仕事は何とか終わった
だけど残業はした。
それはそう…今日は急患が多かった
おかげで19時を過ぎてるし、傘もってくるの忘れちゃった…
どうしよう
呼ぶなんておこがましいし
コンビニ寄るのも面倒だし…
この程度なら大丈夫

そう思っていた

だが、彼の家までのコンビニを過ぎてから少し雨が強くなった。

急がないととは思ったが足取りは近づくにつれて重くなる

私は彼のお荷物なのかもしれない
なんで彼は惚れたの？
彼の気持ちが嘘ついてるなんて思ったことは無いけど、でも不安になる
彼の中での私の評価は高いが、私の中では、彼のお荷物にしかならない。
彼に迷惑をかけた
彼を怒らせた私が悪い
いつも甘えて、なんでも買ってくれる、送り迎えもしてくれる、家事もできるそんな彼に甘えすぎた…。
出ていこう…その話をしよう

じゃないと

彼がダメになってしまう



…

遅い
夕飯の支度をしながら時計を見る

雨が強くなるのを感じ、携帯を手にてる
今、電話をしてでるという保証はないし、気づいても出ないだろう…

GPSなんてものは入れてないし

一郎くんのところに追跡の依頼をしてみるか…弟くんがいればだけど……。

早急に一郎に電話をかけ、三郎がいることを確認した
彼女の電話番号から、家に向かっていることはわかった。

「ありがとう。一郎くん。後でお礼を持っていくよ。」

そう言い電話を切った
傘を持ってでてないだろうからお風呂を温めるのと…それから…タオル…。
忙しそうに準備をする神宮寺寂雷
喧嘩していたことなど忘れている
彼にとったらモテるなど大したことがないが彼女を悲しませたという点が今回大きく引っかかっている
今、自分の腕から滑り落ちそうな感覚を体感している
離したくない

ずっとそばにいて欲しい

そうは思っても彼女の気持ちは肯定したい

彼女の気持ちを聞きたい



ガチャっと扉が開く音がした


玄関に向かうとびしょ濡れになって帰って汐音がいた。
「汐音さん…電話してくれたら…」
「そんな先生に甘えるなんて出来ない」
「汐音さん？」
「私は先生を怒らせた…私みたいなのは先生に合わないんです…。私…近いうちに出ていくので…」
「出ていくなんて…なんで…」
「先生に釣り合わないんですよ…」
「だったら私もあなたに釣り合わない男ですね。」
「え…？」
「だってそうでしょう？」
「違います…私が…全部悪いんです…。」
汐音の声が震え始める
そして大粒の涙を流し始めた

「今日、病院で噂がありました」


彼女の口から出てきた噂の数々
どう足が付けば一日でそんな話になるのか。

彼女が思いつめるのも…別れたいと思うのも無理はない
だけどだからといって別れるつもりなどない

「汐音さん…お風呂入りませんか？」

そう汐音に声をかけた。