘れられていたサンジくんを船へとフランキーが担ぎ込むと医療室へと運ばれ、チョッパーが再び輸血をする。
血……足りるかなぁ……。
何時ものことながらも慌ただしく出航すると、私達は再び後悔を続ける。
ただ今回のことでわかったことがある、それは、女ヶ島へ行くときはサンジくんは船に置いていくということだ。
「ルフィ、女ヶ島でモテモテだったよね」
「そうか?」
「うん、ハンコック様とはいい感じだったし」
「あいつらはいい奴らだからな!」
ニッと笑みを浮かべるルフィは恋愛には全く興味がないようだ。
でも、そんな何時ものルフィを見ていると、2年経っても何も変わらないことに安心さえ感じてしまうから不思議だ。
それから数日後、航海をしていた私達はある島に立ち寄ったわけなのだが、ここでも何かが起こりそうな予感を私は感じていた。
「じゃあ、私達は街に行ってくるけど、皆船番よろしくね」
この島に海軍がいることを知った私達は、なるべく少人数で買い出しに行くことにしたわけなのだが、すでに私の頭には不安が過っている。
「何でお前が一緒なんだよクソマリモ!!」
「そりゃこっちの台詞だ」
まさか私とサンジくん、ゾロの3人で買い出しに行くことになるとは思いもせず、すでにこの状態では不安になるのも当然だ。
「ハル、本当に大丈夫?」
「ははは、ダメかも……」
心配するナミに苦笑いを浮かべながらも3人で街へ向かったはいいのだが、早速ピンチです。
「あのマリモ野郎、街に入って早々迷子とはな、方向音痴にも程があるだろ」
「どうしよう、早くゾロを探さないと!」
「あんな奴はほおっておいて、先ずは買い出しをすませねェか?」
「じゃあ、サンジくん買い出しお願いできる?私はゾロを探してくるから、見つけたら直ぐに戻るから!」
そう言い私はその場から離れゾロを探すが何処にもゾロの姿はなく、いるのは海軍ばかりだ。
それにしても、何故海軍がこの街にいるのかがずっと気になっていた。
海軍がこの島にいることはハンコック様から聞いていたため助かったが、海軍がいる理由までは聞いていなかった。
今はそれよりもゾロを探さないと!
もし今皆バラバラの状態で海軍に見つかり騒ぎになれば面倒なことになる、一刻も早く探さなければと隠れながらゾロを探していると、前からも後ろからも海軍が来て挟まれてしまい行き場をなくしてしまった。
このままでは見つかってしまうと考えていたその時、横から伸ばされた手に腕を掴まれると口を手で押さえられ、そのまま路地へと引きずり込まれてしまった。
もしかして海軍……!?
私は抵抗し逃げようともがいていると、耳元で聞き覚えのある声が聞こえ、恐る恐る顔を上げるとそこにはハートの海賊団の船長の姿がある。
「海軍に気づかれたくねェなら大人しくしてろ」
私はその言葉に頷くと、海軍が通り過ぎるのを待ち、海軍がいなくなったことを確認すると手が放された。
「ありがとうございました。でも、何故ローさんがこの街に?」
「休むために寄っただけだ。お前こそこんなところで何してやがる」
「私はサンジくんとゾロの3人で買い出しに来たんだけど、ゾロが迷子になってしまって探してるところなんです」
まだ騒ぎになっていないということは、二人はまだ海軍には見つかっていないようだが、長くここにいては見つかるのも時間の問題だ。
私はゾロを探すため急ごうとしたそのとき、私の背にローさんが声をかけた。
「待て。おれも手伝ってやる」
「え……?」
「お前が一人で動いたところで、またさっきみたいなことになるだけだろ」
ローさんの言う通り、私一人で海軍に見つからないように探すのにも無理がある。
ここはローさんに甘えさせてもらおうと協力を頼むと、早速その場を移動し二人でゾロを探すが、見つかるのは海軍の姿ばかりでゾロの姿は何処にもない。
「何処にいるんだろう……」
「一度来た場所に戻ってみるか」
街のどこを探しても見当たらなかったため、一度来た場所へと戻ると、さっきまで探していたのがなんだったのかと思えるくらい、ゾロが同じ場所をウロウロとしていた。
無事見つかったことに安堵し、ローさんにお礼を伝えようと振り返ったが、すでにローさんの姿はなく、私はゾロの元へと近づき声をかけた。
そのあとは、買い出しをすませたサンジくんとも無事会うことができ、ようやく船に戻ることができたわけだが、結局ローさんにはお礼が伝えられないままとなってしまった。
「ハル大変だったわね、あのバカまた迷ったんだって?」
「うん、でも、一人じゃなかったから大丈夫だったよ」
「サンジくんのこと?」
「ふふ、秘密!」
サンジくんの声で皆がダイニングへと集まり夕食をとる。
大変な一日ではあったけど、偶然ローさんと会ったのは運が良かった。
次にローさんと会った時にはちゃんとお礼を伝えようと思いながら、サンジくんの作ったスープを口へと運んだ。
《完》