5日目
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9:30
ようやく点滴が終わり、注射針が外され、血止めのテープが張られた。
「歩ける?」
「うん。」
「ほら、今日も…キレイだよ」
「キレイ?」
「星空…。」
「あ…星空ね…。」
「ん?どうかした?やっぱりまだ気分が…」
「大丈夫、何でもない。早くいかないとご飯食べれないよ」
「そうだね…」
食堂につくと、ブン太とジャッカルが二人のもとにやってくる。
「おいおい、大丈夫かよ」
「うん。心配かけてごめん。」
「それは別にいいけど…な」
「あぁ…。大変な目にあったっていうし…」
「点滴もやったから、元気だよ」
このあと、遅くはなったが食事をとった。
いつもの食事よりおいしかったが
なんだか、少し物足りない味がした。
なぜかはわからなかった。でも、物足りなかった。
「幸村、そろそろ打ち上げ花火が始まるぞ」
ジャッカルが教えに来てくれた。
「あぁ、跡部が用意してくれたあれか。」
「花火?」
「なんでも、三尺玉っつー、でっけぇ花火まで用意してんだよ。」
「一尺が約30㎝だから、三尺玉は90㎝以上のもの?」
「そうなるな!めちゃくちゃでけぇ~と思うぜ!」
「そろそろ始まるよ」
ドンっと大きな音が鳴る
それとともに大きな花火が夜の暗さの中に生える。鮮やかな赤や黄色・ピンク・白など、よく生えていた。
中には、青い花火もあった。
青は花火ではとても出しにくい色で、かなり技術のいる色だと少し前にニュースでやっていた。
「うん、きれいだ」
「とってもきれい…」
「これが三尺玉か…確かに大きいな」
ドンっとまた大きな花火が上がった
「今のが最後だね」
「すごかったですねぇ~」
葵くんがそういった。
「おい!全員集まれ!期連写真を取るぞ!」
跡部が遠くから集合をかける。
全員で集合写真を撮った。
現像は後程、学校ごとに送り届けられるという話があった。
部屋に戻ろうとすると少し名残惜しそうに彼が手を掴んだ
「精市?」
「ごめん…。」
「え、構わないけど…」
「…お休み…。」
「うん、おやすみ。」
翌日、一週間前に乗った船が外に停泊していた。前日の夜、帰る予定の二人に話しかけられ、適当に言葉を返した。
何を話したかは覚えてない。
まぁそれはそう。壊滅的に興味がなかったからなんだけど…。
2人に呼び出された他校の生徒を見つめながら、吊り橋効果かな~っと丘の上から見つめていた。
その後2日間、みっちり合宿生活をおこなった。山側に言った人たちとも合流し、走り込みや、素振り、砂の上でテニスの打ち合いなどを行った。
特に大きなこともなくただ淡々と時間が過ぎていった。
「ねぇ…今日も君の話を聞かせてくれるかい?」
「うん。わかった。」
合宿最終日、夜も深まったころ、焚火の近くで、同じ空を見上げる。
「今日は、ライラ…琴座について。天頂辺りに明るく輝いている星がベガ。ベガは全天でも五番目に明るい星だよ。日本では織姫としても親しまれている。このベガがあるのが琴座で、白鳥座のすぐ近くにある。ほら、だから有名な夏の大三角形が…琴座・白鳥座・鷲座って繋がってる。で、本題ね。
ギリシャ神話では、オルフェウスが持っていた竪琴がモデルだと伝えられているの。
オルフェウスは、女神・カリオペとトラキア王・オイアゲロスとの間に生まれたけど、太陽神・アポロンの息子とも言われていることもある。其処ら辺はギリシャ神話だから、曖昧なのよね。でね、カリオペは芸術の女神でもあることから、オルフェウスは優れた奏者として成長する。
その才能は際立って優れ、芸術の守護神でもあるアポロンは、ひとつの琴を贈る。
オルフェウスがこの琴をとって演奏すると、森は静まり、動物たちも聞き入ったと言われる程。
やがて、オルフェウスは美しいニンフ・エウリディケと結婚し、幸せな日々を過ごした。だけど、それも長くは続かず、ある日、エウリディケは野で毒蛇にかまれ、亡くなってしまう。
オルフェウスは悲しみ嘆くばかりだけど、どうしてもエウリディケのことを諦める毛戸ができない。どうにか生き返らすことはできないかと強く思い、冥界へとさまよっていく。
冥界にはカロンという番人と、ケルベロスという番犬が立ち入るものを見張っている。ケロべロスは知っての通り、3つ首をもつ怪物で、とうてい敵うはずもない。
そこでオルフェウスは琴を取り出し、美しい音楽を奏でる。
琴から流れる調べはカロンとケルベロスを魅了し、その間にオルフェウスは冥界へと入っていくことができた。
やがて冥界の王…ハーデスの元へたどり着いたオルフェウスは、エウリディケを地上に戻してほしいと懇願する。
だけど、ハーデスはこの願いを聞き入れるわけにはいかない。それはそうでしょ?冥府の神なんだからさ。自分の国に来た人間を生き返らせろなんてわがままにもほどがあるからね。
だから、オルフェウスは再び琴を取り出し、願いを込めて演奏する。見事な音色は冥界の全てに響き渡り、全てのものが感動して聞いていた。
王妃・ペルセフォネはオルフェウスの思いを汲み、ハーデスにエウリディケを地上に戻してやるよう説得してくれるの。
補足として、ペルセフォネは、元は地上に住んでいて、ハーデスの為に冥界に連れてこられた女性よ。
で、ハーデスもようやく願いを聞き入れ、エウリディケを地上へ戻してやることにした。但し、地上に戻るまでは、決してエウリディケの顔を見ないことを、オルフェウスに約束させる。
オルフェウスはとても喜び、さっそくエウリディケを連れて地上へと向かう。
しばらく行くと、地上の光が僅かに見えてきた。あともう少しという喜びで、オルフェウスは、思わずエウリディケの方へ振り返えってしまった。
すると、たちまちの内にエウリディケの姿は消えてしまい、再び冥界へと連れ戻されてしまった。
驚いたオルフェウスは急いで取って返し、再びハーデスに願う。だけど、今度ばかりはプルトーンも願いに応じてくれない。
オルフェウスがいくら琴をとって奏でても、ハーデスは黙っているだけ。
やがて、願いが聞き入れられないことを知ったオルフェウスは地上へと戻り、二度と琴を奏でることはなかった。」
「それで、どうなったの?」
「そしてオルフェウスは…
トラキアの女性たちの祝宴に迷い込んでしまい、琴を奏でることを頼まれる。
すっかり気落ちしてしまっているオルフェウスは首を横に振るだけで、何度頼まれても琴を弾くことはなかった。
これに怒った女性たちは、石を投げて打ち殺し、オルフェウスは琴と一緒に川に捨てる。この琴は、やがて島に流れ着くが、島の人々や芸術の女神・ムーサイは、オルフェウスの死を憐れみ、せめていつも持っていた琴を夜空に上げたのだと伝えられている。
また、流れていた琴は、ひとりで美しい調べを奏でていたとも言われている…。」
「好きな人と一緒にいられないなら、大好きだったことも何の価値もなくなってしまうんだろうね。」
「きっと、オルフェウスも死んで冥界に行くんだから、エウリディケと冥界で会えただろうよ。」
彼はきっと、生きてる世界で一緒にたかっただけ。死んだら、冥界で一緒に入れるはず
「ねぇ…俺もさ」
「?」
「君とずっと居たいな」
「え…?」
すうっと息を吸い凛を見つめ、手を握る。
「ずっと言うのを迷っていたんだ。
この気持ちが迷い事かもって思ってしまったこともあった。だけどね。言わせて?
大好きだよ。ずっと…俺が入院していた時から。俺を支えてくれた君のことを愛してるんだ。」
幸村の手に水滴が落ちてきた。
生暖かい。
涙?
なんで…?
「あ、ごめんね…違うの…。精市が…好きって……言葉が信じられなくて…私だけの…片思いだって…思ってたから…。」
「凛……。」
「私も、精市の事すきだよ。ずっと昔から」
無事、二人は付き合うことができた
それをずっと陰から立海メンバーに見守られていたとは知らずに…
しかし、大きく何かが変わったわけではない。強いて言うならば、彼らの心が通じ合ったということだけ。
今までの距離感は何一つ変わりはしなかった。それは、立海のメンバーが想像していたとおりであり、柳のデータ通りであった。
8月某日、全国大会が本格的に始まり
順調にストレートで勝ち進む。
立海に戻ってきた後、一度、氷帝の部長が立海に現れた。ある技を完成させたと…。うちの副部長が相手をしていたが、精市に止められた。
―あのまま続けていたら、負けていたよー
そういっていた。
それは後程、氷の世界という技だと青学戦
で知ることとなった。
そして、名古屋聖徳中ではわざと2敗し、赤也を覚醒させた。
そのころに彼に言われた。
「俺の病気はまだ完全には治っていない。
だから、完全では戦えないと思う。だけど、俺は必ず勝つよ。約束する。」
「治ってないの?」
「あぁ…本気では戦えない。無理をするとどうなるか俺もわからないから、よくて7割ほどの力しか出せないと思う…だけど安心して、戦える身体だよ。それに、俺まで回ってくることはない。」
そう彼は笑ってくれた
だけど
彼は全国大会決勝
S1の試合にて、青学の一年生ルーキーに負けた
天衣無縫の極み
テニスを楽しむ力
彼は静かに笑った
そして
「俺には、テニスを楽しむことはできないみたいだよ。テニスは勝敗を決めるためのスポーツなんだから。だけど、キミに優勝と、俺の勝利を見せてあげられなくて…ごめんね。約束守れなくて」
「約束は守ってくれたよ」
「え?」
「入院の時に…絶対に全国大会は出るってどんな形でも、テニスをする姿を見せてくれるって、守ってくれた」
「凛…。でも、俺は君の好きな強い俺じゃない」
「強いよ…。ずっと。だから、否定しないで。私の大好きな、あなたを否定しないで。」
「ごめん。ありがとう。凛。絶対病気を治して、本領発揮した俺を見せてあげるから、その時まで待っててくれるかい?」
「うん…」
「ありがとう…」
そっと手を引き腰に手を回す
「え?」
「目をゆっくり閉じて?俺に身を任せて?」
そっと影を重ねた
これからもずっと共に
ようやく点滴が終わり、注射針が外され、血止めのテープが張られた。
「歩ける?」
「うん。」
「ほら、今日も…キレイだよ」
「キレイ?」
「星空…。」
「あ…星空ね…。」
「ん?どうかした?やっぱりまだ気分が…」
「大丈夫、何でもない。早くいかないとご飯食べれないよ」
「そうだね…」
食堂につくと、ブン太とジャッカルが二人のもとにやってくる。
「おいおい、大丈夫かよ」
「うん。心配かけてごめん。」
「それは別にいいけど…な」
「あぁ…。大変な目にあったっていうし…」
「点滴もやったから、元気だよ」
このあと、遅くはなったが食事をとった。
いつもの食事よりおいしかったが
なんだか、少し物足りない味がした。
なぜかはわからなかった。でも、物足りなかった。
「幸村、そろそろ打ち上げ花火が始まるぞ」
ジャッカルが教えに来てくれた。
「あぁ、跡部が用意してくれたあれか。」
「花火?」
「なんでも、三尺玉っつー、でっけぇ花火まで用意してんだよ。」
「一尺が約30㎝だから、三尺玉は90㎝以上のもの?」
「そうなるな!めちゃくちゃでけぇ~と思うぜ!」
「そろそろ始まるよ」
ドンっと大きな音が鳴る
それとともに大きな花火が夜の暗さの中に生える。鮮やかな赤や黄色・ピンク・白など、よく生えていた。
中には、青い花火もあった。
青は花火ではとても出しにくい色で、かなり技術のいる色だと少し前にニュースでやっていた。
「うん、きれいだ」
「とってもきれい…」
「これが三尺玉か…確かに大きいな」
ドンっとまた大きな花火が上がった
「今のが最後だね」
「すごかったですねぇ~」
葵くんがそういった。
「おい!全員集まれ!期連写真を取るぞ!」
跡部が遠くから集合をかける。
全員で集合写真を撮った。
現像は後程、学校ごとに送り届けられるという話があった。
部屋に戻ろうとすると少し名残惜しそうに彼が手を掴んだ
「精市?」
「ごめん…。」
「え、構わないけど…」
「…お休み…。」
「うん、おやすみ。」
翌日、一週間前に乗った船が外に停泊していた。前日の夜、帰る予定の二人に話しかけられ、適当に言葉を返した。
何を話したかは覚えてない。
まぁそれはそう。壊滅的に興味がなかったからなんだけど…。
2人に呼び出された他校の生徒を見つめながら、吊り橋効果かな~っと丘の上から見つめていた。
その後2日間、みっちり合宿生活をおこなった。山側に言った人たちとも合流し、走り込みや、素振り、砂の上でテニスの打ち合いなどを行った。
特に大きなこともなくただ淡々と時間が過ぎていった。
「ねぇ…今日も君の話を聞かせてくれるかい?」
「うん。わかった。」
合宿最終日、夜も深まったころ、焚火の近くで、同じ空を見上げる。
「今日は、ライラ…琴座について。天頂辺りに明るく輝いている星がベガ。ベガは全天でも五番目に明るい星だよ。日本では織姫としても親しまれている。このベガがあるのが琴座で、白鳥座のすぐ近くにある。ほら、だから有名な夏の大三角形が…琴座・白鳥座・鷲座って繋がってる。で、本題ね。
ギリシャ神話では、オルフェウスが持っていた竪琴がモデルだと伝えられているの。
オルフェウスは、女神・カリオペとトラキア王・オイアゲロスとの間に生まれたけど、太陽神・アポロンの息子とも言われていることもある。其処ら辺はギリシャ神話だから、曖昧なのよね。でね、カリオペは芸術の女神でもあることから、オルフェウスは優れた奏者として成長する。
その才能は際立って優れ、芸術の守護神でもあるアポロンは、ひとつの琴を贈る。
オルフェウスがこの琴をとって演奏すると、森は静まり、動物たちも聞き入ったと言われる程。
やがて、オルフェウスは美しいニンフ・エウリディケと結婚し、幸せな日々を過ごした。だけど、それも長くは続かず、ある日、エウリディケは野で毒蛇にかまれ、亡くなってしまう。
オルフェウスは悲しみ嘆くばかりだけど、どうしてもエウリディケのことを諦める毛戸ができない。どうにか生き返らすことはできないかと強く思い、冥界へとさまよっていく。
冥界にはカロンという番人と、ケルベロスという番犬が立ち入るものを見張っている。ケロべロスは知っての通り、3つ首をもつ怪物で、とうてい敵うはずもない。
そこでオルフェウスは琴を取り出し、美しい音楽を奏でる。
琴から流れる調べはカロンとケルベロスを魅了し、その間にオルフェウスは冥界へと入っていくことができた。
やがて冥界の王…ハーデスの元へたどり着いたオルフェウスは、エウリディケを地上に戻してほしいと懇願する。
だけど、ハーデスはこの願いを聞き入れるわけにはいかない。それはそうでしょ?冥府の神なんだからさ。自分の国に来た人間を生き返らせろなんてわがままにもほどがあるからね。
だから、オルフェウスは再び琴を取り出し、願いを込めて演奏する。見事な音色は冥界の全てに響き渡り、全てのものが感動して聞いていた。
王妃・ペルセフォネはオルフェウスの思いを汲み、ハーデスにエウリディケを地上に戻してやるよう説得してくれるの。
補足として、ペルセフォネは、元は地上に住んでいて、ハーデスの為に冥界に連れてこられた女性よ。
で、ハーデスもようやく願いを聞き入れ、エウリディケを地上へ戻してやることにした。但し、地上に戻るまでは、決してエウリディケの顔を見ないことを、オルフェウスに約束させる。
オルフェウスはとても喜び、さっそくエウリディケを連れて地上へと向かう。
しばらく行くと、地上の光が僅かに見えてきた。あともう少しという喜びで、オルフェウスは、思わずエウリディケの方へ振り返えってしまった。
すると、たちまちの内にエウリディケの姿は消えてしまい、再び冥界へと連れ戻されてしまった。
驚いたオルフェウスは急いで取って返し、再びハーデスに願う。だけど、今度ばかりはプルトーンも願いに応じてくれない。
オルフェウスがいくら琴をとって奏でても、ハーデスは黙っているだけ。
やがて、願いが聞き入れられないことを知ったオルフェウスは地上へと戻り、二度と琴を奏でることはなかった。」
「それで、どうなったの?」
「そしてオルフェウスは…
トラキアの女性たちの祝宴に迷い込んでしまい、琴を奏でることを頼まれる。
すっかり気落ちしてしまっているオルフェウスは首を横に振るだけで、何度頼まれても琴を弾くことはなかった。
これに怒った女性たちは、石を投げて打ち殺し、オルフェウスは琴と一緒に川に捨てる。この琴は、やがて島に流れ着くが、島の人々や芸術の女神・ムーサイは、オルフェウスの死を憐れみ、せめていつも持っていた琴を夜空に上げたのだと伝えられている。
また、流れていた琴は、ひとりで美しい調べを奏でていたとも言われている…。」
「好きな人と一緒にいられないなら、大好きだったことも何の価値もなくなってしまうんだろうね。」
「きっと、オルフェウスも死んで冥界に行くんだから、エウリディケと冥界で会えただろうよ。」
彼はきっと、生きてる世界で一緒にたかっただけ。死んだら、冥界で一緒に入れるはず
「ねぇ…俺もさ」
「?」
「君とずっと居たいな」
「え…?」
すうっと息を吸い凛を見つめ、手を握る。
「ずっと言うのを迷っていたんだ。
この気持ちが迷い事かもって思ってしまったこともあった。だけどね。言わせて?
大好きだよ。ずっと…俺が入院していた時から。俺を支えてくれた君のことを愛してるんだ。」
幸村の手に水滴が落ちてきた。
生暖かい。
涙?
なんで…?
「あ、ごめんね…違うの…。精市が…好きって……言葉が信じられなくて…私だけの…片思いだって…思ってたから…。」
「凛……。」
「私も、精市の事すきだよ。ずっと昔から」
無事、二人は付き合うことができた
それをずっと陰から立海メンバーに見守られていたとは知らずに…
しかし、大きく何かが変わったわけではない。強いて言うならば、彼らの心が通じ合ったということだけ。
今までの距離感は何一つ変わりはしなかった。それは、立海のメンバーが想像していたとおりであり、柳のデータ通りであった。
8月某日、全国大会が本格的に始まり
順調にストレートで勝ち進む。
立海に戻ってきた後、一度、氷帝の部長が立海に現れた。ある技を完成させたと…。うちの副部長が相手をしていたが、精市に止められた。
―あのまま続けていたら、負けていたよー
そういっていた。
それは後程、氷の世界という技だと青学戦
で知ることとなった。
そして、名古屋聖徳中ではわざと2敗し、赤也を覚醒させた。
そのころに彼に言われた。
「俺の病気はまだ完全には治っていない。
だから、完全では戦えないと思う。だけど、俺は必ず勝つよ。約束する。」
「治ってないの?」
「あぁ…本気では戦えない。無理をするとどうなるか俺もわからないから、よくて7割ほどの力しか出せないと思う…だけど安心して、戦える身体だよ。それに、俺まで回ってくることはない。」
そう彼は笑ってくれた
だけど
彼は全国大会決勝
S1の試合にて、青学の一年生ルーキーに負けた
天衣無縫の極み
テニスを楽しむ力
彼は静かに笑った
そして
「俺には、テニスを楽しむことはできないみたいだよ。テニスは勝敗を決めるためのスポーツなんだから。だけど、キミに優勝と、俺の勝利を見せてあげられなくて…ごめんね。約束守れなくて」
「約束は守ってくれたよ」
「え?」
「入院の時に…絶対に全国大会は出るってどんな形でも、テニスをする姿を見せてくれるって、守ってくれた」
「凛…。でも、俺は君の好きな強い俺じゃない」
「強いよ…。ずっと。だから、否定しないで。私の大好きな、あなたを否定しないで。」
「ごめん。ありがとう。凛。絶対病気を治して、本領発揮した俺を見せてあげるから、その時まで待っててくれるかい?」
「うん…」
「ありがとう…」
そっと手を引き腰に手を回す
「え?」
「目をゆっくり閉じて?俺に身を任せて?」
そっと影を重ねた
これからもずっと共に
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