些細なことで喧嘩した
本当に些細なこと
おかげでまともに会話すらしてない
いつもは折れてくれる彼も今回ばかりは折れてくれなかった。
甘え過ぎてた私が悪いのはわかるが、彼がモテすぎて、私じゃ不釣り合いなのをわかって欲しい。
でも別れるのは考えたくない。





喧嘩した2日目の朝
お互い口も聞かず、私は先に家を出た。
朝食も2日間彼と食べてない
少しだけ寂しそうにこちらを見ている気がしたが気にせず出ることにした





「汐音さん…」
閉じた玄関のドアをコーヒーカップを持ちながら見る神宮寺寂雷



今回、彼女は仕事でかなり疲れてたみたいだったし、それにラップバトルで麻天狼が優勝し知名度がさらに上がった。
一二三くんの人気もあるが、私の人気も上がったみたいで、彼女的には人気なのは構わないらしいが、私へ思いを寄せる人が増えたこと、彼女がいるという私に対しての汐音さんへの妬み嫉み。



そして2日前
口を開いたと思えば



「私は貴方に釣り合わない」
こんなことを口にしていた



私が口説いて私が好きになった女性がなぜ私のせいで不幸の道を歩こうとしているのか
分からなくなった。
そんなことは無いと言ってみたがそんな言葉彼女に届く訳もなく
「先生はモテるし、優しいし、頭がいいから…私みたいな凡人とは釣り合わないんですよ」
「汐音さん？そんなことないですよ」



そう言ったが聞き入れては貰えなかった



そして口論となり今に至る



お互い、お互いを思う気持ちが強かったのかもしれない
汐音さん…話し合いもせずに変な行動を取らなければいいが…

30分後
車に乗り込み、病院へと向かった。





「神宮寺先生…お元気ありませんね。どうしたんですか？」
「少々彼女と喧嘩中なんです…2日目まで持ち越してしまって…。」
朝の出勤時、荷物をロッカーに閉まっていると着替えている医者に声をかけられた
「彼女…？神宮寺先生と喧嘩なんてただ事じゃないですね！彼女、浮気でも？」
「まさか。するわけないですよ。」
「じゃぁなんで」
「すみません。これ以上は、プライベートなので。」
そう言い、ロッカー室から出ていく



「神宮寺先生に釣り合う女なんてやっぱりそうそういねぇよな……」





…



8:30の申し送りの後
今日の受け持ち患者を一人一人回っていく



その後、ナースステーションに戻り
カルテを書く。



「咲良さん、元気ないね。」
「岬さん。彼氏と喧嘩中で」
「喧嘩？大変ね…喧嘩といえばさ…神宮寺先生も今、彼女と喧嘩中なんだって…」
彼の名前が出たことにより汐音の中に緊張が走る。
「神宮寺先生が喧嘩？もうそれ、彼女が悪いんじゃ…」
「浮気？」
「いやいや、釣り合わなかったからでしょ？」
「彼女、めんどくさい女だったんじゃない？先生を怒らせるんだから。わがままばっかりいったとか。じゃないとあの先生ですよ？」
やっぱり…私が釣り合わないからか…
先生は悪くないんだ
何も
ずっと引き止めてくれてたのに私が振りほどいた



『お互い少し頭を冷やしましょう』
って言われて無理やり離れただけ
じゃなきゃあのまま口論してた



「なんでわかってくれないの？」
「君が大切な気持ちがなぜ伝わらない。なぜ君は自分を貶める？」
「貶めてなんか居ない…本当のこと」
「…私はそんな自分を貶めるような君を愛せない」



ピキっと亀裂が入った気がした



口説かれて
同棲した



だけど新しい新居探さないとな





嫌われちゃったし……。



でも…あなたのこと好きなんだけどなぁ。