二人の兄
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
サナギ ハル
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「うん。でも、ルフィはいつも楽しそうにお兄さんの話を私にしてくれていたのに、何で今喧嘩してるのかわからなくて……」
「あらら。ルフィとエースの想いは、ハルには届いてないみたいね」
「ふふ。そんなところも、彼女の魅力なんじゃないかしら」
「それもそうね」
ハルがわからないところで二人は話が通じているらしいが、やっぱり自分が何かしていて、それが原因で二人は喧嘩をしているのではないかという考えが頭に浮かんでしまう。
「そんな不安な顔しなくても大丈夫よ」
「でも、もしかしたら私が原因で二人が喧嘩を……」
「うーん、間違ってはいないんだけど、これは魅力ある女には付き物なのよ!」
「ふふッ、そうね。航海士さんの言う通りだわ。貴女は今まで通りで大丈夫よ」
「うん……」
二人にそうは言われたものの、やっぱりルフィやエースには仲良くしてもらいたいと思ってしまう。
「よし!」
ハルは突然立ち上がると、二人から話を聞こうと女部屋を出て甲板へと向かう。
折角の兄弟なのに、もし自分のせいで仲が悪くなっているのだとしたら、このままにできるはずがない。
そして甲板へと出てみたが、やはりそこには誰もおらず、船尾甲板へ行くと、顔を帽子で隠し眠っているルフィの姿があった。
ルフィを起こさないように、先にエースから話を聞こうとその場を後にしようとしたその時、どうしたんだと声が聞こえ、視線を下へと落とす。
すると、寝ていると思っていたルフィが帽子の隙間から顔を覗かせていた。
「ルフィ寝てるみたいだったから、エースさんのところに先にいこうかなと思、ッ!?」
説明をしている途中、ルフィが腕を掴んだため、驚いたハルは言葉を途中で呑み込みルフィを見つめる。
「ダメだ!! エースのところには行かせねェ」
「う、うん。ルフィにも聞きたいことがあったから大丈夫だよ」
「ん? 聞きたいことって何だ?」
今もまだ、ハルの腕はしっかりとルフィに掴まれており、放してもらえそうにないため、このままルフィに先程のことを尋ねる。
「さっき、エースさんが嫉妬かってルフィに聞いたとき、ああって返事してたけど、あれってどういう意味だったのかなと思って」
「そのままの意味だ。おれはお前がエースと話してると嫌なんだ」
「何で?」
「好きだからだ」
これ以上にない直球な言葉に、ハルの思考が一時停止する。
直ぐに思考が働きだすと、ルフィの真っ直ぐな瞳が自分に向けられていた。
「好きって、ルフィが私のことを?」
「ああ」
その言葉に、ハルは恋愛という意味ではなく、仲間としてという言葉が先に浮かぶ。
「そっか! 仲間としてだよね?」
「違う!! ハルにたいしての好きは他のヤツには無いもんだ」
ハルの考えはハズレ、こんなにも真っ直ぐな想いに気付けなかった自分はかなり鈍いのかもしれないと気づく。
でも、ハルはルフィのその想いに応えることができず、どうしたらいいんだろうかと考えてしまう。
こういった経験は初めてで、どう言って断れば傷付けずにすむのかわからないのだ。
そんなことを考え頭をフル回転させていたときだ、横から声が聞こえ、ハルとルフィが視線を向けると、そこにはエースの姿があった。
「ハルの姿が見えたんで来てみれば……」
「ハルは渡さねェぞ!!」
「それなら、奪うまでだな」
再び二人の間に火花が散り、今ここには、二人を止めてくれる人もいないため、このまま二人が朝の時のように技を使うような事態になった場合、船が壊れかねないと思ったハルは、二人の間に入り制止を試みる。
「ストップストップストーップ!! 二人とも落ち着いてください!!」
何とか二人に落ち着いてもらうように説得した後、エースにさっきの言葉の意味を聞こうと話を逸らすように尋ねる。
「あの、エースさんがさっき言われていた、ルフィに取られるのが嫌だったってどういう意味だったんですか?」
「それはだな」
ニヤリと笑みを浮かべたエースがハルへと近付くと、突然、ハルの腰を抱き寄せ耳元に顔を近づけ、一目惚れだと囁くように言う。
「エースッ!! ハルから離れろ!!」
「それは無理だな。さっき言っただろ? 奪うまでだってな」
エースがニヤリと笑みを浮かべ、見せ付けるようにハルをぐッと抱き寄せる。
すると、ハルの腕が誰かに掴まれ、視線を向ければルフィがハルの腕を掴んでいた。
「ハルは渡さねェ」
「それはおれも同じだ」
「ちょっと待ってください!! 渡すとか奪うとか、そこに私の意思は関係ないんですか!?」
「ならハル、お前は俺とルフィ、どっちを選ぶんだ?」
エースがそう言った瞬間、二人の視線がハルへと向けられた。
「選ぶとか選ばないとかじゃなくて、私はルフィのことは大切な船長で仲間と思ってますし、エースさんとはまだ出会ったばかりですから」
いきなり聞かれても答えはでず、今ハルにわかるのは、二人に感じるものは恋ではないことだけだ。
「なら、これから好きになってもらえばいいってわけだな」
「え?」
「よーし!! んじゃエース、ハルをかけて勝負だ!!」
「ああ、望むところだ」
「え? ちょ、ちょっと!?」
何だか変な展開になってきてしまい二人を止めようとするが、二人はどんどん話を進めていき、何故かハルをおとした方が勝ちという勝負が開始されてしまった。
それなら、船が崩壊することはなさそうだが、その日から二人のアプローチは始まり、ハルを見つければ声をかけてきたりと、サンジが二人増えた気分になる。
「ハル、肉食うか?」
「ハル、俺の方の肉のがうめェぞ!」
「どっちの肉も一緒だッ!! てめェら、ハルちゃんを困らすんじゃねェ!! ハルちゅわあん、シェフ特製のアップルパイですよ~」
「あッ! サンジ、抜け駆けすんな!!」
そんな光景をナミ達は眺め、しばらくはこの騒がしさが続きそうだと、溜息を漏らすのだった。
《完》