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黄金聖闘士

ジャミール

「セージに言われてきてみればお前は何をしているんだ。ハクレイ…シオンはどうした?」
「あっちで聖衣と対話しております」
「…危なく見えるけど…」
今にも飲み込まれそうなそんな危うさを彼はその時纏っていた
先日、冥闘士の襲撃があったばっかりだと言うのに…
「放っておくの?」
「構われるよりはいいでしょう…ですが…アリエスの聖衣だけは……」
「執着してることは別に構わないけど…それじゃぁいくらたっても彼は成長しないし…白羊宮を守る聖闘士はいなくなる…私だっていつまで現役か分からないんだから…いつまでもがら空きな白羊宮にいてあげるわけじゃないの…さっさと諦めて、継承しなさい…教皇補佐…アルターのハクレイ」

彼はその後特に答えなかった
分かってはいるんだろうが、答えを出せてない
ほんとに……頑固者って面倒




「シオン」
「リエル様…こんな遠くまで…」
「いいわ。そのままで…」
「リエル様…私は実力がないよでしょうか?テレキネシスもテレポートも人一倍できるのですが…小宇宙だって……」
「…私はね実力はあると思うわ…黄金聖闘士になる資格はある…」
「でしたらなぜ…」
「ハクレイが頑固者過ぎるからね…私もさっき話してきたから…でも時期に答えは出る……シオンは貴方は牡羊座の聖闘士になれる…」
「なぜ、そのように?」
「星は嘘をつかないわ…暇すぎて星見をよくしてるのよ……気の流れを読む簡単なものだけど…貴方の星が牡羊座のところに見えたから…あの頑固者が折れたらすぐなんだけどね」
まだ若いシオンにそう言う
シオンが黄金聖闘士になる未来が見えると同時に、あの双子のどちらも黄金聖闘士になる未来が見える
聖衣はたったひとつだと言うのに……
アスプロスに何かあるかもしれない
まだこの時はこの程度の違和感しか無かった

「リエル様…如何致しましたか?」
「いえ…なんでもない……」
双子神の気配が強くなった…それに__
また別の……神?いや…人でもない…
死者でもない……人ならざる者の気配…が聖域に近づいている……ペガサスの周りに見えるのはなぜだ?
なぜ双子座の周りも……

ペガサスはまだいないし
継承の予定も未だない_
それよりアテナはいつ目覚める?
聖戦も近いというのに……
このままでは内側から崩壊してしまう……
あの時のように………

「今日は失礼するわ……鍛錬する事ね」

そう言い残し異空間の中へと消えていく


それからしばらくして
シオンは無事黄金聖闘士を手に入れた
「…リエル様のおっしゃる通り手に入れることが出来ました!」
「えぇ良かったわ…あとは…あのアテナが我々を導いてくれれば……」
ライラの聖衣を纏っていたリエルがため息混じりに白羊宮より上空…教皇の間の方を見ていた
泣き虫なアテナが…戦女神に本当になれるのか見極めさせて貰うという顔である

「リエル様は前々聖戦からの生き残りで…肝が座っておりますね…」
「バカを言うな…私だってこの聖戦で死ぬかもしれない…たまたま生き残っただけだ…たまたま……神に当たらなかっただけ……」
そうリエルは静かに言う
彼はまだ若い
私と違って………こんなところで死ぬのはダメだ
そう思いはするが…冥闘士の強さも聖戦ごとに強くなってるのは確か……
私のように異空間を作り出せるもの…双子座の聖闘士以外は粉砕する以外に冥闘士を消す方法はない…あいつらは不死身…死なない肉体を持っている
いや…牡羊座の聖闘士なら…
光の彼方へ送ることも可能か……

「リエル様…これかは私も聖域にいられますので…師の代わりに私がリエル様の聖衣をメンテナンスさせていただきます」

「それもそうね…基本的に纏うこともないし…白羊宮に長くいる必要もなくなったし………必要になるまで預かってて?」
「え?」
聖衣箱(クロスボックス)の中に琴座、ライラの聖衣をしまう
しまうと言っても勝手に聖衣は箱の中に収納されるのでやることは特にない
「私、白銀だけど…基本的に任務もないし……今は育成も終わっちゃったし……」
そういい終わると、彼女は奥へと消えていった

双児宮につき

がらんとした双児宮をみる
そういえば……アスプロスは任務だったな……
デフテロスのこと迎えに行かないと……

シオンはデフテロスのこと受け入れてくれるかしら?無口だけどとてもいい子だから。
そして…中国から来る予定の童虎…
彼らは余計なことは知らずに聖域で過ごして欲しいものだ…
でなければ……何度でも繰り返されるから……
凶星とは勝手に人間が作り出した心の悪なのではないのか
勝手に押し付け、それが歪んだだけのものでは無いのか
先程シオンと話したが、彼の才能はハクレイをも上回るだろうな…
今現時点で最年少の黄金聖闘士としてここにいる
私がしっかりしなくては…
若い子を死なせないためにも……
それに今回……ハクレイが秘策があると言っていた
木蓮の実がどうたらとか…
死しかない冥界において、唯一生きている植物が木蓮…
それを魔星の数…108個集めてその中に封じる
しかし、それを作るには第8感に目覚めるのほどの小宇宙を高めなければならない

イリアスはほぼ隠居している
私か…
私を見な天才と言うが、8感に目覚めたのは250年くらい前の話だ。
彼らは二十数年間の間に目覚めてる
そちらの方が天才だよ。
今の時点で出来そうなのは盲目の聖闘士アスミタか、イリアスの弟…シジフォス…

まぁ始まる時まではまだ数年かかりそうだ
私が死ぬ時も近いかもな……


「リエル様…」
後ろから声をかけられ振り向くとシオンがたっていた
「どうした?そのような顔をして…私の聖衣が何か言ってきたか?」
「なぜ…そのように平然と振舞っておられるのかと」
あぁそういえばこの子
聖衣の記憶が読めたわね
聖衣しながらヤってなくてよかったわなんて少し安堵しながらシオンを見た
「平然かどうかは分からないけど500年生きてしまってる…500年って言ってるけど私の体は500日しか経ってないし…失った仲間は帰ってきやしない…目の前で殺されたやつもいた…自ら、アテナの為にと敵の罠にハマる者もいた…私には地上の為にと死んでいく子達が可哀想にしか思えない…私はアテナのために戦うけど、アテナのために命まではかけられないかもしれない。命を投げ出すなんてバカのすることよ」


スっとリエルの目から光が消える

私の聖衣から流れてきた前聖戦の記憶
ヒュプノスとタナトスに唆された前教皇が内側から聖域を壊そうとした大惨事のことか

「私はそのようにはなりません…アテナ様のために戦います」
「…後…シオン…アテナのためには結構だが……自らの命…軽んじるじゃないよ……私はそういうのが一番嫌いだから」
「心得ております…!それに、リエル様は、リエル様の戦い方があります。人間は沢山いるのですから考え方も沢山あって当然です。あと…ここに来るまでに仮面をつけた男の人がボロボロになっていて……」
「髪の長い…褐色の男か?」
「はい…俺の顔を見て誰かをと聞かれました…しかし、私は今日初めて聖域に入りましたので…」
「シオン、場所は?」
「墓地近くです」
「わかったわ…」
「リエル様どこへ?」
「あの子を迎えに行くの…」
「聖闘士ではないと仰っていたのですが」
「えぇ…聖闘士ではないけど、聖域の外には出られないの…12宮からでなければ…こんなことには…でも閉じ込めておくのは可哀想だし…」
「リエル様?」
「シオン…貴方は人を神託だけで計りにかけるような男にならないで…確かに神託でアテナを見つけられた。だけどあの子はとってもいい子なの…凶星じゃない」
「リエル様がそう仰るならそうなのでしょう…私も彼と少しだけ話しましたが、とても優しそうな方でした…」
「そうでしょう?私が育てたんだから当然よ。」
そう言うと階段を下りていく
数刻後、白羊宮に彼を連れて戻ってきた
「姉さん…大丈夫だ…何もあそこまでやらなくても」
「なにかしてきたのですか?」
「ん?監視をちょっとね?」
ちょっとのところが少し怖くて聞けなかったが、彼の表情を見る限り何となく察する
「シオン、そこの戸棚の中に包帯とか入ってるから持ってきて…あいつら私の管轄って言葉理解できない阿呆でね……」
手に巻いていた包帯を取るようにいい濡れタオルで拭いてから新しい包帯を巻いていく
「姉さん…そんな事しなくても…アスプロスが帰ってくればもっととやかく言われるわよ?双児宮に戻ったらヒーリングをしてあげるからいい子にして。」
リエルの言葉には弱いデフテロスは黙り込む
「それにしても…デフテロスは強く育ててるはずなのに…貴方反撃しないから…だからつけ上がるのよ?やり返されるってことを身体に教えてやらなきゃ」
お前はいつも最強の聖闘士様に守られる姫だなと馬鹿にされ頭にきて殴ろうかと思ったが、姉さんの顔が思い浮かび辞めた
この傷も気が済むまでやらせれば終わるとわかっていたから…
「よし…まぁいい感じね。シオン、暫くしたらこの子そっくりな男が来るけどまぁ気にせず通して…余計なことは言わずに…後、双子座の聖衣の修復も…」
「分かりました…!えっと…」
「デフテロスよ」
「デフテロス…また後で」
「……あぁ…。」
少しだけ心が軽くなった気がした
シオンはこの子を受け入れてくれる
聖域を変えてくれる小さな芽よ

END
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