新門紅丸の場合
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今日は久しぶりの大隊長会議の日。
もしかしたら彼に会えるかもしれない。
そんな思いがあるがお父様には内緒なので
お父様には、いつもなんとか言って連れてきてもらっている
最初はどんな理由かはもう忘れてしまった
でも、日課になってしまってる時点で辞める理由もやめない理由もない。
ただ、会議が終わるまで会議室前の廊下の外を眺めながら太陽を見る。
なかなか来ない新門紅丸を待ちながら大隊長会議に行くなどそんな理由など口に出せる訳もなく
ここから見る景色が好きなの。
といつも誤魔化してきている。
新門紅丸…
彼との出会いはさらに3年前に遡る
私が正式に消防隊へと入り、お父様離れのためだと
オニャンゴ中隊長に誰か仲のいいこと外を歩いてくるのもいいかもしれないな
と言われ、同室になったアンジュさんと浅草にきていた
確か最後に来たのは…もう7年くらい前だったかしら
お父様に初めて連れてきてもらって、同い年くらいの男の子にハンカチを渡した記憶しかないけど
同じ東京なはずなのに違う空間でまた違う文化を子供ながら感じた。
「ノエル…今日は気にせず羽を伸ばして。」
「でも…お父様以外とここまで遠くに来るのは初めてで…」
「だからよ。バーンズ大隊長も自分といると気を使うからって私とね。」
「お父様に気なんて」
「父親の感なんじゃない?もう年頃の娘だし、自分に内緒なことだって増えるって思ってると思うし、ずっと第1にこもりっきりってのも……」
そんな会話をしながら
町の雑貨屋の中に入りながら笑い合う
確かに久々な気がする
何も考えずに笑えるのは
お父様にも気を使わせてしまってたのかしら
確かに昔は何かあったらずっとお父様のそばを離れなかったし、お父様がいないと何も出来なくて
お父様に迷惑かけっぱなしだったけど…
そのおかげで、体術は、中隊長からお父様譲りと褒めてもらえてるし… 悪いことだけではないわ。
カーンカーン
っと外から鐘の音が聞こえてくる
「何この音?」
「嬢ちゃん達…浅草の外の人間だろ?これは火事だよ!焔ビトが出たんだよ!」
外へと2人で出ると後ろから店主が話しかけてくる
「焔ビト…?!」
「浅草は…第4の区域じゃ…」
「でも、第4の消防隊がここまで来るのには時間がかかるわ。」
「嬢ちゃんたち、俺らの町には火消しがいるんだぞ?」
「火消し?」
そんな会話をしていると_。
焔ビトが目の前に現れる
「嬢ちゃんたち隠れな!危ねぇぞ!」
「アンジュさん…店主さんを安全なところへ」
「何言ってるんだよ嬢ちゃん」
「特殊消防隊です…。」
「特殊消防隊?!」
「第4ではなく第1ですけど…。」
祈りなしに鎮魂はできない
それに、対象の地区以外では勝手なマネはできない
だが、ノエルに向かって襲いかかってくる
手袋をはめ、構える
お父様から熱の使い方を教えられた。
手の熱を焔ビトと同等とし、対峙する
「お辛いでしょうが…火消しさんたちが来るまで我慢してください」
と、いい焔ビトの顎を手根で強打し
肘で地面にめり込ませた
それと同時に建物が崩壊していく
「え?え?私、ここまでできないのになんで?!」
「お!紅ちゃんだ!」
紅ちゃん?
すごい爆風でよろめくノエルはその場にへたり込む
「あ?聖陽教の人間だァ?」
「紅ちゃん…焔ビトはお嬢ちゃんの隣に…」
「どいとけ…」
そう言われたかと思うと
彼は自分が町を壊したのに焔ビトのせいにし始め
な、何を言ってるの彼……
―頑張ったな…―と小さくつぶやくと
胸の核を潰した
「あ?何見てんだ?」
突然大きな声で言われ居竦む
「いえ…」
そんなことを他所に他の火消しの人が来た
「紅…。終わったか?」
「あぁ…」
「ん…紅…まさか…聖陽教の嬢ちゃん達に向かって怒鳴ってないよな?」
「してねぇ…」
「睨みにかせて大声出してたぞ!」
「うるせぇ…」
店の店主が割って入ってくる
「それに、紅ちゃんが来るまで、その子が食い止めてたんだ…。特殊消防隊みたいで…。」
「特殊消防隊だァ?」
「今日は非番だったので…」
「第1ですけど…」
「へぇ…」
興味なく返事をする紅丸
そう、これが出会い
ノエルの目に少し涙が溜まってることに気づいた紺炉に後ほど謝られた。
うちの紅丸がすまなかったと…。
「そういや、嬢ちゃん…名前聞いてもいいか?あ、あんまりこういうのやらない方がいいのか?」
「いいえ構いませんよ。私のメンタルが弱いだけですので…第1特殊消防隊、二等消防官、ノエル・バーンズです」
「ありがとよ。また気軽に来てくれ。紅も悪いやつじゃねぇから」
「はい。ありがとうございます」
そういいノエル達は皇国へと帰っていく
―
――
「紅…多分さっきの気弱なねーちゃん…第1のバーンズの娘じゃないのか?」
「あ?」
「名前聞いたらバーンズっていてたし、第1で…」
「…父親にいいつけるような子じゃないとは思うが…気弱そうな嬢ちゃんには言葉気をつけろよ。多分あれは怒られたことないような子だ…だが、焔ビトを1人で止めてたという点に置いてはバーンズの娘と言ってもおかしくねぇかもなぁ」
「…そうかよ。」
それから何度かノエルとアンジュは浅草を訪れた
紺炉に気弱な方の女は言葉遣いを気をつけろと言われた
めんどくせぇと思いながらも大きな声を出さないようにはした
そしたらわかることがあった
よく笑う女だ
コロコロ表情がよく変わる
試しに着物着てみるか?と、興味本位で聞いてみた
「いいんですか?」
とてもお淑やかな女だった
浅草に居ないタイプの女だった
シスターだと言うから納得した
そんな清らかでお淑やかなやつがこんな町に来るなんてよっぽどの物好きだと…
「でも…いつもお父様に内緒で来てるから…少し心苦しいです」
そういや、バーンズの娘だったか
まぁそうだな…聖陽教と原国じゃ…話せるわけねぇか
それも第1のバーンズとなると特にか…
「…別に内緒でいいんじゃねぇのか?気にせず浅草に来ればいいし…」
俺は一体何を口走ってるんだ?
「紺炉さんの言う通りお優しい方なんですね」
紺炉の野郎…余計なこと言いやがって
っと思いながらもノエルの笑ってる姿を悪くないと思うようになり秘密の関係を続けて行った。
そして…
「ではいってくる。」
「はい。」
父とカリムを送り
廊下を歩きながら外を眺める。
今日も太陽が綺麗…
フワッと大好きな匂いが香った
えっ?と後ろを振り返ると紺色の作務衣姿が目に映る
その影は2つ
間違いない…紅丸さんと紺炉さんだ…。
見られただけでよしとしよう
クスッと静かに笑った。
会議は始まっただろうか。
扉が閉まって10分ほどしてバンっと音がした
え?まだ終わってないはずなのに……。
出てきたメンツを見て納得が行く
第7特殊消防隊だ
「ノエルか…なんでここにいる」
「お父様に着いてきたの。」
「…。」
「でもね…もしかしたら会えるかもしれないから。大隊長会議だし…」
「若…次からちゃんと来る理由出来たな」
「るせっ…」
「でも、まだ終わってないんじゃ…お父様達も来てないし…」
「あぁ〜若が啖呵切って出てきてしまってな」
「紅丸さんだからしょうがないですね」
クスクスっと笑うノエルに少し顔を赤らめる紅丸
「にしても…新鮮だな」
「新鮮?」
なんのことだろう?
「いつも、私服か、着物しか見てねぇから…修道服か?」
「はい…第1の修道服です」
紺炉の質問に笑顔で答えるノエルに少しムスッとした顔をし始める紅丸にやれやれという顔の紺炉
「若ぁ…自分で言ってくださいよォ…服装が似合ってるって」
「俺は別に…」
紺炉の «似合ってる»っと言うセリフに少し顔を赤らめた
「紺炉…お前後で覚えとけよ」
ギュッと紅丸の服の裾を掴むノエル
その行動に目をぎょっとさせた紅丸はノエルを見ると目線がなかなか合わず口元を指で隠している
「…似合ってる」
頭をポンっと撫でる。
嬉しそうにノエルが笑った
この笑顔を守らなければならないな
ノエルとの関係を続けるならバーンズとの喧嘩は避けられねぇだろうな……。
早く…契りを交わしてぇな
っと思う日々が強くなっていく。
パンっとまた扉の開く音が鳴る
「そろそろ来たか…また、遊びに来いよ。」
「明後日また行きますね。」
「あぁ…待ってる」
―
「ノエル…楽しそうだな」
「はい…今日はとてもいい日でしたよ。」
娘の笑顔に静かに笑うバーンズ
「カリム…帰るぞ」
「はい。ノエル…なんでそんな嬉しそうなんだ?」
「内緒です。」
「あ?」
「レディには秘密が多いものですよ。」
「よくわかんねぇ…」
「…。」
「お父様?」
「いや…。」
なにかに気づき始めているバーンズであるが
全てを気づくまではまだまだ先になるだろう
END