愛ラブ船長
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
サナギ ハル
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ハルには好きな人がいる。
その人は、我らが船長ローだ。
だが、どんなに好きと伝えても、ローは鬱陶しそうにするだけで、気持ちに答えてはくれない。
だからといって諦めるハルではないため、今日も船長に想いを伝えようと、食事部屋にやって来たローの前にオムライスを出す。
するとローは眉を寄せ、何だこれはと尋ねてくる。
オムライスですけどと首を傾げると、ローは溜息を吐く。
「おれが聞きてェのはそんなことじゃねェ。この文字は何だって聞いてんだ」
「やだなぁ。どこからどう見ても好きに決まってるじゃないですか」
今日の昼食はハルが作ったのだが、ローへのオムライスにはケチャップで好きと書いてある特製オムライスだ。
それを見たローはあからさまに険しい表情を浮かべると、スプーンの背でケチャップを伸ばし字を消してしまう。
自分の想いが消されていき、愕然とするハルを気にする様子もなく黙々と食べているローに、ハルはめげることなく立ち直ると、美味しいですかと尋ねる。
すると返ってきた返事は、不味くはねェと言う言葉。
決して美味しいとは言ってくれないものの、それだけで嬉しくなり、ニコニコとローが食べている姿を眺める。
それからしばらくしてローは昼食を食べ終えると、食事部屋から出ていってしまう。
その後を無言でついていくと、ハルの存在に最初から気付いたであろうローが振り返り、何だと一言いう。
ハルはローに何処へ行くのか尋ねると、自分の部屋に戻るだけだと返事が返ってくる。
「私も――」
「来るな」
ハルが言う言葉が予測できていたのか、ローは言葉を遮り断ると、そのまま歩き去ってしまった。
そして一人残されたハルはというと、食事部屋へと戻り、一人椅子に座ると俯き溜息を吐いていた。
そんなハルを見兼ねて声をかけてきたのは、仲間の一人のベポだ。
ハルはうるうると涙を浮かべながら顔を上げると、お前の気持ちもわからなくはないが、このまま追いかけ続けても逆効果だぞ、と言われ、やっぱりそうだよねと表情が暗くなってしまう。
だが、ベポの言う通りこのままローを追いかけ続けても、逆に避けられてしまうだけかも知れない。
最初の頃と比べると、ローが冷たくなっているのは自分でも気づいていた。
「でも、想いを伝え続けていたらいつか!」
「お前の想いは船長には、重いになってるけどな」
「ガーン」
自分の想いはローにとって重いだけだと知り、ハルはある決意をする。
それは、ローを好きという気持ちを断ち切ろうというものだ。
それから翌日の朝。
朝食を食べに食事部屋へと行くと、ローが朝食をとっている姿が目に入る。
駆け寄り船長と言いかけたとき、昨日決意したことを思い出し口をぐっと噤むと、ローから離れた場所に座り朝食を食べ始める。
食べている間もローのことが気になってしまい、何だか食べた気がしない。
すると、ローが朝食を食べ終わり食事部屋から出ていき、ハルはようやく全身の力が体から抜けていく。
そして、そんな日々を続け一週間が過ぎたが、ハルはローへの愛を伝えることはなくなり、話すことすらもほとんどなくなっていた。
「おい、サナギ」
「ッ……はい!」
ローの方から声をかけられ、鼓動が大きく音を立てる。
前は自分ばかりが話しかけていたため気づかなかったが、ローに声をかけられただけでこんなにも鼓動が高鳴り動揺してしまうことを初めて知った。
そんなハルの心情など知らないローは、どうかしたのかと尋ねてきたため、慌ててどうもしてないですよと答えるが、最近お前の様子が可笑しい気がするんだがと言われてしまいギクリとする。
なんとか誤魔化そうと動揺しながらも、いつも通りですよと答えた。
するとローは少し眉を寄せ、そうかと言うと、それ以上何も聞かずに行ってしまう。
ローがいなくなった瞬間、ハルは自分の両頬に触れ、顔が熱い事を確認する。
少し気にかけてくれただけだというのに、それだけで口許が緩んでしまう。
だが、その嬉しさと同時に悲しい気持ちがハルを襲った。
この想いを忘れなくてはいけない。
それが辛くて悲しくて、涙が流れないように両頬を思いっきり叩く。
「私はこの想いを忘れるって決めたんだから」
自分に言い聞かせるように呟き自室へと戻ろうとしたとき、背後からベポに声をかけられ振り返ろうとすると、ハルの視界はぐらりと揺る。
ベポが呼ぶ声がどこか遠くに聞こえた気がしたが、ハルはそのまま意識を手放した。
「キャプテン、サナギは大丈夫なのか!?」
「ああ、安静にしてりゃよくなる。あとはおれが見る、お前は戻ってろ」
ローとベポが話す声が聞こえ目を覚ますと、ハルの目には天井が飛び込んできた。
横を見るとローがおり、すでにベポの姿はそこにはない。
一体自分はどうしたのか尋ねると、ローは一言風邪だと言う。
言われてみれば、体が熱く重く感じ、起き上がろうとすると目眩もある。
そんなハルに船長は薬と水を手渡すと、飲んで横になるように言う。
ありがとうございますと礼を伝えると、礼ならベポに言ってやれと言われ思い出してみると、ベポに声をかけられ振り返ろうとしたときに視界が揺れて意識を手放したことを思い出す。
あの時自分は倒れたようだ。
ハルはローから貰った薬を飲むと、言われた通り横になる。