私は貴方が嫌いです
名前変更
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【デフォルト名】
サナギ ハル
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「……信じられないよ………」
「わかった。お前がおれを信じなくても、おれはお前を信じる」
「ッ……勝手にすれば」
揺らぐ心を抑え込むと、私は女部屋を出て落ち着ける場所を探した。
図書館にはナミさんがいたしダイニングにはサンジさんがいる。
だとしたら、どこが落ち着けるかと考えた結果私が思い付いたのはあの場所しかなかった。
「ハル、どうしたんだ?」
「うん、ちょっとね……」
私が訪れた場所はチョッパーの部屋だ。
他の場所は皆がいるため、その中でも安心できるのはチョッパーだった。
「何かあったみたいだな」
「うん……。私、どうしたらいいのかわからなくて」
「何悩んでるかはわからないけど、ハルはどうしたいんだ?」
「私は……」
「悩むってことは迷ってるってことだろ?てことは、答えは自分の中ですでに出てるんじゃないか?」
チョッパーに言われ瞼を閉じ考えると、私の心では信じたいという気持ちが強くなっていることに気付いた。
私は立ち上がるとチョッパーにお礼やを伝え甲板へと向かった。
そこにはやはりまだ船長の姿があり、私が近付いていくと気付いた船長が私へと振り返る。
「私は……やっぱりまだ船長を信じることができません。でも、少しずつでも信じられたらって思うんです!」
「そっか。悩んでるなら一人で抱え込まずおれ達に話せよ。仲間なんだからな」
そう言い私の横を通り過ぎていく船長の背中に声をかけようと、私は躊躇いながらも声をかける。
「私は……私達は……船長に見捨てられたんです」
こちらへと振り返る船長に、私はあの日のことを話始めた。
私は麦わらの一味に入る前にある海賊団に入っていた。
〈船長、お酒持ってきましたよ!〉
〈おッ!でかしたハル!〉
一緒にお酒を飲んだり皆でわいわい騒いだり、本当に私は幸せだった。
その船長の口癖は仲間なんだからと言う言葉で、私が相談をするといつも聞いてくれて、仲間なんだから当たり前だろうと言ってくれた。
そんな仲間思いの船長を皆が信じ信頼していた、あの日までは。
〈くッ!!〉
〈女が男に勝てるとでも思ってるのかよ?〉
〈イヤッ!離して!!〉
ある海賊団が私達の船に攻撃を仕掛けてきたためこちらも応戦し、相手の船に仲間と乗り込むと刀のぶつかり合いが始まった。
刀もろくに使えない私だったが、船長が口癖のように言っていた仲間なんだからと言う言葉を思い出し、私は震える手で落ちていた刀を握ると敵の船へ乗り込むが、敵の船長に簡単に捕まってしまった。
〈そんな震える手で何ができるってんだ?ガハハハハ!!〉
他の皆は全員やられ、私は男に片腕で抱き寄せられ身動きがとれずに周りを見回すが、甲板には仲間の亡骸だけで船長の姿がないことに気付いたとき、突然目の前の私達の船が動き出すと舵をとる船長の姿がそこにはあった。
〈船長……?〉
船は私達から離れようとしており、小さな声で船長と呟くと船長は私へと視線を向け口角を上げ口を開いた。
〈仲間なんだから、犠牲になってくれるよな〉
その瞬間私は理解した、最初から仲間なんかじゃなかったんだと、そして私は、私達は見捨てられたのだと。
「そのあと私は……ッ!!」
思い出したくもないことが思い出され顔が苦痛で歪む。
「女の私は……そのあと男達に……」
「言うなッ!!」
「ッ……!」
掠れる声で体を震えさせながら話していると、船長に強い口調で制止されその場で泣き崩れた。
体にはまだ男達にさわられた感触が残っており気持ち悪くて怖くてたまらない、でも一番許せないのは船長が私達を裏切ったことだった。
「おれはそんな奴にはぜってェならねェ」
涙を拭い顔を上げると視界がぼやけて見にくいが、怒りの表情を浮かべる船長が私の瞳に映る。
自分のことでもないのに私のために怒ってくれているのだとわかると、私はまた涙が溢れだした。
「今度そいつを見付けたらおれがお前の分までぶん殴ってやるから安心しろ」
「うん……ッ…!」
今私の目の前にいる船長は前の船長とは全く違うと感じ、皆があんなにも信じている気持ちが今ではわかる。
そして私もこの船長を信じついていきたいと強く思った。
「ありがとう、ルフィ」
「今、おれの名前……」
その時、甲板に出てきたサンジさんが夕食ができたぞと呼びに来ると、ルフィは飯だーと走っていってしまう。
「え……?」
「行くぞ!」
引き返してきたルフィが私の腕を掴むとそのまま皆の集まるダイニングへと走り出した。
過去のことは忘れられない辛いものだけど、皆と一緒にいればいつかそんな過去を忘れさせてくれるような楽しいことで一杯になるそんな予感がした。
ダイニングの扉を開けると皆の笑顔があり、今の私にはこんなにも素敵な温かな居場所がある。
「サンジ飯!!」
「ホラよ」
「おーッ!!肉だぁ!!いただきまーす!!」
バクバクと食べ始めるルフィの姿を見ていたら、私の口許は緩み笑みを浮かべていた。
そんなハルの表情に気付いたクルー達も自然と口許には笑みが浮かんでいたが、ルフィへと視線を向けていたハルは気付くことはなかった。
《完》