命が尽きるその時まで
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雪根 小丸(ゆきね こまる)
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新選組屯所にて、なにやら今日は騒がしい声が響いていた。
一人の女を挟む形で、藤堂 平助と原田 左之助が揉めているようだ。
「二人とも落ち着けって」
小丸が新選組に来てからというもの、元々よく喧嘩をする左之助と平助の喧嘩は増えていた。
そして今日も、小丸を巡っての喧嘩が始まっており、まさに今それを、永倉 新八が止めに入っているところだ。
「平助、いい加減その手を放したらどうだ?」
「やだね、左之さんこそ放せばいいだろ」
小丸の腕を片方ずつ掴み放そうとしない二人に、間にいる小丸はどうしたらいいのかとおろおろしている。
そんな二人の言い合いに入ることもできず小丸が困っていたところに新八がやって来たのだが、二人は新八の言葉など聞かず喧嘩が収まる様子はない。
「だから二人とも落ち着けって。一体何があったんだよ」
大体の予想はつくものの、喧嘩の原因を新八が尋ねると、二人は事の経緯を話始める。
早い話、どちらが今日小丸と過ごすかという小丸の奪い合い。
左之助と平助は小丸と町へ行かないかと同時に誘ったらしく、誰と行くかで揉めた結果今のような状況になったようだ。
「んなことなら3人で行きゃいいじゃねぇか」
「嫌だ!!今日は小丸と二人で行くって俺は決めてたんだ」
「俺だって嫌だっつーの。何で俺が平助のお守りをしなきゃいけねぇんだよ」
どちらも嫌だの一点張りで埒が明かずにいると、4人の元に沖田 総司がやって来た。
そこに立ってると邪魔なんだけど、4人とも何してるわけ、と尋ねてくる総司に事の経緯を説明すると、成る程ねと言いながら、困っている小丸を見てニヤニヤとしている。
総司のことだ、この状況を見て楽しんでいるに違いないと新八は思ったが、総司の口からは意外な言葉が出た。
「で、二人とも、小丸ちゃん本人には聞いたの?」
「いや、まだだ」
「俺も」
「なら、本人に決めてもらえばいいんじゃない」
何か余計なことをするのではないかとヒヤヒヤした新八だったが、意外な総司の一言に平助も左之助も小丸へと視線を向け尋ねる。
だが、どちらを選んだとしても選ばなかった方に悪い気がし、なかなか誰とは口にできず、悩んだ末に小丸が出した結論は、最初に新八が言ったように3人で出掛けようというものだった。
一応二人は、小丸がそう言うならと納得はしたものの、このまま3人で出掛けさせてもまた何か揉めるに違いないと心配した新八が3人に着いていくこととなった。
そして町についた4人はというと、新八が心配していた通り、ついて早々に左之助と平助の喧嘩が始まってしまった。
「小丸は俺と茶屋に行くんだ。平助、お前が引け」
「俺だって小丸と茶屋に行くつもりだったんだ。引くなら佐之さんだろ」
「お前らいい加減にしやがれ!!何で皆で行くっつぅ発想がねぇんだよ」
二人の喧嘩をまたも新八が止めに入るが、どうやら二人には皆で、という発想は最初から無いようだ。
人の目がある町中でも二人はお構い無しに喧嘩を続けるため、一緒にいる小丸はその場から逃げ出してしまいたいほど恥ずかしい気持ちで一杯になる。
「兎に角二人とも喧嘩は止めねぇか!!町中で騒ぎになると土方さんに何言われるかわかんねぇぞ」
新選組副長である土方 歳三の名を出したとたん、左之助と平助の喧嘩はピタリと止む。
それもそのはずだ。
歳三は鬼の副長と呼ばれるほど怖い人であり、そんな歳三に左之助と平助も最近叱られたばかりのため、これ以上何かすれば後が怖い。
「小丸ちゃんすまねぇな、こいつらが困らせちまって」
「いえ、永倉さんがいてくださって助かりました」
「そ、そうか」
笑みを浮かべる小丸を見て、新八は気恥ずかしさを感じ頬を掻く。
そんな二人には、優しく穏やかな空気が纏い、いつも左之助と平助の世話係をしている新八も小丸といる時だけは心が安らいでいた。
「んじゃ、皆で茶屋にでも、ってあいつら何処行きやがったんだ?」
視線を向けた先に二人の姿はなく、周りを見渡すがすでにその姿は何処にもない。
いくら世話係といえど、二人が迷子になるような心配はないためいいのだが、二人が小丸から離れることなど今までになかったことだ。
「先に戻られたんでしょうか?」
「あいつらが来たかったんじゃねぇのかよ。まったくしょうがねぇやつらだな」
そう言いながら小丸から視線を逸らす新八の頬はほんのり色づいており、小丸と二人きりという現状に新八は緊張していた。
そんな新八の様子に気付かず、私達も戻りましょうかと引き返そうとする小丸だったが、突然伸ばされた手に腕を掴まれ足が止まる。
振り返ると、新八が小丸の腕を掴んでおり、そのことに新八本人も驚き、慌てて小丸の腕から手を離す。
「わ、わりぃ!」
「いえ……」
頬を染める二人は、お互いに顔を逸らしてしまう。
二人の鼓動は早鐘を打ち、小丸は握られた腕、新八は握った手に熱が宿るのを感じていた。
そして、折角だし茶屋にでも寄ってかねぇかと平然を装いながら新八が誘うと、小丸はそうですねと頷き、近くの茶屋へと向かう。
二人外の長椅子に座ると団子を頼みお茶を飲みながら食べるが、その間会話がない。
沈黙が更に二人を緊張させ、何か話さなければと思っても、二人きりになると何時ものようには話せず、結局一言も話さないまま団子を食べ終えてしまう。
「あー……よかったら、もう少し見て回らねぇか」
「え?」
「いや、嫌ならいいんだ」
慌てた様子の新八に、小丸はクスッと笑みを溢すと、私ももう少し見て回りたいなと思っていたところなんですと口にする。
その言葉に、新八は笑みを溢すと、あっちにいい店があったんだと小丸を連れ、二人で町を見て回る。