それは突然の知らせだった
丸井から君島先輩が呼んでいると言われ、君島先輩のいる所へと向かった。

｢精市…?｣
朝、ここを通るなんて珍しい
朝練用のドリンクを持つのは幼なじみで想い人凛だった
｢丸井から君島先輩に呼ばれて…｣
｢キミ様から…？いい話だといいね｣

彼女はそう言い、大量のドリンクを持って奥へと消えていった。
奥の方で高校生達とあったらしく、いつものように気をきかせた高校生たちが自分のだけは持つと言っているのが聞こえた…

ブンちゃん…キミ様…
アメリカの手術の話か……
ドイツ戦を前に……

練習場につき、ベンチ付近にドリンクを置く。
あくと兄さんや、蓮二がしばらくしてから到着し、私にデータを見せてくれた。

｢精市と一緒じゃないのか？｣
｢なんか、キミ様に呼ばれちゃったみたいなの。｣
｢そうか…｣
それ以上、誰も語らなかったが、察しは着いたのだろう…

«幸村の手術の件»ということを…

パコッと言ういい音が鳴り響く
ちょくちょく休憩を兼ねてドリンクを取りに来る選抜のメンバー

｢幸村のやつ来ないのぉ〜｣
｢そうね…｣
｢元気だしんしゃい…俺らだって幸村のことが心配じゃが…幸村は誰よりも強い男じゃ…だから…きっと大丈夫じゃよ…。｣
仁王はそう言った。

｢えぇ…そうね。｣

凛も静かに笑いながら言った＿

フェンスの扉の開く音がした

後ろを振り返ると彼、幸村精市が立っていた。

｢あ…精市ようや……｣
そこで思考は停止する
それはそう＿なぜなら抱きしめられているのだから。
｢え…？｣
誰もが固まり、テニスを打っていたもの達はテニスを打返すことすらやめてしまった…

ギュッと抱きしめる力が強くなる
泣いてる…？服が濡れる感触があった

嫌な言葉が脳裏によぎる
やめて＿お願いだからやめて＿
聞きたくない

｢俺…俺…治ってたんだ…。｣

｢え？｣

｢アメリカに血液のサンプルをおくったって話しただろ？｣

｢うん…｣

｢それで検査の結果が…完治したって…。｣

｢おめでとう…ようやく本気で戦えるね｣

｢あぁ…手塚戦が楽しみだよ。｣
全国大会までの幸村精市とは違う
彼はあの時はまだ本気を出していなかった＿。

合宿の時も＿

一段と美しい笑顔が輝いて見えた

その後＿＿

あっ……凛は、嫌なことが脳裏によぎった

最悪だ…さっき、驚いて気づかなかったけどこれ

腰抜けてる…立てない
詰んだ……

｢おい…どうした？｣
柳に話しかけられ、目線を合わせる
｢さっきの事件で腰を抜かしました…立てません…きっと今の時間はまともな機能は挑めません…｣

｢…わかった…あとは俺たちが何とかする…。精市も、ここから見えない奥の方で徳川さんと左手対策をしている…掴まれ。｣

腰に手を回し凛は、柳の首に手を回す
そっと抱き上げられ、
｢お手数おかけします｣
｢全くだ…｣
｢ねぇ…｣
｢なんだ？｣
｢きっとこんなの見ても精市は嫉妬もしてくれないんだろうね…。いや、そもそも付き合ってもいないのに嫉妬とか…。｣
｢俺が前に言っただろ。お前たちはお似合いだと…告白すれば120%成功すると｣
｢100%超えてる〜｣
｢絶対的な自信があるからな｣

柳に運ばれた凛を見た赤也がブン太に話、それが幸村の耳に入る。

｢腰を抜かした？なんで…？｣

｢いやよくわかんねぇけど…｣

絶対さっきのだろーっとは死んでも言えず笑うしかないブン太

｢でも、柳が運んでくれたんだろ？なら、安心だよ｣

全く嫉妬しないな、幸村くん

ほんと両片想いって…俺らがとやかく言うことじゃないが……

早くくっつかないかな!!
見てて、もう…もどかしい！！！


メンバーたちがそんなことを思っているなど知らずに、ドイツ戦に向けて、練習に励む幸村であった