新門紅丸の場合
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夕方、第1特殊消防隊の物置小屋付近
「あ〜ノエルさん、こっちです」
「こっちに何があるの?」
「はい、こっちの方に…」
ぐわんっと何かに殴られたような感覚になる
頭が一瞬回らなくなる
誰の能力?神経が麻痺しそう…
「何…」
「ちょっと目障りだから大人しくしてて欲しくて…大隊長の娘だからってチヤホヤされて…」
「私の彼氏なんて…」
あぁまたかこれ。
それによく第1にいて彼氏とか言っていられるものだ
まぁあと1年も持たずにどちらも辞めるだろう…
他の隊にいくならまだしも、第1は、シスターと神父が集まるところ、恋とかは禁忌のようなもの
そして問題はここ
何されるのかということ
「中隊長達からもあんなに…」
女の嫉妬ほど面倒なものは無い
「そう…それだけ?もっと公のあるところでやればいいのでは?」
そうなると都合が悪いことは重々承知だ
だからわざとノエルは言う。
「うるさいわね!」
「だから今回は特別に…あなたのことが大好きな人達に来てもらったの。好きにしていいわよって言ったら飛びついたわ。」
2人の女はニタニタ笑いながら男3人を連れてきた
ボワッといきなり服が焼け、身体を自身の炎で守ったが時すでに遅し、
かなり際どい格好とされてしまう。
「いい眺めねぇ……っ!」
「あなた方はこんなことをして太陽神様に許されると思っているのですか」
「うるさい…チヤホヤされるあんたが悪いのよ…さ、やっちゃって?」
少しでも時間を稼がないと…
伸びてきた手を交わしながら何とか体制を整える
「逃げないでくれよー。」
「これから俺たちといいことしよう?気持ちくなるぜ」
「大隊長に聞かれたら何も無かったっていえばいいんだから。」
「あなた方は…神父の称号の剥奪で済むとは思っていませんよね?」
「だからそれはノエル
ちゃんが黙ってればいいだけでさぁ。」
ぴゅんっと風を切る炎を男たちの頬をかする
「おしとやかなお姫様じゃないのか。」
「楽しませてくれよ?お姫様」
―――
「ノエル?」
洗濯をしていた彼女がいなくなっていた
こんな中途半端に残して行くような子じゃないのに
キョロキョロしていると、中隊長のフォイェンとカリムが中庭を歩いていた
「どうかしたか?アンジュ」
「あ、おふたり共…。ノエルを見てませんか」
「見ていないよな」
「そうですね…つい20分前には洗濯物を持ってる姿は見ましたが…」
「そうなんです…こんな中途半端残して消えるような子じゃないから…何か大変や事が起きてなきゃいいんですが……。それに、外に出てるとも思えません。」
アンジュの焦りと不安な声に2人は顔を見合わせる。
「とりあえず、周りのシスターたちに聞いてみるか。胸に胸騒ぎするな…」
「そうですね。」
アンジュは2人の姿を見送り、自身の手から炎の羽を作り出す
「ノエルを探して…」
ぴゅんっと風を切り、ノエルを探す
これで少しは早く見つかるはず。
自分の羽の熱を感じた
見つけた…
羽を2枚また作り中隊長たちの所へ飛ばした
羽の方角へと走りながらノエルを探す
フワッと炎の羽が2人の前に現れた
「アンジュの羽だ」
「見つけたのかもしれない」
とある倉庫前に3人が揃う。
「ここですか?」
「ここ…使ってない倉庫じゃないのか?」
「確かに…」
ガチャっと開けてみると焦げ臭い匂いがした
「誰か確実にいますね。」
…
「もう逃げないでくれよー」
頭がクラクラする
焦点も全然合わない
意識を失わないように逃げ回るのがやっと
怖い…お父様…紅丸さん…
怖い
なんでこんな目に…
「もう1発、神経麻痺させとけば大人しくなるだろ。」
「そうだなー。なーノエルちゃん、足開いて俺らと楽しいことしようぜー」
「絶対いや…。」
足を開くって何。
「おいおい、お前。この子は大隊長の娘だぜ?大隊長がそんなこと教えるわけもない。」
「そうだな。じゃ、俺らがどうやるか教えてやるか」
やだ…怖い…
紅丸さん…っ
男たちの伸びてくる手に恐怖を覚え、身が竦む
「プリューム…」
「う、うわ何だ?!炎の羽?!アンジュだ」
「えぇ…私ですよ。ノエルに何をしてるか説明くらいありますよね?まぁ…あなたがたの今の階級は剥奪されるくらいの気持ち、あるからこんなことできているんですよね?」
「へぇ…アンジュでもそんなこと言うの。まぁまぁ…俺らと楽しいことしようぜ?」
「懲りませんね…ねぇ?中隊長達。」
「は?中隊長…?」
「まさか、アンジュだけでここに来るわけないだろ。馬鹿かよ馬鹿が。」
「そうですね。大隊長からきつい罰が来るのは避けられないとは思いますが…ノエルが怖がってしまってるので先に助け出すことを優先に。」
「おう」
フォイェンの言葉にカリムが頷く
「アンジュ…とりあえずこれをノエルに…部屋に戻る前には適当に代わりのもの見つけてくるからそれまでこれをノエルに渡してくれ。」
自分のローブを脱ぎ、アンジュに渡す
このバカ達を何とかしねぇとなぁ。
「中隊長たちが来るなんて聞いてねぇぞ」
「おや…第1内で何をやろうとしたのでしょうか?…ノエル走れますか?」
フォイェンの声に何とか走り、アンジュの胸へ飛び込む
「アンジュさんっ…」
「ノエル…よく頑張ったわ。あとは中隊長たちが何とかしてくれるから…。」
カリムから受けとったローブをノエルにかけ抱きしめた。
―
その後、男3人と主犯の女2人は第1の地下牢へと幽閉した。
「ノエル大丈夫か?」
カリムが落ち着いて話しかけてみるもビクつき目も合わせてくれそうにない
「カリム…ついさっきまであんなことがあったんです。我々が話しかけて、さらに怖がらせたら元も子もありません。とりあえず…何も身体にされてなくて良かった。」
―聖女ということは守られた―
「アンジュ、ノエルをシャワー室に連れて行ってあげてください。血も流していますし、身体を清めたいと思うので。」
「はい。」
ノエルを立たせ、カリムとフォイェンは2人を見送った
その後、外へ出ていたレオナルドバーンズへと報告することとなる。
「俺、毎回この報告が死ぬほど嫌いなんだけどな」
「私も嫌いですよ。なぜ彼女のような純粋な人が、浅はかな嫉妬や嫌悪感といった感情のせいで、あんな目に遭わなきゃならないのか。できるだけ誰かといてもらおうと思っても信用できる人間は少なそうですね。今回も私の部隊の小隊長とシスター2人と…」
「俺の部隊の小隊長と1等消防官。まぁ…大隊長ご立腹だろうなぁ。」
「娘をそんな目に毎回合わせられるなら尚更ですよ。私なら、シスターでもやめてどこか静かなところでと思いますが…またどこで何があるか分かりませんので、目の届くところに置いていたいのが父親心というものだと思いますね。」
そんな話をしながら中央へと言ったバーンズへと電話を試みるが、中央の教皇庁からは
今しがたここをたったため、そちらに着いた頃ではないかというもの。
「ノエルと会う前に伝えたいんだけどな」
「そうですね…。」
…
「今戻った」
「お勤めご苦労様です」
バーンズの帰りを、近くを通った小隊長が合掌で挨拶をする。
「中隊長たちが見えないが…」
「先程まで走り回っていたように見えましたが…」
「そうか…」
何も無ければいいんだが…
…
「はい、ノエル。」
「ありがとう…。」
新しい修道服を着て、髪もアンジュの能力で乾かした。アンジュの優しい炎は燃やすことだけではなく、ドライヤー代わりの熱を出すことも出来る
ドライヤーいらずの能力でもある
「今日はゆっくりしましょう?夕食も食堂が嫌なら部屋でもいいし…私も付き合うから。」
「アンジュさんに迷惑が…」
「かからないからね。」
「それに…カリム中隊長から借りたコレも返さなきゃならないのに」
「カリム中隊長も分かってくれてるから…大丈夫」
シャワー室を出て廊下を出ると
先程帰ってきたばかりだろうレオナルドバーンズが目の前にいた
「ノエルどうかしたか?」
「お父様っ…!」
いきなり抱きついてきた娘が震えており、なぜ声まで震えているのか不明という顔のバーンズ
「中隊長達からご連絡…行ってないようですね」
「何かあったようだな…」
「そうですね。でも、ノエルが落ち着いてからです」
「あ、大隊長いたぞ」
ノエルを抱きしめてる姿を見てノエルとあったことを確認した。
「お先に一方入れようかと思ったのですけど…」
「なんとなくはわかった。いつもの事だろう」
「はい。今、ノエルに触れる異性は大隊長しか居ないと思われます」
っとフォイェンが話し出す
「どういうことだ?」
「先程の事件により少々、男性を怖がってしまってる様で、私達も触れることはできません。」
「そうか…」
と言うと、ノエルを抱き上げ廊下を歩き出し、その後ろを3人が着いていく_。
少し落ち着いたのかノエルは、バーンズの腕の中で寝てしまう
「さて、何があったか話してもらえるかな」
大聖堂の中の椅子に座り、3人を見る
「今より1時間ほど前のことです…」
アンジュが話し始めた
洗濯物を干していたノエルがいなくなったから
自身の羽で探してみたら使われてなかった倉庫の中に主犯の女2人と男3人に服をほぼ燃やされ、
神経麻痺も熱でやられたようでかなりフラフラしていたと…。
主犯の女たちとそれに関与した男たちは地下の牢に入れていると
「大体はわかった…。やはり、私といるとこの子に悪い気しかしないな。」
「そんなことないですよ…だってノエルには大隊長が必要で…」
と、カリムが言う
「そうだといいのだがな…。地下牢の人間たちの処分は後ほどするとして、これからどうするかだ。任務にも支障が出る。」
「そうですね。……大隊長ひとつよろしいですか」
「何だ。アンジュ」
「1人、ノエルに合わせたい人がいるんです。今のノエルを変えてくれるかもしれません。だけど、誰が来ても驚かないでください」
「…誰が来ても?」
アンジュの言葉にフォイェンが疑問を感じた
「えぇ…誰が来てもです。では、行ってまいります。」
大聖堂の外へと行くと炎の翼を作り出し浅草へと飛んだ。
急いで彼の元へ…
浅草
第7特殊消防隊 詰所
「夜分遅くに失礼します。」
「第1の…嬢ちゃんじゃないか」
「紺炉中隊長…新門大隊長はご在宅でしょうか」
「若に?」
「ノエルのことで…ご相談が。」
「何だ?」
「若…」
合掌をしながらお辞儀をするアンジュ
「とりあえず…話しな。」
「それでは…」
事の発端を話し始めると紅丸の眉間のシワは深くなっていく
「バーンズは何してたんだ?」
「大隊長は中央の教皇庁に呼ばれていて不在でしたので、そこをつかれました。」
「若…落ち着いて…。でも、今の嬢ちゃんの話だと父親のバーンズしか触れてねぇんだろ?若があっても同じ目に会うんじゃないのか?」
「確かに…そう思われることも分かります。ですが、新門大隊長であれば何とかしてくださると思いまして。」
「あ?」
「だって、とても仲睦まじいでしょう?恋仲のようですよ?」
恋人ではなく、恋仲と使うのは紅丸に合わせて原国主義者に合わせての言動である
「恋仲じゃねぇ…」
「でも、ノエルはあなたといると楽しそうにしてますよ。バーンズ大隊長へのご挨拶はお早めに。」
「るせっ…で、何すればいいんだ?」
「着いてきてください…。第1特殊消防隊へ…」
夜7時も過ぎた頃
纏に火をつけ、飛んできた男、新門紅丸と
炎の翼で飛ぶアンジュ・ミッシェルが第1特殊消防隊へときた。
「こちらです」
「アンジュ小隊長…こちらに火が…」
「大丈夫です。」
「え?第7の大隊長?!」
「私がお呼びしました。バーンズ大隊長とお話しするために。」
なんて恐ろしいことをしようとしてるんだ
うちの歌姫は…っと思われていた事など知る由もなく大聖堂の中へとはいっていった。
「大隊長…ただいま戻りました」
「あぁ…」
そして…バーンズの眉間が少しだけシワが増えた
「誰か来たの?」
ノエルが眠りから覚めたようだ。
「誰が来ても…というのはこういうことですか…」
「第7の大隊長だ?」
「第7…?」
「3人とも…少し席を外してもらえるか…」
バーンズの声に合掌をし、紅丸の横を通って行った
「ノエル…」
バーンズの膝の上で紅丸と目が合った。
「紅丸さん…」
また泣き出す娘の頭を撫でながら、落ち着かせるバーンズ。
その様子に少し頭をかきながら、なんと言おうか考える紅丸
ちゃんと付き合ってるわけじゃないが、お互い信頼して大切な人っていうポジションでノエルからとっても大切な人ですっていう言葉はアンジュから聞いた。
アンジュから言われてるし、
「ノエルとは…浅草で仲良くさせてもらってる…。あんたの娘だということもわかってる。」
「そうか…」
「シスターということも、聖陽教と原国主義者との関係だからあんたを裏切れないって言う気持ちで板挟みになってたところはあるだろ…?」
その言葉にノエルはバーンズの服のシャツを掴む
紅丸は、ふぅっと息を吐き
「悪ぃな。ノエル…約束破っちまったな。だけど、俺は、お前の傷つく姿は見たくない。あんたもノエルには自由でいて欲しいだろ?」
「娘をよこせということか?」
「まぁそういう意味もあるな。」
その言葉にドキンっと心臓が高鳴る
なにこれ…。身体が熱くなる。
熱でも出したの?
どうしたの私…。
「…それはノエル次第だ。ノエルの生きたいように…ここまで育てた家族だからな」
「そうか…」
小さく呟くと、
紅丸が来いといきなり言い出し、バーンズの膝の上にいたノエルはかなり戸惑ってしまった
それもそう…完全に付き合ってる訳でもない男と
自分の父親が目の前で言葉を間違えれば乱闘が始まりかねないのである
ノエルを自分の膝から立たせるとそっと背中を押した
「お父様…?」
その顔は優しく笑っていた
紅丸に抱き寄せられお姫様抱っこされたと思うと
次の瞬間、紅丸の膝の上に乗る
「紅丸さん…お父様に見られて…」
「大丈夫だから…」
その後、何故か結婚の話がではじめた
私は結婚なんて…出来ないのに
「結婚をするということは
シスターを辞めるということだ…」
ということをバーンズに言われるがノエルと言うよりは紅丸に言っているようであった
「あ?浅草じゃそんなの関係ない。
こいつの気が済むまでシスターやればいい、俺はそれまで待つ…」
「紅丸さん…」
「私は幼い頃からシスターになるのか分からない娘をとりあえず…シスターの道に踏み入れされた。恋愛を止めはしない。それがノエルの選んだ道なのなら。」
「お父様…。」
相思相愛なのはよくわかったバーンズは立ち上がったかと思うと静かにノエルの頭を撫でた。
…
その後
数日間、休みを貰ったノエルは落ち着きを取り戻し、カリム達とも話せるようになっていた
「お騒がせしてしまい…申し訳ないです。ローブも…」
「いいんだ。お前が大丈夫で大丈夫ならそれはそれでいいんだ。」
地下牢に入れられていたものたちは、解雇され、シスターと神父達は聖職資格の剥奪を余儀なくされた
紅丸には全員殴らせろと言われたがバーンズに第1の問題だからと断られてはいたが、5人が外に出てくる頃にはかなりやつれていたという。
多少の罰はあったのであろう
「ノエル」
「お父様…。私は、シスター楽しいですよ。でも、紅丸さんといるのも楽しいです。」
「自由で構わない。生きたいように生きなさい」
「はい。」
彼ならノエルを任せられるか…。
END