Trick or Treat
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
サナギ ハル
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「お前ら何してんだ?」
「あ、船長!何って今日はハロウィンですよ」
皆で食事部屋を飾り付けていると船長に尋ねられ答えるが、くだらないなと椅子に座りお昼御飯を食べ始めた。
「船長も食べ終わったら一緒に飾り付けをしませんか?」
「おれはいい」
船長とも一緒にハロウィンを楽しみたかったがやっぱりダメかと残念に思いながらも私は飾りの続きへと戻った。
皆で飾り付けや料理を用意したため夕食前には準備が終わり、私はこの日のために街で買っておいた魔法使いの服を着て食事部屋へと向かう。
「ハル似合ってるぞ!」
「ありがとうベポ」
ベポにペンギン、シャチや皆に可愛いや似合ってるなどの声をかけられ嬉しさと恥ずかしさを感じていると、先程まで部屋の隅で椅子に座っていた船長の姿がなく、何処に行ったんだろうと食事部屋を出て探しに向かった。
折角だから少しでも船長に楽しんでもらいたかったのだが、やっぱり船長には楽しんでもらえなかったのかもしれない。
部屋にも行ってみたが返事はなく、船の中を探したが何処にもおらず、あと行っていない場所といえば一つしかなかった。
やっぱりここにいた。
甲板には、背を預け深く帽子を被り座っている船長の姿があり、近付き声をかけるが返事はない。
「やっぱり、船長はこういうのは好きじゃないですよね……。すみません、無理に付き合わそうとしてしまったみたいで」
皆の元へ戻ろうとしたそのとき背後から待てと呼び止められ振り返ると、船長に座れと促され隣に座るが船長は言葉を発することなく私は船長をチラリと見た。
どうしたんだろうと船長の言葉を待っていると、雲で隠れていた月が顔を出し、薄暗くみにくかった視界が明るくなり船長の横顔が見えた瞬間船長と目が合いドキッと鼓動が跳ね上がる。
「……トリックオアトリート」
「え……?」
突然の言葉に首を傾げると、船長は視線を前に戻し口を開いた。
「ハロウィンってのはこう言うんだろうが」
トリックオアトリートはお菓子をくれないとイタズラしちゃうぞって意味だったことを思い出すが、何て返事を返せばいいのかわからずにいると、船長は突然私の目の前に来て顔の横に両手をドンッと音をたてついた。
「ッ……!せ、船長……?」
「イタズラ、してもいいんだろ?」
口角を上げニヤリと笑みを浮かべる船長に再び鼓動が高鳴りだす。
どうしたらいいのか考えていたとき、確かアメを持っていたことを思い出し船長の前に差し出した。
「すみません、これしかな、んッ!?」
言葉を遮るように唇を奪われ、驚きで手にしていたアメが音をたて落ちる。
唇が離れると一気に頬に熱が集まり熱くなる唇にそっと指で触れた。
「ッ……アメじゃ……ダメでしたか?」
「ああ。おれにとってトリックオアトリートは、イタズラオアイタズラだからな」
フッと口許を緩める船長にまた鼓動は音をたててしまう。
「イタズラオアイタズラ……。それじゃあ私はイタズラしかされないことになってしまいますよ!」
「そうだな、でもお前は嫌じゃねェんだろ?」
そう、拒もうと思えば拒めるのにそうしないのが何よりの証拠だ。
自分でも気付いていた、私は目の前にいる船長、ローさんを拒むことなんてできないことを。
「イタズラの続き、させてもらうからな」
「はい、でもその前にトリックオアトリートです」
「……?」
「船長オア船長の愛、くれないと私も船長にイタズラします。勿論どちらかではなく両方くれないとダメですよ?」
「欲張りな魔法使いだな」
フッと二人で笑い合い、沢山の星と月が輝く夜空に二人の笑い声だけが響き渡る。
〝トリックオアトリート〟
私は船長の心だけじゃなく全部か欲しい、だって私は欲張りな魔法使いだから。
あなたは何が欲しいですか?
《完》