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サナギ ハル
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「フッフッフッ、ようやく気づいたようだな」
「わかっていたのなら教えてくだされば……」
「それじゃァ意味がねェだろ。約束通りおれもお前の質問に答えてやる」
そう、まだ私はドフィが何故私のことを好きなのか聞いていないのだ、そして今、ドフィはあの日のことを語り出す。
あの日、おれは海軍本部へと出向いた帰り、いつものように空の道を使い城へと戻る途中、ある女がこっちを見ていることに気づいた。
あの場所は普段人気もなく、そんな場所にいるそいつのことを不思議に思ったが、気にすることなくその頭上を通り過ぎようとしたときだ、ふいにサングラスで隠れた目だけを下へ向けると、キラキラと輝く瞳をおれに向ける女の姿が目に止まる。
何故だかわからねェが、その目を見てからおれはそいつのことばかりを思い出していた。
話したこともねェ、ただ見掛けただけの女におれは興味を抱いていた。
それから数日後、また海軍本部からの呼び出しで本部へと出向いた帰り、おれはある場所へと視線を向ける、それは、数日前に女がいた場所だ。
そこには人影があり、近づいていくとあの女であることがわかる。
おれは立ち止まることなくその頭上を通り過ぎようとしたそのとき、一瞬だが女と目が合い、何かを言いてェような表情でおれを見上げているのがわかる。
その女が気になったおれは直ぐに引き返すと、顔を伏せている女の姿が目に入る。
〈行ってしまった……〉
残念そうな表情で一人呟いた言葉はおれの耳に届き口角が上がる。
〈おれにようでもあったのか?〉
〈ッ……!!〉
声をかけると、女は伏せていた顔をバッと上げ、振り返る女は目を見開き驚きの表情を浮かべていた。
〈女、前にもここで空を見上げていただろう〉
〈ッ……!気づいていたのですか!?〉
〈フッフッフッ、あれだけ熱い視線を送られればなァ〉
さっきまで落ち込んだり驚いたりしていたかと思えば、今度は頬を色付かせ顔を伏せている。
〈貴方は……この国の人達とは違う気がしたんです。正直、私はこの国が嫌いです、いつも笑顔が絶えないこの国が……まるで私だけが不幸になったように感じさせるこの国が……〉
〈フッフッフッ、おもしれェ。お前は、この世界をブッ壊してェとは思わねェか?〉
〈この世界を壊す……?〉
女は目を見開き驚いたかと思うと、少し考えるような仕草をしたあと口を開いた。
〈壊したい……私はこの世界を!!〉
そのあとハルは入って直ぐに幹部として迎えたが、裏の世界に関しては関わらせなかった。
幹部であろうと他の奴等にはいくらでもきたねェ仕事ばかりさせたってのに、可笑しな話だ。
それから数日後、鰐野郎が城へ来やがったんだが、いつの間にか姿が消えていた。
何処に行きやがったんだ?
仕方なく城の中を探していると、通路で鰐野郎の姿が見え声をかけようとしたとき、聞き覚えのある声に足を止めた。
よく見ると、鰐野郎で隠れて見えなかったがそこにはハルの姿もある。
〈鰐野郎、こんなとこで何してやがる〉
気づいた時にはハルの前に立ち、おれは少し苛立ちながら鰐野郎に鋭い視線を向けた。
〈城の中を見て回っていただけだ〉
〈なら何故この女と一緒にいた〉
〈私が迷子になってしまって困っているところに、この方が声をかけてくれたんです〉
後ろにいたハルがおれの前に立つと、慌てて説明をするが、まるで鰐野郎を庇っているように見え気に入らねェ。
〈そうか、ならもういいな。おれが部屋まで連れていく、鰐野郎は最初の部屋で待っていろ〉
おれはハルの腕を掴むとそのまま部屋へ連れていこうとしたが、背後から聞こえた声に足を止め振り返った。
〈まだ何かようか〉
〈ああ、どうやらその女はお前の気に入りみたいだからなァ〉
お気に入りという言葉に、おれは一瞬考え込んだ。
今まで駒として、退屈しのぎとしてのお気に入りはあったが、今おれがハルへ向ける感情はそれとは違うものだ。
視線を下へと向けると、ハルがおれを見つめている。
それだけでおれの胸を騒がす奴なんざ、特別なんて言葉じゃ足りねェ。
〈だったらどうした、お前には関係ねェことだ〉
〈クハハ、関係はある。おれもその女を気に入ったからなァ〉
その言葉はおれへの宣戦布告であり、こいつを渡せねェ理由がある以上おれは誰にも渡すつもりはねェ。
「その日おれはお前への気持ちに気づいた」
「そ、そうなんですね……」
「何顔真っ赤にしてやがる」
「そんな話聞いたら誰だって真っ赤になりますよ!!」
まさかドフィがそんな風に私を見ていたなんて気づかず、話の途中から頬に熱が集まり顔を伏せてしまっていた。
「自分が聞いた質問だろうが」
「そうですけど……。でも、私の気持ちにはいつから気づいていたんですか?」
「おれがお前を愛してんだ、お前もおれが好きに決まってんじゃねェか」
今の会話の中で一番驚いたのは、もしかしたらこのドフィの根拠もない自信かもしれない。
でも、その根拠のない自信が正解なのだから、ドフィっていろんな意味で凄いと笑ってしまう。
「お前の口からも聞かせてもらおうか」
「何をですか?」
「おれが愛してると言ったんだ、お前の口からも聞かせてもらおうじゃねェか」
その言葉で私の笑みは一瞬で消え、頬に再び熱が集まりだす。
そんな私の姿を見て、口角を上げ意地悪な笑みを浮かべるドフィは平然としており相変わらずだ。
「え……言わなきゃダメですか?」
「ああ」
気持ちを知った今恥ずかしい気持ちもあるが、ドフィだって伝えてくれたのだから私もちゃんと伝えようと決心し、頬を染めながらもサングラスで隠されているドフィの目を見る。
出会ったあの日、きっと私とドフィは出会うべくして出会った、まさに運命だったのかもしれない。
「私も、ドフィのことを愛しています!」
ドフィはフッと微かな笑みを浮かべると、私の唇へと自分の唇を重ねた。
その時、一瞬見えたドフィの瞳にはいつものような影はなく、愛しい者を見つめる瞳が私を捉えていた。
そんなドフィに体を預け、二人の夜はまだまだ続きそうです。
《完》