私は貴方が嫌いです
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サナギ ハル
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私には嫌いな人がいる、それは船長。
嫌いなのに何で私はこの海賊団にいるのか、それは、船長であるあの男に気に入られたから。
嫌いだとハッキリ何度も言っているのに、その男は笑顔を崩さず「面白いな、お前」と言うだけ。
私には理解できない。
船長も、そんな船長についていくクルー達も。
「何難しい顔してんだ?」
「ッ、突然現れないでよね」
今まさに、考えていた人物が横から覗き込んできたため驚き、近い距離にバッと距離をとる。
そう、私が嫌いな男、それは、麦わらの一味船長の、モンキー・D・ルフィ。
「ならどう声かければいいんだよ」
「そうね、声をかけなければいいんじゃない?」
プイッと顔を逸らすと、私は図書館へと向かう。
この船で唯一落ち着いていられる場所はここだけ。
あまり人も来ないし、とくにルフィが立ち寄らないから一番安心できる。
でも、今日は先約がいるみたい。
「あら、貴女も読書かしら?」
「ええ」
ベンチに座り本を読んでいたのは、ロビンさんだった。
この部屋は、たまにロビンさんが本を読みに来たり、ナミさんが航海日誌をつけるために訪れる場所でもあるから、こういう日はあまり落ち着かない。
でも今日は、ロビンさんが本を読んでいるだけみたいだから、私も少し離れた場所で本を読み始める。
ペラペラとページをめくって読み進めていると、突然ロビンさんに声をかけられた。
「もう航海には慣れたかしら?」
「ええ」
「でも、船長や私達にはまだ馴れないみたいね」
「私は船長が嫌いなの。馴れるなんて無理よ……!」
私は本を勢い良く閉じると、棚へと戻し、その場から立ち去った。
やっぱり誰かがいると、あの場所も落ち着けない場所になってしまう。
次は何処に行こうかと考えながらダイニングの近くまで来ると、突然扉が開きサンジさんが出てきた。
「ハルちゃん、丁度呼びに行こうと思ってたんだ」
「私を?」
「ああ。クッキーを焼いたから一緒にティータイムでもどうかと思ってね」
少し迷ったけど、折角誘ってくれてるのに断るのも失礼だと思い、とくに行く場所も考えていなかったため一緒にダイニングへと入っていく。
椅子に座ると紅茶とクッキーを差し出され、サンジさんも珈琲を片手に私の前へと座る。
クルーの人達のこともまだよくわからないけど、サンジさんの淹れてくれる紅茶が好きということはわかる。
「おいしい……」
「ハルちゃんに合わせて淹れてみたんだが、気に入ってもらえたみたいで何よりだ」
私のために考えていれてくれていたのだとしり、なんだか心まで温まるような気がした。
「その笑顔、素敵だよ」
「ッ……!!」
つい口が緩み笑みを浮かべていた自分に気づき、誤魔化すように紅茶を飲む。
「ハルちゃんは、あれ達のことが嫌いかい?」
「少なくてもクルーの皆のことは嫌いじゃないわ」
「そうか。なら、船長のことは嫌いかい?」
「嫌いよ」
私がハッキリと答えると、何でそんなに嫌うのか質問され、逆に私は何で皆は船長についていくのか尋ねた。
「おれ達の船長はルフィだけだとおれは思ってる。いつもは食ってばっかだが、仲間のためなら命もかけるようなやつだ」
「私にはわからないわ……」
私にはやっぱり理解できなくて、御馳走様と言い残すとダイニングを後にし甲板へと出た。
海を見詰めながら考えるのはさっきのサンジさんの言葉だった。
何が仲間のためなら命もかけれるよ……。
私が船長を嫌いな理由はあの笑顔だ、どんなに危険な状況でも仲間のためなら何も考えずに飛び込んで、それでも笑顔で笑うのが嫌いでしかたがない。
もし自分が危なくなれば、仲間なんて見捨てて逃げるに決まってる、それが海賊って奴等なんだ。
皆自分のことばかりの奴等で、仲間のために命までかける馬鹿なんてこの世界にいるわけがない。
〈船長ッ!!助けてッ!!船長おおおぉぉーッッ!!!!〉
脳裏に思い出されたことを振り払うように頭を振ると、私は手にギュッと力を込めた。
「怖い顔してどうしたんだ?」
「ッ!!だから突然現れないでって言ってるでしょ!!」
またもいつの間にかいた船長が横から覗き込んできたため怒ると、そんな顔してたら気になるに決まってるだろうがと言われ、関係ないでしょと言いながらその場を去ろうとすると、突然後ろから手を掴まれ足を止めた。
「関係ないとか言うな!仲間だろうが!!」
「ッ!!何が仲間よッ!!どうせ何かあれば仲間なんて簡単に見捨てるくせに!!」
掴まれた手を思いきり振り払うと私はその場を走り去り、女部屋へと戻ると部屋には丁度ナミさんやロビンさんの姿はなくソファに俯いて座った。
脳裏には思い出したくもない記憶が鮮明に思い出され、私は両手にギュッと力を込める。
その時、突然扉が勢いよく開かれ俯いていた顔を上げると、船長が私の目の前までドスドスと音をたてながら近付いてくると私を見下ろす形で口を開いた。
「おれは仲間を見捨てねェ!!」
「そんなの信じないわ!!」
「信じろ!!」
「信じられないって言ってるでしょ!!何なのよッ……私はアンタが嫌いだって言ってんのに、何でほっといてくれないのよ……ッ!!」
「仲間だからだッ!!」
真っ直ぐに私を見詰め叫ぶように言うその瞳は真剣そのもので、信じたいと思う自分がいた。
でも、私の脳裏にはあの日のことが思い出され、信じちゃいけないって気持ちと信じたいという気持ちが鬩ぎ合う。