笑顔の海賊団
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サナギ ハル
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麦わらの一味の仲間になって3日目の朝。
皆より早く起きてキッチンで朝食を作っていた。
包丁を片手に野菜を切っていると、扉の開く音が響きサンジがダイニングへとやって来た。
「おはよう、サンジくん」
「おはよう、ハルちゃん。って起きるの早いね。それに、何だかいい香りがするけど」
朝食を作っていることに気付いたサンジが代わろうとしたが、ハルはサンジを椅子に座らせると珈琲を淹れ、朝食ができるまでゆっくりしていてと伝える。
そんなハルの気遣いにサンジは柔らかな笑みを浮べありがとうと口にすると珈琲を飲む。
その間にハルは朝食の続きを作り始め、しばらくすると皆もダイニングに集まりだた。
なかなか現れない人物が一人いたが、どうやら朝食の香りにつられやって来たようだ。
扉が開くと、お腹を空かせたルフィがダイニングへとやって来た。
丁度朝食も作り終えたため皆の元へ運び、料理がいき渡ったところでようやく皆朝食をとる。
「うめーッ!!」
「本当に美味しいわね。コックさんに負けてないわよ」
早起きなんて慣れておらず疲れてしまっていたのだが、皆の役に立てたことが嬉しくて笑みが溢れる。
サンジみたいに上手くはできないが、ハルが作った朝食は綺麗に完食され、食べ終わった後は皆ダイニングから出ていく。
そして誰もいなくなったダイニングでは、サンジが空になった皿を集めていたため自分も手伝おうと声をかけた。
「これくらい慣れてるから平気さ。ハルちゃんは朝食を作ってくれたんだ、疲れてるだろ」
「いいのいいの、気にしないで」
そう言うと、空になった皿をサンジと一緒に運び、ハルはサンジが洗った食器を拭く手伝いをさせてもらう。
サンジはハルに手伝わせることを気にしているようだが、何の能力ももたず、何の役にも立てない自分が皆に嫌われないように、邪魔にならないようにするには、自分にできることをするしかないのだ。
「よし! これでおしまいだね」
「ありがとう。ハルちゃんが手伝ってくれたお陰でいつもより早く終わったよ」
笑みを向けるサンジを見て、嬉しいではなく安堵した。
まだ仲間になったばかりのハルには、皆との深い絆は無い。
だからこそ、こうして笑みを向けてもらえると安心できるのだ。
そしてサンジの手伝いを終えた後も、なにか自分にできることはないかと探していると、チョッパーが沢山の本を持って歩いていたため、ハルは上の半分を持ち上げた。
「一人で持つの大変でしょ」
「ありがとな、助かるよ」
本を部屋まで運ぶと机の上に乗せる。
すでに沢山積まれている本は、薬草などの医学の本ばかりで、チョッパーもこんなに小さいのに頑張っているのだとわかる。
本を運び終えたハルはチョッパーの部屋を出た後船内を歩き回るが、とくにすることもなく甲板へと出る。
すると、甲板で横になり、顔に麦わら帽子を被せているルフィの姿が見える。
「寝てるのかな?」
帽子で顔が見えず寝ているのかわからないが、近付いても何の反応もないため寝ているのだろう。
起こさないようにそっとその場を離れようとしたそのとき、おれの肉ーッ、というルフィの声に驚き肩が跳ね上がる。
「ふわあぁ~……んあ? ハル、どうしたんだ?」
「えっと、とくにすることがなくて甲板に来たんだけど」
「そっか」
しししと笑うルフィはいつも明るく、そんな笑顔に惹かれてしまう自分がいた。
そもそもハルは麦わらの一味に入る前、いたって普通の村で暮らしていた。
だがその村では海賊が嫌われていた。
それというのも、昔その村にやって来た海賊が原因だ。
そいつらは金目の物を奪って村から去っていき、中には命を奪われた者さえいた。
それから村では海賊を敵視するようになったのだが、そんな村に再び海賊がやって来たと皆が騒ぎだす。
その時の海賊というのが麦わらの一味だったのだ。
村の皆は海賊に目も合わさず家に閉じ籠る者もおり、ハルもその中の一人だった。
窓から海賊のことを見ていると、村の人と話している3人の男の姿が瞳に映る。
一人は髪が金色の男で、もう一人は髪が緑で腰には刀、左目には傷があるのがわかる。
そして3人目は麦わら帽子を被っており、なんだかフラフラとしていて元気がない。
「腹へった~。何か食いもんねェか?」
「海賊にくれてやるもんなんざここにはねェ!! さっさと村から出ていってくれ!!」
「すまねェが、船の食料が尽きちまったんだ。何か売っちゃくれねェか?」
「何度言われようが同じだ。さっさと出ていけ」
麦わら帽子の人が頼むも断られ、金色の髪の人が頼んでも断られてしまう。
無理もない。
まだこの村は、海賊に受けた傷が癒えていないのだから。
そんな村人の様子に3人の海賊は来た方へと戻っていってしまう。
麦わら帽子の人はフラフラとした足取りで歩いていき、もう二人もお腹を空かせているようだ。
海賊は怖いが、お腹を空かせてるのにほっておくこともできず、ハルは袋に家にある食料を詰めると3人の後を追った。
「腹へった~、もう動けねェ~」
「おれも腹が減って動けねェわ」
「このクソマリモ!! お前まで座ってどうすんだッ!!」
なんとか追い付いたはいいが、海賊に声をかけるのが怖く隠れながら様子を伺っていると、お腹が空いてイライラしているのか3人は揉め始め、海まではもう少しだというのに2人座り込んでしう。
その様子を見ていたハルはぎゅッと手に力を込めると、ゆっくりとその人達へと歩み寄る。
「あ、あの」
「ッ……!? なんて可憐なお嬢さんなんだ。何かおれに御用でも?」
「あ、えっと、これ、どうぞ」
「これは? あっ、お嬢さん」
ハルは食料の入った袋を手渡すと、その場を走り去り村へと戻った。
あれだけの食料じゃ足りないかもしれないが、何とか渡すことができて良かったと安堵していたそのとき、扉をノックする音が聞こえ扉を開ける。
するとそこには、麦わら帽子を被ったさっきの海賊のうちの一人の姿があった。