また1つイタズラの種が
名前変更
名前変更お話にて使用する、夢主(主人公)のお名前をお書きくださいませ。
【デフォルト名】
雪根 小丸(ゆきね こまる)
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「平助、小丸から理由は聞いたのか?」
「いや……」
左之助に聞かれた平助が、小さな声で答えると、気にしていた総司と一も平助に声をかける。
だが、それ以上平助は喋ろうとせず、押し黙ったまま顔を伏せてしまう。
そんな様子の平助は、3人が思っていた結果とは違うものであり、一体何があったのか聞こうとすると、襖が開かれ小丸が現れた。
「こりゃ何時もと逆だな」
左之助が呟く視線の先には、平助が顔を伏せ、小丸が平助を見つめている姿があり、それは何時もと逆の光景だった。
平助と小丸は会話もないまま食事を済ませると、先に平助が広間を出る。
食事中ずっと平助は、小丸のことを考えていたため、夕餉を食べたことさえあやふやだ。
嫌われたり憎まれたりすることには慣れていた平助だが、この気持ちだけは慣れそうにない。
「平助くん」
夜空を眺めていると、背後から声をかけられ、その声音で誰なのか直ぐにわかってしまう。
「今日はごめん……。怖がらせるようなことして」
それだけ伝えて去ろうとする平助だったが、背後から抱き締められ、制止されてしまう。
鼓動が早鐘を打ち、頬が熱くなる感覚に、口から言葉が出ずにいると、小さな声だがハッキリと、小丸の声が聞こえてくる。
「私、平助くんの事が好き!」
思いもしない言葉に、心臓は壊れてしまうんじゃないかと思うくらいに高鳴りだす。
抱き締められ、小丸の体温を意識してしまうと、平助の顔はみるみる真っ赤に染まり、尚更振り返れなくなってしまう。
「私、平助くんと目が合うと、胸が苦しくなって、どうしたらいいのかわからなくなって……。だから、平助くんに勘違いさせちゃったんだと思う」
嫌われていると思っていたことが、全て違うかったのだと知り、先程までの辛い感情は何処かへと消えてしまうと、今度は別の意味で辛くなる。
この抱き締められている状況が耐えられなくなった平助は、腕から逃れると、小丸へと向き直り今度は自分から抱き締めた。
自分で何をしているのか理解できなかった平助だが、あの状況を何とかしないと耐えられないと思い腕から逃れたはいいが、今度は赤くなった顔を見られないようにと、咄嗟に小丸を抱き締めてしまっていた。
これでは、さっきと状況は何も変わっていない訳であり、逆に小さな細い体を抱き締めている感覚に、胸がきゅっとしてしまう。
「平助、くん……?」
自分の腕の中で、小丸の口から自分の名が呟かれ、平助の腕には更に力が込められる。
「平助くん……痛い、です」
「わッ!!あ、え、えっと、ごめんッ!!」
慌てる平助の姿に、小丸が笑みを溢すと、その笑みは月の光に照らされ、とても輝いて見える。
平助は、小丸から目が逸らせなくなりじっと見つめていると、小丸と目が合う。
「さっきの返事、なんだけどさ」
平助の言葉に、小丸はじっと返事を待つ。
すると、返事より先に、小丸の体は再び平助の腕の中に納められてしまった。
「新選組は嫌われなれてるはずで、今更誰にどう思われても平気だと思ってたんだ」
平助は、自分の中にある感情を全て小丸に話した。
嫌われたって平気な自分が、何故小丸に嫌われるのが怖かったのか、平助は不思議に思っていた。
でも、嫌われているのが間違いだったと知り、小丸の想いを知った平助の鼓動は、先程からずっと騒がしく静まってはくれない。
「本当だ。平助くんの鼓動がよく聞こえる」
平助の胸に頬をペッタリとくっつけながら小丸が言うと、更に密着し、二人の間にはすでに距離はなくなっていた。
「平助くん、返事、聞かせてもらってもいいかな?」
平助の腕の中で小丸が顔を上げると、自然と上目遣いになり平助の鼓動が跳ね上がり、生唾を呑み込むと口を開く。
「オレも、小丸の事が好きだ」
真っ直ぐ見つめられ言われた言葉に、小丸は微笑み、平助の背に手を回しぎゅっと抱き締める。
静寂が包み込む夜の世界。
そんな世界には、まるで二人だけしかいないような思えるが、本当は、他の人達も別の場所に存在している。
そして、二人をこっそり見つめる3つの影も、そんな静寂が包み込む夜の世界に存在した。
「どうやら、上手くいったようだな」
「平助のやつ!!そこは口づけの一つでもするところだろうが!!」
「ほんと、世話がかかるよね、あの二人って」
お互いの高鳴る鼓動の音で、3人には気づかない小丸と平助だが、翌日、総司が皆に話したことにより、新選組内ではあっという間にこの噂は広がっていた。
「何で皆知ってんだよ!?」
二人は顔を真っ赤に染め、平助はギャーギャー騒いでいるが、噂の出所に行き着くまでにはもう少しかかりそうだ。
「総司、あんただな」
「やだなぁ一くん、僕だって決めつけられるのは侵害だなぁ。まぁ、僕なんだけどね」
しばらく総司のイタズラは続きそうだが、幸せそうな小丸と平助の姿に、3人はそっと口許を緩ませた。
《完》