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黄金聖闘士

早朝、リエルは朝早く教皇の間にいた

「やぁ。セージ私になんの用?」
「リエル様…こちらを」
セージから受けとった手紙はイタリアからの手紙であった
「ふーん…調査ね…私あの子たち見てたいんだけど」
「はい…わかっております。しかし…」
セージの顔が少しだけ曇る
「分かってるよ。アスプロスいや…デフテロスの方への不満だろ…どうせ聖衣すらまとえない雑兵終わりが何かを言ってるだけ…そんなレベルの話で厄介祓いのような調査を?」
「決してそんなつもりはありません。それに…あの双子の凶星…。わたしも双子…アスプロスの気持ちも彼の弟の気持ちも分かります…」
そういえば…ハクレイと双子だったわね。彼も。
性格があまりに似てなくて忘れかけてたけど
「その調査…星を見た限り」
「あぁ…冥闘士で言う三巨頭レベルかそれ以上だろ…分かってはいる。だから私にだろ…。」
「はい。」
「はぁ…まぁいいよ…。面倒ごとはゴメンだが…そこのイタリアのお偉いさんには後でがっぽり貰わないとな…私の指名料は高いからな」




そして双子の宿屋に着く。

「アスプロス…起きてたのかい?」
「はい。リエル様…それよりどこかに行っていたようですが」
「朝っぱらから教皇に呼び出された…ちょっと調査に行ってくる…アスプロス…あの馬鹿どもの話なんかまともに聞かなくていい…いいね。」
「俺があんな今だけイキってる男たちの話なんか聞いてるとでも?」
「いや、聞いてはいないが…暴走するなという話だ。」

「それにしてもデフテロス遅いな…」
「そうね」
彼の部屋に行ってみると汗をびっしょりとかき苦しそうに寝ていた

「デフテロス…っ!リエル様…!!」
「あぁ分かっているよ。デフテロス…私の声が聞こえる?熱が高いか…」
首筋に手を当て、胸元に手をかざし、冷気で冷やす。
「これで熱は少し引いたと思うが…最悪ぶり返すかもしれない…薬なんてここには置いてない…聖域の外に行けば…医者はいる…」
「ですが聖域の連中…デフテロスの存在を隠そうとして…殺しにくるかもしれません。」
「確かに…あのクソどもはそうするだろうね」
「ねえ…さん……」
か細いデフテロスの声が聞こえデフテロスを見る
「ありがとう…少し楽になったよ…兄さんもこれから修行だし…姉さんだって…やる事あるでしょ…」
「だが…」
その言葉にアスプロスは戸惑う
「わかった…リエル様。リエル様が不在の間、俺がデフテロスの面倒を見ます…修行に行ってる間は見れませんが、その他の時間はずっと居ます…。だから気にせず」
まだ幼い少年とは思えない言葉。
「わかった…。アスプロスこれを」
手の上にのせられたブレスレット
「これは?」
「本当にピンチの時私に知らせるもの…何かあれば私に小宇宙が流れてくる仕様になってる…まだアスプロスは小宇宙通信が上手く出来ないからこれが有用かと思ってな…」
「まだ不慣れなだけです」
「いざとなった時に困ると言ってるだけだ。それを使わずに終わることを願うよ」

そして悪夢の一夜へと繋がる


そう言い終わるとリエルは着替え、琴座の聖衣箱を背負いあげる

「いい子にしてるんだよ」

そう言い残し異空間へと消えた

「いい子って…俺らもう12歳なんだけど」
「仕方がないよ兄さん。俺らはあの人にとったらずっとずっと子どもなんだから」

こんな穏やかで楽しい朝をすごした


しかし、夜…悲劇は忽然と現れる


デフテロスの熱が上がる。

「熱が下がらない…」
アスプロスがデフテロスの額の上に乗せていたタオルを持ち、水で洗いしぼってからまた乗せる。
「リエル様…」
「兄さん大丈夫だから…姉さんには迷惑知らせないで…姉さん心配しちゃうから…」
「だが…」
街に行けば医者はいる
あそこの医者なら人を選びはしないはず…
「デフテロス…立てるか?」
「兄さん?」
「聖域の外に出るぞ」
「え…?」
「聖域の外に出られてら…医者に見てもらえる」
「でも…」
「俺が守る」
「わかった」

そして恐怖の一夜が始まった


……

少しだけ遡る

イタリア

店が軒並み並ぶ繁華街に来ていた
薬を買っていくか…解熱剤があればなんとでもなるか…

街の人間数人に町一番の薬師はどこにいる?と聞いた。
口々に同じ男の名を言うものだからとりあえずその男の店に行き薬を買った

その後、繁華街を離れ、山の方へと向かった

これといって特別なものは無いんだけど…
凶星が光ってたあたりの領域を見渡してみても特になんの変化もない
ただ光っていたのは確か……

ピンッと怪しげな小宇宙が流れてきた

「あぁなるほど…これは…」
リエルは怪しげな小宇宙の方へと歩いていった

「ヒュプノスの…思念体…この翼の一欠片でこの破壊力…だが…相手が悪かったな。ヒュプノス…」

この羽ひとつでそこの街をじわじわと破壊しようと思ったのだろうが…
聖衣を見に纏い琴の弦で羽を拘束する

「もしものための黄金の短剣を持たせて持ってて良かった…ヒュプノスの力もここ以外からは感じない」

短剣を振りかざしそのまま破壊した
パラパラと落ちる羽の残骸

「…ただの白銀聖闘士なら近づく前に死んでただろうな…」

頬のかすり傷を手で拭いながら外に出た


嫌な予感がする…あの子たち…何も無ければいいんだけど


ピンッとリエルのつけていたブレスレットが光る

アスプロス…デフテロス…っ!

アナザーディメイションで急いで聖域へと戻る


戻ってみると候補生並びに教官たちの声が響いていた

❝何としても聖域の外へは出すな!❞
❝崖の下に落ちたぞ!探せ❞
何をしている…何をしている…何を!

「おい…」
「あ?誰だって……リエル……様…何故ここに…」
候補生の教官の怯える顔
それもそのはず殺意の籠った人を何度も殺したことのある女だ
ただの聖衣も纏わぬ聖闘士の教官など軽く殺せる
「何をしている…」
「双子が…聖域を抜け出そうとしたので」
「だからなんだ?」
「だから…凶星の方は特に……うぐっ…」
「あの子たちは私の管轄であり貴様らが簡単に手を出していい子たちでは無い!」
教官の口元を手で覆い力を込めそのまま地面へとねじ伏せた
「リエル様…何を…」
「もういい…貴様らにはつくづく愛想が尽きた…その神託とやらで貴様らの運命でも見てもらったらどうだ?どうせ聖衣もまとえない雑魚が…」
「リエル様…言葉がすぎますぞ」
「言葉が過ぎるか…寝言は寝て言え」
地面が割れ、候補生と教官たちは上空に飛び上がり、そのままたたきつけられた
「他愛もない…」
こんな馬鹿どもを相手にしてないであの子たちを探さなければ

そう思い進もうとした時だった

コツコツと誰かがこちらに歩み寄ってくる

「何の用だ…イリアス!」
「イリアス様だ…!」
「これで…」
「リエル様…あまり興奮なさらずに…別に止めに来た訳ではありません…ここの惨状は、請け負います…なので早くあの子たちの所へ」
「イリアス様!聖域の外に出ては!」
「出すわけがないだろう…貴様らが余計な事をした…それが事実だ。我々はこの事実を知り…監視をすると言っただけだ…それをもみ消そうなど…風を読み違えたな…」

……

アスプロスの小宇宙が消えかけてる
どこにいる…
崖の下の洞穴付近
微かに小宇宙を感じた

「姉……さ…ん」
「デフテロス…?!すごい熱…」
デフテロスを抱き寄せ、額に手を乗せる
静かに小宇宙を送り熱を覚ました
アスプロスは…
目に入ったのはボロボロのアスプロス
なんで なんでこんな目にあってる? 私が任務に行ったから?
ぎゅっと抱きしめていた腕に力がこもる
「姉さん?」
「すまない…私が任務を優先したばかりに…」
「いいんだよ姉さん…それより…兄さんを…」
「そうだね」
デフテロスの手を繋ぎ、アスプロスの前にしゃがむ
頭を少し打ったか…体の傷は前からのものもあり少し分かりずらいが…宿舎に戻るか…

アスプロスを片手で抱き上げるとデフテロスの手を掴んだままアナザーディメイションを行った

デフテロスが目を開けるとそこはもう見なれた家だった


「さて…泥を取ってから寝かせて」
ブツブツというリエルと兄を心配そうに見るデフテロス

思い立ったように台所の水桶から水を組み小さな桶の中へと入れ、タオルを入れる。
「デフテロス?まだ完全には熱が下がってないんだ…無理をするな。」
「でも…姉さん1人でやるのは大変だから…」
「デフテロス……」
タオルを貰いアスプロスの顔を拭く
一通り拭き終わるとそのままベッドへと運んだ

「デフテロス…これを飲んで…」
懐から小瓶を取りだし、またその中から小さな筒を取り出す
「解熱剤だよ。後…もう一個私にはやらなきゃならないことがある。少しだけ家を離れる事を許してくれ。」
「大丈夫…兄さんを守るから…」
「いい子だ。」

今はアテナ不在
聖域の中の結界は無いに等しい
だから教皇の間までならアナザーディメイションでいける


アナザーディメイションで教皇の間までたどり着くとそのまま扉を勢いよく開く

「やぁ…セージ…私は今ものすごく怒っているよ…なんでか分かるかい?」
「リエル様…?」
「こんな夜分に…何用です?」
奥で仕事をしていたのか祭司の男が声をかけてきた
だがリエルにとってはそんなことどうでもよかった

「…セージ…あの子たちを管轄してるのは誰だ?」
「リエル様です」
「そうだ。本当はこんなことがなければただ、面倒な報告をするだけで済んだんだが…そうもいかないことが悲しいよ…」
「…」
「セージ…神託をなぜあのようなまともに考えることも出来ない奴らに教えた…黄金聖闘士だけで十分だ…。」
「その件に関して…私の監督不行届でした。」
「そんなことを聞いてるんじゃない!おかげでアスプロスは崖から落ちて気を失ってたよ。もう1人は…熱が下がらない。」
「…」
「これがどういうことがわかるか!私は聖域に長くいるからわかる…こんなくだらないことをするから破壊衝動に繋がる…このまま続ければ…聖域はあの子達に壊される…」
「ならば…」
と祭司が言うがリエルに睨まれ言葉をそれ以上出せなくなる
「だから私が見ると言ったのに…特に祭司、貴様らのような考え方は古すぎる…いい加減新しく考え方を改めたらどうだ…」
「貴方様こそ…神託を信じたらどうですっ!500年も生きて…」
「黙りなさい…」
壁の柱に拳を振るい亀裂が入る
「神託神託…神託は限りある未来のひとつ…巫女の話聞いたことないの?神託神託言うのならあるのでしょう?又聞きなのかしら?」
相当頭にきているリエルは祭司を罵倒する
腹が立つ
あの子たちの所へ早く帰らなきゃ
「リエル様…この度の件申し訳ございませんでした…」
「セージ…私、謝罪が欲しいわけじゃないの分かってんでしょ」
「はい…ですが謝らせてください…。リエル様の任務はしばらくの間入れません…ご自由にしてください…」
「そうさせて貰うわ…あの子たちを育てなきゃならない…これ、報告書よ」
勢いよく投げた紙包みをセージは手に取った
「次はないと思え」

パタンと扉を閉めて出ていく

「なんて人だ!教皇様、あの人を聖域から出さねば荒れ果てますぞ」
「いや、あの人はあの人の正義で動いている。それにあの人の判断で間違ったことなどなかった」
「しかし……っ!」
「ジャクソン…これ以上のリエル様への侮辱の言葉は許さない…そう思いなさい」
静かにセージはいう
ぐぬっと言葉を発したいが彼は今、聖域に置いて最高権力者
リエルが彼に文句を言えるのは彼より、250年長く生きているからという話なだけである
セージも双子の兄がおり、共に250年、双子神のヒュプノス、タナトスの封印のために生きている…
リエル様に今代の双子座の育成をおまかせしたというのに…これ以上彼女を怒らせれば
聖域の勝敗にすら関わる…
彼女は彼らを信じている
なら我らも彼女を信じることが筋では無いのか
リエル様は500年も聖域を見守ってきた
彼女はイティア様のようにはまだなってない無い…まだ意識を保てている
アテナを信じている



そう……まだアテナを信じていたリエルの話である
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