きみの声で呼んでほしい
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「ええと、刀装はあと何があったかな……」
「誰に装備させるものだい?」
「毛利……あ、最近来た短刀の子に。特上歩兵、まだあったよね?」
「ああ、特上歩兵ならこっちの棚にあったよ」
名前や顔、個人の見分けはあまり得意ではないけれど、髭切はモノの扱いについてはよく知っていた。
そんな姿を見るたびに、やよいはずいぶんと驚かされた。
「ねえ、髭切」
「どうかしたかな、主」
「髭切は……本当は私たちの名前なんてぜんぶ覚えてるんでしょう?」
「うーん、どうかなあ?ド忘れしちゃうってことは結構あるんだけど」
少し肩を竦めて髭切は答えた。
彼は横顔に微かに笑みを浮かべて棚に並ぶ刀装を数えていて、その視線はやよいの方へと向かなかった。
「どうして覚えていないふりをするの?」
「ド忘れだよ、ふりだなんて器用なことできないからね」
穏やかな口調で告げる。
彼はいつも穏やかだ、戦場で気合いの叫びを上げることはあっても、戻る頃には落ち着きを取り戻している。
それを本人は、長年刀をやっていたからどうでもよくなった、などと言っていたけれど。
「……私なら、名前を呼んでほしいな」
「へえ?」
微かに、刀装を数えていた指が止まった。
やよいは刀装の種類と数とを書き留めて、いたため気づかなかったが、髭切の視線がちらりとだけ揺れた。
「誰に装備させるものだい?」
「毛利……あ、最近来た短刀の子に。特上歩兵、まだあったよね?」
「ああ、特上歩兵ならこっちの棚にあったよ」
名前や顔、個人の見分けはあまり得意ではないけれど、髭切はモノの扱いについてはよく知っていた。
そんな姿を見るたびに、やよいはずいぶんと驚かされた。
「ねえ、髭切」
「どうかしたかな、主」
「髭切は……本当は私たちの名前なんてぜんぶ覚えてるんでしょう?」
「うーん、どうかなあ?ド忘れしちゃうってことは結構あるんだけど」
少し肩を竦めて髭切は答えた。
彼は横顔に微かに笑みを浮かべて棚に並ぶ刀装を数えていて、その視線はやよいの方へと向かなかった。
「どうして覚えていないふりをするの?」
「ド忘れだよ、ふりだなんて器用なことできないからね」
穏やかな口調で告げる。
彼はいつも穏やかだ、戦場で気合いの叫びを上げることはあっても、戻る頃には落ち着きを取り戻している。
それを本人は、長年刀をやっていたからどうでもよくなった、などと言っていたけれど。
「……私なら、名前を呼んでほしいな」
「へえ?」
微かに、刀装を数えていた指が止まった。
やよいは刀装の種類と数とを書き留めて、いたため気づかなかったが、髭切の視線がちらりとだけ揺れた。