妊娠
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4週間が経過した
12週を過ぎると流産のリスクは低くなるものの、それでも12週を過ぎての後期流産のリスクもないとは言い難い
それに…切迫早産…。
一応知識はあるし、それでご飯を食べてるけど、だとしても不安はある。
一応、初妊婦
彼もいる。でも、不安。
無事検査を終える。
彼も後ほど、カルテを見たのか
安堵をしていた
お腹の周りも少しだけ膨らみ愛おしさと不安が私を襲う
後、半年…頑張らないと……。
今回の検査で性別がわかり、男の子ではないかという話となった
名前どうしよう
それに必要なものは?
勉強もしたし、やることは分かるはずなのに
いざ自分がとなると分からなくなってしまう
「汐音さん。帰りましょうか」
「そうですね」
最近はさらに拍車をかけるように過保護が板に付いてきた
仕事以外は基本一緒なため、どちらかが早く終われば待ってるようになってる。
まだ多少の残業はしているため何度か待たせることはありなかなか申し訳ない気持ちになる。
段差では手を添えて歩いてくれる紳士
私なんでこの人捕まえられたんだっけ?
捕まった間違いでは?と自問自答しながら車へと乗り込んだ
「栄養あるものを作りますので楽しみにしていてくださいね」
家事もほとんど彼がやるようになってきた
私が家事をやるのは休みか彼が夜勤の時くらい。料理くらいはしたいのだが彼が私がやりますといいやらせて貰えない
夫としては100点なのだろうが私は逆に不安なのでもう少しやらせて欲しい気持ちはある
そんなある日の事だった
朝
12週に入ったあたりから吐き気と眠気、だるさなど色んな症状が身体を襲う
つわりだ
だけどつわりって8-9週辺りが酷くて
今頃は収まるのでは?っと思っていたがそんなことをそれ以上考える余裕などなくトイレで吐いていた
「汐音さん、大丈夫ですか?」
「すみません…見苦しい所を」
「気にしないでください…。最近、体調が悪そうでしたので心配していたんですが…つわりですね…。さすがに今日は休みましょう…私から連絡しておりますので…。私も仕事を休めたらいいんですけど」
「寂雷さんは…行ってください」
「ですが…」
彼がいないと仕事が回らない
そんなのは分かってはいるが、
寂しい気持ちなど彼の前では出しては行けない
独り占めしていいものか不安だから
「一郎くんに連絡しておきます。」
背中を摩ってくれながら彼は萬屋ヤマダに電話をかけた。
「あ、一郎くん。朝早くに悪いね。」
『どうしたんですか?寂雷さん。』
「急で申し訳ないんだけど、妻がつわりで動けないんだ。だけど私も仕事に行かなくては行けなくてね。」
『家事代行ッスね!了解しました。今日、三郎が休みなんで…買い物とか必要なもの言ってください。俺、これから別の仕事が入ってるんですぐ行けないですけど、三郎がいけるんで…えっと…今からだから…8時までには着けるかと…』
「わかった。三郎くんだね。後、もし可能ならバナナを買ってきて貰えたら助かるよ。つわりの時は簡単に食べれて水分も取れるフルーツが助かるから…。あとそれから…何かあれば私に連絡をしてくれないかな。それでは。」
プツッと電話を切り洗面器の隣に落ちてあったタオルで口を拭いてくれた
「少し落ち着きましたか?」
「はい。」
「口、濯ぎましょう」
うがいと鼻をかむが、未だに気持ち悪い気持ちは晴れない。
「熱もあるね…」
肩に手を添え、腋窩に体温計をさす
「38.2度…高いね。氷枕作っていくね。」
「すみません…」
「匂いが強いものは私も食べないようにしますね…納豆はしばらくお預けですね。三郎くんには、このことを伝えておきます。」
必要なものを準備し、私の世話をした後
名残惜しそうに玄関の方へと向かった
「いいんですよ。私の見送りなんて」
「でも…」
「困った人ですね。ちょっと辛抱です…。あと1時間もしたら三郎くんが来るのでそれまで寂しいと思いますがほんの少しだけ辛抱しててくださいね。」
「はい。」
彼がいなくなるのを確認するとただただ寂しい思いが波打つ
ペタペタと廊下を歩きながらソファーに横たわる
なんだか食べる気力がなく彼がわざと作らずに出てくれた。
冷蔵庫の中にはプリンとヨーグルトが入ってるし、茹でなくてもいい麺も野菜室に放置してあるから水で洗えば…
頭が回らないまま寝込む
意識が朦朧としていた中インターホンがなる
彼が動けなくてもわかるようにとワイヤレス式のモニター付きのリモコンを置いてくれたため、三郎くんと無事離すことが出来た。
別のリモコンで扉を解錠し、彼が中に入ってくる
「おはようございます。汐音さん。つわり大丈夫ですか?」
「ごめんね。今は、大丈夫かな?」
「寂雷さんに読んでおいた方がいいと言われた本は電子書籍で読んできました。」
「へ〜?」
「寂雷さんが監修した妊婦向けの本と先程送られてきたつわりの時の処置については読んできました」
この子、優秀すぎない?
ずっと年下の子の成長スピードの速さに少し恐怖心を抱きながら買ってきてくれたものを確認した
「バナナと、後、飴やグミといいと書いていたので、寂雷さんから好きな味を聞いて買ってきました。」
「ごめんね…ありがとう」
「汐音さん。寝室に行きましょう…眠いでしょう?」
「でも」
「僕のことは気にしないでください。もしも、僕が料理をしてにおいて吐いてしまったら申し訳ありませんし、でもそんなことはしないつもりですが、どんなことが起こるかわからないのが妊娠期間中だって書いてたので」
高校生男子に私は何を教えられてるんだろう
看護師の私
しっかりしろ。
介助されるように手を引かれ、ベッドに座る。
「何かあったら、この呼び出しベルを鳴らしてください。」
「ありがとう。」
「食事したくなったらいつでも言ってください。すぐ持ってきますから」
「うん…居間は自由に使っていいからね…」
「分かりました。後、寂雷さんより洗濯物と掃除の依頼があったんですがやっても構いませんか?」
「構わないよ。洗濯機の中に洗濯物詰めて欲しいのと、乾燥機付きだから終わったら…」
「乾燥機のボタンを押せばいいんですね。畳みますか?女性の下着もあると思うのでさすがに寂雷さん以外が触れるのは抵抗あると思うんですが」
「そうよね…高校生の男子に三十路前の女の下着はきついわよね…。そのままでいいわ」
そういうことじゃないんだけどなと思いながら、必要なところの掃除場所を教えてもらい掃除がてら居間に戻る
先程の寝室もだったがすごく大きかった
家全体が大きい…彼の持ち家らしいけど…
あの年齢で持ち家か…すごいな。
さてと、掃除していくか。
台所にたち掃除しようと台所のシンクの前に立つ
朝、使ったであろうザルとボオル、箸と器がある
メールで送られてきた
水で洗えばすぐ食べられる麺を食べたんだろう
とりあえず洗うか
ガチャガチャと泡をつけ水で洗う
音もできるだけ静かに
妊婦さんは敏感だというし とできるだけ静かに
家事を行っていく
乾燥機の中に皿を入れ、手を拭く
次は洗濯物を洗濯機の中に入れて…
いつもやっていることなため、特に苦になることも無く淡々とこなす。
今の掃除も軽く終え、特にやることはなくなる
タブレットを取りだし
つわりの妊婦に対してどう接すればいいのかを電子書籍を読みながらソファに腰を下ろす
妊婦って大変なんだな…
女性しか分からない感覚
僕には一生わかることの無い感覚
でも…分からないから手伝わないとか言うようなくそ低脳達と同じくされたくないし、一兄の為だし、こういう経験をしておけば将来役に立つと思うし…。
まぁ…二郎には、こういう繊細なこと無理そうだな
怒らせそうだし…。
家事はできても心配しすぎて空回りするタイプ
それで怒られる
だから一兄は、僕に任せた。
ネットでもできる依頼は今のうちに対応し、全くならない呼び出しベルを見つめた。
寂雷さんからのメールには
お昼になって、彼女が食べたいと言わなくても、三郎くんは気にせず食べて構わないよ。
と添えられていた
でも、一応確認しないと…容態が悪くなってなきゃいいけど
そう思っているとピーピーっと奥の方から音がする
洗濯機の音だ。
乾燥機回さないとなと立ち上がり、乾燥機のボタンを押して部屋に戻った。
12時を回った頃三郎は、部屋をノックし、中を確認した
「三郎くん?」
「汐音さん。具合いどうですか?」
「だいぶマシかな。」
「ご飯食べれそうですか?」
「少しだけなら…」
「冷たいものがいいと言われているので麺にするか、それとも買ってきたバナナにします?ヨーグルトもありますし。」
「バナナと…ヨーグルトかな」
「分かりました。居間に行きますか?ここにしますか?」
彼も寂雷さんと同じく確認事項がとても多い
心配してくれている証拠
「居間に行こうかな…少し動かないと…。」
「分かりました…でも無理だけはしないでくださいね」
「えぇ」
手を添えられ、居間のソファの所まで連れてきて貰えた
「作ってきますので待っててください」
自分の家にいるのに、家政婦を雇ったような感覚
料理ができる男子高校生って強いな
と眠い気持ちを抑えながらTVをつけた
必要以上に音を立てないように気をつけてくれる男子高校生に今どきの子ってここまでするのねっとジェネレーションギャップ的な思いを馳せながら、彼を待つ
「汐音さん。簡単に混ぜこみました。無理しないでくださいね。後、冷たいスープ作っておくので、寂雷さんが帰ってきたら食べてください。」
冷蔵庫を漁っていいと言われたため、
大量のもやしを発見した
後、ベーコン
トマトもあるし…特に好き嫌いはないって聞いてるから、大丈夫だとは思うけど
そんな匂いはきつくないとは思うけど。
スープを作りながら食材を柔らかくするために煮込む。
その間、火を弱火にしながら、彼女が食べ終わったか確認しに行った
「大丈夫ですか?」
「えぇ。ありがとう。」
「まだ、食べたいとか…」
「大丈夫…。分かりました。これ、片付けますね。」
「よろしくお願いします…。」
「部屋に戻ります?」
「えぇそうする。でも、三郎くんは、火も見なきゃならないから私のことは気にしなくていいわ。」
そういうと立ち上がり、部屋へと戻っていく
気、使われてるな
姿が見えなくなるまで見ていた
鍋の様子を見に台所に戻り中身を確認する
あとちょっとだな…。
一応、連絡しておくか。
〖寂雷さんさん、お疲れ様です。奥さんの汐音さんですが、先程、ヨーグルト200g とバナナ半分を食べました。朝よりは体調がいいと本人は言っています。また、夕食用に冷たいスープを作っておくので2人で食べてください。〗
送信っと
さて、いい感じになってきたな
あとは…軽く味をつけて…
よし完成。
僕も軽くなんか貰うか…。汐音さんのために大量の水で洗えば食べられるうどんがストックされており、1つ拝借した。
野菜室の半分これだけど、あの先生…期限見てるのか?残りの1週間でこの量って…
冷たいうどんを立ち食いしながら食べ終わり、
そのまま食器を洗う。
さて次は何をしたら…
普通に綺麗な家だとやることがないな
汐音さんも寝てしまってるし
ピコッと音が鳴る
寂雷さんからの返信が帰ってきた
『ありがとうございます。ゆっくり休んでください。もし、汐音さんが動きたいと言ってきて、散歩する気力がありそうでしたら気分転換に散歩にでも連れ出してくれませんか?外の空気も吸って欲しいですし、汐音の様子を見ながらお願いします。』
15:00
彼女が部屋から出てきた
「どうかしましたか?」
「何となく…」
「そうでしたか…具合が悪くなってしまったかと思いました」
「三郎くんは優しいのね。いい旦那さんになるよ。」
「寂雷さんに比べたらまだまだですよ。寂雷さんから先程連絡があって、気分転換に動ける気力があるのであればって言われたんですけど…体調はどうですか?」
パルスオキシメーターを三郎に見せながら
「バイタル 脈 85 SpO2 98 安定しているわ。なんだか今は動きたいし…なんだか振り回してばかりでごめんね」
「いいんですよ。今日は汐音さん専属なので!なんでも言ってください。後、僕もついて行きますね!」
そういうと玄関へと二人で向かった
家の周辺を20分ほど歩いた。
歩道側を三郎は歩きながら彼女の様子を気にしていた
「ごめんねありがとう。」
「いいんですよ。」
家に戻り、ソファに座る汐音
そして床に座る三郎
「三郎くんも座っていいのよ」
「気にしないでください。」
「そう?後、三郎くんの家男三人兄弟でしょ?一二三さんの料理のレシピあるから写真撮ってみんなで食べて。彼のレシピいつも美味しいの。」
居間のテーブルの下にファイルが5冊は入っており、約、2年分の渡されたレシピだという
「汐音さん、ありがとうございます。体調の方は?」
「少しだけ身体は重いけど、吐き気は引いてる。」
「そうですか。それは良かったです」
17:45
「ただいま。」
「おかえりなさい」
急いで帰ってきたのか息が荒く、妻の表示を見て安堵していた
「今日はいつもより早いですね」
「えぇできる限り残業は避けて来ました。三郎くんありがとうございます。汐音さん。師長さんと今日話してきて、八階の慢性期病棟の方に一時移動という形にしようかという話になってて…つわりが落ち着くまでの間、慢性期病院の方で落ち着いてやった方がいいかもしれないと師長さんも言ってます。さすがに今の五階の忙しさを考えたら早退と、倒れる未来しか見えないので私がドクターストップをかけて最悪、入院になりますし、汐音は仕事したいかと思いまして…。」
彼の優しさ、看護師間では妊娠すると嫌な顔をされるのはよくみる
私の時もそう
報告したら、夜勤に入ってもらてない
という顔をされた。
絶賛つわり中だが、つわりが終わるまで誰がその穴埋めをするのかという顔。
他のセンパイママさん看護師たちが5年働いてきて何度も見てきた
その際も、今の師長は気にせず、八階や、九階の慢性期病院に看護師を送り出し、代わりの看護師を確保していた。
子供ができることはおめでたいことなのに何故そこまで嫌な顔をするのか
私だって好きでつわりになってる訳でも体調不良になってる訳でもない
私も生活がある
無理などして働いたらさらに迷惑がかかるから定時で帰るだけ。
だから日勤帯にできるだけ早く仕事を終わらせられるように仕事をしている。
「分かりました…。」
「八階の師長さんは優しい人なので安心してください。看護師さんたちもおっとりしてる人達が多くいますし、ママさんナースも多くいたので大丈夫ですよ。」
「はい。」
「お話中すみません。寂雷さん…」
「ごめんなさい。三郎くん」
「いえ、構いません。寂雷さんが戻ってきたので僕はこのままお暇させて頂きます。また必要な時はいつでも呼んでください。」
「はい。後で口座に振り込んでおくのでっと一郎くんに伝えおいてくれるかな」
「はい。分かりました」
そう言うと彼は止めておいたバイクに乗り込み、走り去っていく
「さて、三郎くんの作ったスープでも食べましょうかね」
12週を過ぎると流産のリスクは低くなるものの、それでも12週を過ぎての後期流産のリスクもないとは言い難い
それに…切迫早産…。
一応知識はあるし、それでご飯を食べてるけど、だとしても不安はある。
一応、初妊婦
彼もいる。でも、不安。
無事検査を終える。
彼も後ほど、カルテを見たのか
安堵をしていた
お腹の周りも少しだけ膨らみ愛おしさと不安が私を襲う
後、半年…頑張らないと……。
今回の検査で性別がわかり、男の子ではないかという話となった
名前どうしよう
それに必要なものは?
勉強もしたし、やることは分かるはずなのに
いざ自分がとなると分からなくなってしまう
「汐音さん。帰りましょうか」
「そうですね」
最近はさらに拍車をかけるように過保護が板に付いてきた
仕事以外は基本一緒なため、どちらかが早く終われば待ってるようになってる。
まだ多少の残業はしているため何度か待たせることはありなかなか申し訳ない気持ちになる。
段差では手を添えて歩いてくれる紳士
私なんでこの人捕まえられたんだっけ?
捕まった間違いでは?と自問自答しながら車へと乗り込んだ
「栄養あるものを作りますので楽しみにしていてくださいね」
家事もほとんど彼がやるようになってきた
私が家事をやるのは休みか彼が夜勤の時くらい。料理くらいはしたいのだが彼が私がやりますといいやらせて貰えない
夫としては100点なのだろうが私は逆に不安なのでもう少しやらせて欲しい気持ちはある
そんなある日の事だった
朝
12週に入ったあたりから吐き気と眠気、だるさなど色んな症状が身体を襲う
つわりだ
だけどつわりって8-9週辺りが酷くて
今頃は収まるのでは?っと思っていたがそんなことをそれ以上考える余裕などなくトイレで吐いていた
「汐音さん、大丈夫ですか?」
「すみません…見苦しい所を」
「気にしないでください…。最近、体調が悪そうでしたので心配していたんですが…つわりですね…。さすがに今日は休みましょう…私から連絡しておりますので…。私も仕事を休めたらいいんですけど」
「寂雷さんは…行ってください」
「ですが…」
彼がいないと仕事が回らない
そんなのは分かってはいるが、
寂しい気持ちなど彼の前では出しては行けない
独り占めしていいものか不安だから
「一郎くんに連絡しておきます。」
背中を摩ってくれながら彼は萬屋ヤマダに電話をかけた。
「あ、一郎くん。朝早くに悪いね。」
『どうしたんですか?寂雷さん。』
「急で申し訳ないんだけど、妻がつわりで動けないんだ。だけど私も仕事に行かなくては行けなくてね。」
『家事代行ッスね!了解しました。今日、三郎が休みなんで…買い物とか必要なもの言ってください。俺、これから別の仕事が入ってるんですぐ行けないですけど、三郎がいけるんで…えっと…今からだから…8時までには着けるかと…』
「わかった。三郎くんだね。後、もし可能ならバナナを買ってきて貰えたら助かるよ。つわりの時は簡単に食べれて水分も取れるフルーツが助かるから…。あとそれから…何かあれば私に連絡をしてくれないかな。それでは。」
プツッと電話を切り洗面器の隣に落ちてあったタオルで口を拭いてくれた
「少し落ち着きましたか?」
「はい。」
「口、濯ぎましょう」
うがいと鼻をかむが、未だに気持ち悪い気持ちは晴れない。
「熱もあるね…」
肩に手を添え、腋窩に体温計をさす
「38.2度…高いね。氷枕作っていくね。」
「すみません…」
「匂いが強いものは私も食べないようにしますね…納豆はしばらくお預けですね。三郎くんには、このことを伝えておきます。」
必要なものを準備し、私の世話をした後
名残惜しそうに玄関の方へと向かった
「いいんですよ。私の見送りなんて」
「でも…」
「困った人ですね。ちょっと辛抱です…。あと1時間もしたら三郎くんが来るのでそれまで寂しいと思いますがほんの少しだけ辛抱しててくださいね。」
「はい。」
彼がいなくなるのを確認するとただただ寂しい思いが波打つ
ペタペタと廊下を歩きながらソファーに横たわる
なんだか食べる気力がなく彼がわざと作らずに出てくれた。
冷蔵庫の中にはプリンとヨーグルトが入ってるし、茹でなくてもいい麺も野菜室に放置してあるから水で洗えば…
頭が回らないまま寝込む
意識が朦朧としていた中インターホンがなる
彼が動けなくてもわかるようにとワイヤレス式のモニター付きのリモコンを置いてくれたため、三郎くんと無事離すことが出来た。
別のリモコンで扉を解錠し、彼が中に入ってくる
「おはようございます。汐音さん。つわり大丈夫ですか?」
「ごめんね。今は、大丈夫かな?」
「寂雷さんに読んでおいた方がいいと言われた本は電子書籍で読んできました。」
「へ〜?」
「寂雷さんが監修した妊婦向けの本と先程送られてきたつわりの時の処置については読んできました」
この子、優秀すぎない?
ずっと年下の子の成長スピードの速さに少し恐怖心を抱きながら買ってきてくれたものを確認した
「バナナと、後、飴やグミといいと書いていたので、寂雷さんから好きな味を聞いて買ってきました。」
「ごめんね…ありがとう」
「汐音さん。寝室に行きましょう…眠いでしょう?」
「でも」
「僕のことは気にしないでください。もしも、僕が料理をしてにおいて吐いてしまったら申し訳ありませんし、でもそんなことはしないつもりですが、どんなことが起こるかわからないのが妊娠期間中だって書いてたので」
高校生男子に私は何を教えられてるんだろう
看護師の私
しっかりしろ。
介助されるように手を引かれ、ベッドに座る。
「何かあったら、この呼び出しベルを鳴らしてください。」
「ありがとう。」
「食事したくなったらいつでも言ってください。すぐ持ってきますから」
「うん…居間は自由に使っていいからね…」
「分かりました。後、寂雷さんより洗濯物と掃除の依頼があったんですがやっても構いませんか?」
「構わないよ。洗濯機の中に洗濯物詰めて欲しいのと、乾燥機付きだから終わったら…」
「乾燥機のボタンを押せばいいんですね。畳みますか?女性の下着もあると思うのでさすがに寂雷さん以外が触れるのは抵抗あると思うんですが」
「そうよね…高校生の男子に三十路前の女の下着はきついわよね…。そのままでいいわ」
そういうことじゃないんだけどなと思いながら、必要なところの掃除場所を教えてもらい掃除がてら居間に戻る
先程の寝室もだったがすごく大きかった
家全体が大きい…彼の持ち家らしいけど…
あの年齢で持ち家か…すごいな。
さてと、掃除していくか。
台所にたち掃除しようと台所のシンクの前に立つ
朝、使ったであろうザルとボオル、箸と器がある
メールで送られてきた
水で洗えばすぐ食べられる麺を食べたんだろう
とりあえず洗うか
ガチャガチャと泡をつけ水で洗う
音もできるだけ静かに
妊婦さんは敏感だというし とできるだけ静かに
家事を行っていく
乾燥機の中に皿を入れ、手を拭く
次は洗濯物を洗濯機の中に入れて…
いつもやっていることなため、特に苦になることも無く淡々とこなす。
今の掃除も軽く終え、特にやることはなくなる
タブレットを取りだし
つわりの妊婦に対してどう接すればいいのかを電子書籍を読みながらソファに腰を下ろす
妊婦って大変なんだな…
女性しか分からない感覚
僕には一生わかることの無い感覚
でも…分からないから手伝わないとか言うようなくそ低脳達と同じくされたくないし、一兄の為だし、こういう経験をしておけば将来役に立つと思うし…。
まぁ…二郎には、こういう繊細なこと無理そうだな
怒らせそうだし…。
家事はできても心配しすぎて空回りするタイプ
それで怒られる
だから一兄は、僕に任せた。
ネットでもできる依頼は今のうちに対応し、全くならない呼び出しベルを見つめた。
寂雷さんからのメールには
お昼になって、彼女が食べたいと言わなくても、三郎くんは気にせず食べて構わないよ。
と添えられていた
でも、一応確認しないと…容態が悪くなってなきゃいいけど
そう思っているとピーピーっと奥の方から音がする
洗濯機の音だ。
乾燥機回さないとなと立ち上がり、乾燥機のボタンを押して部屋に戻った。
12時を回った頃三郎は、部屋をノックし、中を確認した
「三郎くん?」
「汐音さん。具合いどうですか?」
「だいぶマシかな。」
「ご飯食べれそうですか?」
「少しだけなら…」
「冷たいものがいいと言われているので麺にするか、それとも買ってきたバナナにします?ヨーグルトもありますし。」
「バナナと…ヨーグルトかな」
「分かりました。居間に行きますか?ここにしますか?」
彼も寂雷さんと同じく確認事項がとても多い
心配してくれている証拠
「居間に行こうかな…少し動かないと…。」
「分かりました…でも無理だけはしないでくださいね」
「えぇ」
手を添えられ、居間のソファの所まで連れてきて貰えた
「作ってきますので待っててください」
自分の家にいるのに、家政婦を雇ったような感覚
料理ができる男子高校生って強いな
と眠い気持ちを抑えながらTVをつけた
必要以上に音を立てないように気をつけてくれる男子高校生に今どきの子ってここまでするのねっとジェネレーションギャップ的な思いを馳せながら、彼を待つ
「汐音さん。簡単に混ぜこみました。無理しないでくださいね。後、冷たいスープ作っておくので、寂雷さんが帰ってきたら食べてください。」
冷蔵庫を漁っていいと言われたため、
大量のもやしを発見した
後、ベーコン
トマトもあるし…特に好き嫌いはないって聞いてるから、大丈夫だとは思うけど
そんな匂いはきつくないとは思うけど。
スープを作りながら食材を柔らかくするために煮込む。
その間、火を弱火にしながら、彼女が食べ終わったか確認しに行った
「大丈夫ですか?」
「えぇ。ありがとう。」
「まだ、食べたいとか…」
「大丈夫…。分かりました。これ、片付けますね。」
「よろしくお願いします…。」
「部屋に戻ります?」
「えぇそうする。でも、三郎くんは、火も見なきゃならないから私のことは気にしなくていいわ。」
そういうと立ち上がり、部屋へと戻っていく
気、使われてるな
姿が見えなくなるまで見ていた
鍋の様子を見に台所に戻り中身を確認する
あとちょっとだな…。
一応、連絡しておくか。
〖寂雷さんさん、お疲れ様です。奥さんの汐音さんですが、先程、ヨーグルト200g とバナナ半分を食べました。朝よりは体調がいいと本人は言っています。また、夕食用に冷たいスープを作っておくので2人で食べてください。〗
送信っと
さて、いい感じになってきたな
あとは…軽く味をつけて…
よし完成。
僕も軽くなんか貰うか…。汐音さんのために大量の水で洗えば食べられるうどんがストックされており、1つ拝借した。
野菜室の半分これだけど、あの先生…期限見てるのか?残りの1週間でこの量って…
冷たいうどんを立ち食いしながら食べ終わり、
そのまま食器を洗う。
さて次は何をしたら…
普通に綺麗な家だとやることがないな
汐音さんも寝てしまってるし
ピコッと音が鳴る
寂雷さんからの返信が帰ってきた
『ありがとうございます。ゆっくり休んでください。もし、汐音さんが動きたいと言ってきて、散歩する気力がありそうでしたら気分転換に散歩にでも連れ出してくれませんか?外の空気も吸って欲しいですし、汐音の様子を見ながらお願いします。』
15:00
彼女が部屋から出てきた
「どうかしましたか?」
「何となく…」
「そうでしたか…具合が悪くなってしまったかと思いました」
「三郎くんは優しいのね。いい旦那さんになるよ。」
「寂雷さんに比べたらまだまだですよ。寂雷さんから先程連絡があって、気分転換に動ける気力があるのであればって言われたんですけど…体調はどうですか?」
パルスオキシメーターを三郎に見せながら
「バイタル 脈 85 SpO2 98 安定しているわ。なんだか今は動きたいし…なんだか振り回してばかりでごめんね」
「いいんですよ。今日は汐音さん専属なので!なんでも言ってください。後、僕もついて行きますね!」
そういうと玄関へと二人で向かった
家の周辺を20分ほど歩いた。
歩道側を三郎は歩きながら彼女の様子を気にしていた
「ごめんねありがとう。」
「いいんですよ。」
家に戻り、ソファに座る汐音
そして床に座る三郎
「三郎くんも座っていいのよ」
「気にしないでください。」
「そう?後、三郎くんの家男三人兄弟でしょ?一二三さんの料理のレシピあるから写真撮ってみんなで食べて。彼のレシピいつも美味しいの。」
居間のテーブルの下にファイルが5冊は入っており、約、2年分の渡されたレシピだという
「汐音さん、ありがとうございます。体調の方は?」
「少しだけ身体は重いけど、吐き気は引いてる。」
「そうですか。それは良かったです」
17:45
「ただいま。」
「おかえりなさい」
急いで帰ってきたのか息が荒く、妻の表示を見て安堵していた
「今日はいつもより早いですね」
「えぇできる限り残業は避けて来ました。三郎くんありがとうございます。汐音さん。師長さんと今日話してきて、八階の慢性期病棟の方に一時移動という形にしようかという話になってて…つわりが落ち着くまでの間、慢性期病院の方で落ち着いてやった方がいいかもしれないと師長さんも言ってます。さすがに今の五階の忙しさを考えたら早退と、倒れる未来しか見えないので私がドクターストップをかけて最悪、入院になりますし、汐音は仕事したいかと思いまして…。」
彼の優しさ、看護師間では妊娠すると嫌な顔をされるのはよくみる
私の時もそう
報告したら、夜勤に入ってもらてない
という顔をされた。
絶賛つわり中だが、つわりが終わるまで誰がその穴埋めをするのかという顔。
他のセンパイママさん看護師たちが5年働いてきて何度も見てきた
その際も、今の師長は気にせず、八階や、九階の慢性期病院に看護師を送り出し、代わりの看護師を確保していた。
子供ができることはおめでたいことなのに何故そこまで嫌な顔をするのか
私だって好きでつわりになってる訳でも体調不良になってる訳でもない
私も生活がある
無理などして働いたらさらに迷惑がかかるから定時で帰るだけ。
だから日勤帯にできるだけ早く仕事を終わらせられるように仕事をしている。
「分かりました…。」
「八階の師長さんは優しい人なので安心してください。看護師さんたちもおっとりしてる人達が多くいますし、ママさんナースも多くいたので大丈夫ですよ。」
「はい。」
「お話中すみません。寂雷さん…」
「ごめんなさい。三郎くん」
「いえ、構いません。寂雷さんが戻ってきたので僕はこのままお暇させて頂きます。また必要な時はいつでも呼んでください。」
「はい。後で口座に振り込んでおくのでっと一郎くんに伝えおいてくれるかな」
「はい。分かりました」
そう言うと彼は止めておいたバイクに乗り込み、走り去っていく
「さて、三郎くんの作ったスープでも食べましょうかね」
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