二人の兄
名前変更
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【デフォルト名】
サナギ ハル
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今、目の前では、ルフィとエースがハルのことで喧嘩の真っ最中だった。
「ハルは俺のだ!!」
「いいや俺のだ!!」
何故こんなことになっているかと言うと、昨日航海の途中で寄った島で、ルフィのお兄さんであるエースと出会ったことが切っ掛けであり、向かう先が一緒だったため、ハル達と同行することとなったのがそもそもの始まりだった。
その日は直ぐ船を出航させたのだが、エースという客人がいるということで、サンジが沢山のご馳走を作り、昨夜は宴となった。
ハルは普段から少食のため、少し食べると船尾甲板へと向かい、夜風にあたっていたのだが、背後から声をかけられ振り返ってみると、そこには、お肉を片手に持つエースの姿があった。
「確か、ハルだったか?あんたはもう食わねェのか?」
「私はあまり食べないので。エースさんは、皆と一緒にいなくていいんですか?」
「食いもんは一杯食ってきたし、あいつらは酔い潰れちまってるから構わねェだろ」
エースはそう言いながらハルの横へと来ると、ニッと笑って見せた。
ルフィからエースの話は聞いたことはあるが、こうして会うのは初めてで、何を話したらいいかわからず無言でいると、最初に口を開いたのはエースだった。
「さっき、あんたのことルフィから聞いたんだが、ルフィの妹なんだってな」
「なッ!? 違いますよ!! ただルフィが勝手にそう言ってるだけであって」
麦わらの一味になって間もない頃、ハルはルフィよりも落ち着きがなく、島に着けばルフィや皆より先に船から降りては行方不明になったりとしていた。
その度に、皆がハルを探し、よく迷惑をかけていたことが思い出される。
そしていつしか、ルフィがそんなハルの面倒を見るようになり、まるで妹だな、というゾロの一言から、ルフィはハルのお兄ちゃん気分なのだ。
今はもう行方不明なるようなことはないのだが、ルフィにとってはまだ、ハルは妹扱いで、出会う人出会う人に妹だと紹介されてはハルが訂正をしている。
「何だ、違うのか?」
「違います!」
「なら、俺の妹にならねェか?」
「え?」
突然の言葉に目を丸くしていると、甲板からハルを呼ぶナミの声が聞こえ、エースの問には答えず下へと降りていく。
そして翌日の今現在、冗談だと思っていた昨日のエースの言葉は本気だったらしく、朝食の際にハルの横へと座ったエースに、妹になる件を改めて聞かれ、近くにいたルフィにもその話を聞かれてしまい、今に至るわけだ。
まだ睨み合っている二人に、皆が溜息を漏らしていると、近くに座るゾロが口を開いた。
「ルフィの妹にすりゃァ、兄貴の妹にもなるんじゃねェのか?」
「それじゃダメだ!」
「それじゃダメだ!」
「何でだよッ!!」
ゾロが言うも、二人から同時に却下されてしまう。
「俺だけの妹だからだ」
「俺だけの妹だからな」
どうやら二人は自分だけの妹にハルをしたいらしく、ゾロはめんどくせェと言い頭を掻いた。
ルフィもエースも、どちらも譲る気はないらしく、どうしたものかと考えていたそのとき、ルフィのゴムゴムのー、と言ういつもの技を出すお決まりの台詞が聞こえてきたため視線を向ける。
すると、今にも二人が技を出そうと構えている姿が目に飛び込んできたと同時に、サンジがエースの頭上にフライパンを振り下ろし、ナミがルフィの頭上に拳を落とす。
「んがッ!!」
「がッ!!」
「何考えてんのよあんた達は!!」
「こんなところでお前らが技なんて出したら、船が壊れるだろうがッ!!」
二人は頭を押さえながら仕方なく、ハルを挟む形で座ると、食事の続きを食べ始める。
そしてしばらくして朝食もすませた後、ハルは甲板へと出ると、空を見上げていた。
今日は天気がよく、雲一つ無い青空が目の前に広がり、日差しで海がキラキラと輝いて眩しく感じてしまうくらいだ。
「今日もいい天気だな~」
海を眺めていると、今正に、ハルが心で思っていた言葉が聞こえ視線を向ける。
するといつの間にか、ハルの隣にエースの姿があった。
だが、昨夜のように何を話したらいいのか困ってしまうと、さっきのエースとルフィの会話のことを聞いてみようと口を開く。
「あの、何故エースさんは、私を妹にしたいんですか?」
「妹にしたいっつぅよりも、ルフィに取られるのが嫌だったんだ」
「え? それってどういう――」
ハルが尋ねようとしたその時、あーッという大きな叫び声が背後から聞こえ、ハルの言葉は掻き消されてしまう。
振り返れば、そこにはルフィの姿があり、ハルとエースの元へと飛んでくる。
「なんでエースがハルと話してんだよッ!!」
「ただ話してただけだ。まさか、嫉妬か?」
「ああ、そうだ」
エースの言葉にハッキリと返事を返すルフィだが、思いもしないルフィのことばにハルは驚きを隠せずにいた。
驚きと同時に頬が熱くなるのを感じると、両頬を隠すように手てをあてる。
だが、ハルとは対照的にエースは、ルフィの返事に驚くこともなく、まるでそう答えるとわかっていたかのように平然としていた。
「やっぱりな」
「ああ。だから渡さねェ」
さっきまでのエースの優しい笑みは消え、ルフィの顔からも何時もの笑みは消えている。
「二人ともやめて!! 兄弟なんでしょ?なのに、昨日からずっと睨み合って……」
兄弟でもこれだけは引けねェ、と同時に二人が口にした言葉からは、真剣な気持ちが伝わり、ハルはそれ以上なにも言うことができなくなってしまう。
その後、エースもルフィもバラバラに何処かへ行ってしまったため、ハルも女部屋へと戻ることにし、ベッドへと倒れ込んだ。
結局エースの言葉の意味も、ルフィの言葉の意味も聞くことができず、何があの二人をそうさせているのかわからず、部屋には溜息だけが響いた。
「ハルも大変ね」
「でも、溜息ばかりついていたら幸せが逃げてしまうわよ」
そんな悩んでいるハルに声をかけてくれたのは、ナミとロビンだった。