5日目
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「なんだかやばいんじゃ…」
「かなり近いよ~」
「霧が深くてよく見えないが…」
「うわっ!」
「ひぇ…。」
マジで出た…
「な…何これ~…」
凛以上に呑気な感想をだす芥川をよそに逃げなければという考えがよぎる。
「しっ!静かに!皆、動いちゃだめだ!」
「恐竜…⁉」
「あぁ…ティラノサウルス・レックス…もっとも狂暴といわれている肉食恐竜だ。」
は??ティラノ???
「まずいよ…こんな近くに…」
「下手に動いちゃだめだ。刺激しない様に」
「そうはいっても…このままにらみ合いを続けるわけにもいかないぞ…」
「うん…ここは二手に分かれて撒くしかないな。」
「え?大丈夫かな」
「大丈夫じゃなくてやるしかないの。」
「女の子にそういわれちゃやるしかないよね。千石」
「わかったよ~」
「少なくとも、撹乱にはなるんじゃないかな?」
「そうだね…それじゃ、俺と芥川、それと千石は右に逃げる。」
「俺と天根、そして凛。君は左に逃げる。それでいいね?」
「うん…」
「それじゃ、全員一斉に…
今だ!」
一斉に走り出しよくわからずに走り出す
「凛、俺の手を放しちゃだめだよ」
「え?ぁ…」
考えるより先に走らされていた
走るのが嫌いだなとかそんな呑気なことを考える暇などない
「はぁ…はぁ…」
なぜ、無人島で走りまわさせ、
恐竜に合う羽目になるんだ?
恐竜は絶滅したはず。
コモドドラゴンじゃあるまいし、あいつらは2mちょっとくらいしかないけど、毒があるから危険なのは知ってる。それよりもはるかに大きいから…10m以上あったと思う。そもそも、ティラノサウルスなら、最大で13mだったとか…
って呑気に考えてないでどうするかを考えないと。
「大丈夫かい?」
「なんとか…大丈夫。」
「なんとか撒いたようだね。」
「アイツ、デカい割に足が遅かったですね。」
「ティラノサウルスは足が遅いって節、正しかったみたいだな。」
「他の人たちは大丈夫かな」
「あぁ、こっちを追いかけていたからね。無事に逃げおおせたと思うよ。」
そんなこと確認するほどの余裕はなかったが、彼が言うのならそうなのだろう。
「…何か聞こえる」
「ハハ…まさか。」
もうやめてくれという表情の凛
そもそも、彼女は驚かされるのが好きじゃない。心臓に悪いことはめっぽう嫌いなのだ。だから嫌なのだ。
「ティラノサウルスじゃない。それより小さい何かだ。」
足音がどんどん近づいてくる
先ほどよりは足音が小さいが確かに近づいてくる。集団で…。
「また、恐竜⁉」
「わからない。けど、早くここから立ち去ったほうが…」
「ひっ‼」
「鳥の化け物⁉」
「鳥⁉だとしたら最悪だ」
「まさか…」
最悪な名前がよぎる
ヴェロキラプトル
獰猛な肉食恐竜
その名が脳裏に浮かんだ
「やっぱり、こいつはヴェロキラプトル。小型だが、獰猛な肉食恐竜だ。」
精市も同じ名の恐竜をしゃべった
そしてこいつらの厄介なところは集団で狩りをすること。
「ヴェロキラプトル、あれって羽が生えてたんですか?」
「最新の研究だとそうらしいね」
「精市…」
「…囲まれたか」
「まずいな…こいつらはどう見てもティラノサウルスみたいに振り切るのは無理だ。」
「ねぇ…足跡聞こえない?」
それも、かなり大きい
さっき聞いた音と似てる
ドンっと頭上にティラノサウルスが現れる。
もう、声すら出なくなってきた
「ティラノサウルス」
「ヴェロキラプトルを食ってやがる…」
「大丈夫だよ。凛、絶対守るから…そんな泣きそうな顔しないで。」
「精市。」
「おい、二人とも」
「ごめん、天根。…チャンスだ。逃げるよ!」
「俺はあっちに逃げます!」
「わかった。凛、行くよ!」
「うん…」
走って走って走りまくった
もう…
「追いかけてきたやつはいないな」
「そう…だね…。ゴホッ…ゴホッ…」
「凛⁉大丈夫かい?」
まさか、ここで喘息の発作が来るなんて
それはそうか、こんなに走らせれば…
「一旦、隠れられそうなところに行こう」
「うん…」
咳込み、涙目になっていく凛
俺がしっかりしなくちゃいけない
俺が…今まで彼女に何をしてあげられた?
だったら、少しでも何かを…
隠れられそうなところに移動しなにも来ないことを確認する。
「ごめんね。水でもあれば少しは楽になるんだろうけど…」
「ありがと…」
「だけど、変だな。こんな小さな島にあんな恐竜がいたなら、五日とはいえ俺たちが見つけられないわけがない。それに、おかしな点はまだある。あの恐竜たちからはほとんど匂いがしない。」
「匂い…?」
「無理して話さなくていいよ。彼らは蛇のようなヤコブソン器官があったといわれていて…だとしたら、彼らは仲間を識別するためにかなりのにおいを出していたはずなんだ。」
蛇嫌いだから、わからないなっと回らない頭を働かせ、彼の話を聞く。
「そうだな…かなり突飛だけど、可能性はゼロじゃない。無理をさせてしまうかもしれないが、もう一度、戻ってみないか?」
「うん。わかった。」
「俺の想像通りなら、危険はないよ」
「精市の言ってることにかける」
「ありがとう。じゃぁ戻ろうか」
ゆっくりいこうっと、抱き上げられた―。
「やっぱり…」
地面に足を置き、ヴェロキラプトルをみる。
煙が出ている…。
「多分、バッテリー切れかな。」
「バッテリー?」
「俺もまさか、ここまで精巧なロボットが出てくるとまでは、予測していなかったから…さすがに驚いたけど」
「ロボット?」
じゃぁ、私たちはロボットに遊ばれてたってこと?
「うん。間違いないよ。……そうですよね?榊監督」
「榊…監督?」
「ほう、よく気が付いたな。幸村。流石は立海の部長。」
「どういうこと?」
「要するに、すべては芝居だったということだ。」
「まさか…船の件から…」
「船の事故・救命ボートがこの島にたどり着くこと、我々がお前たちと別れること。全て予め決められていた。」
じゃぁ私が走らされた意味は何?
「しかし、あの嵐だけは想定外だった。」
もう、あぁそうですかくらいにしか思えなくなってきた。
「それより、ほかの人たちは?」
「彼らなら、手厚く保護をしている。」
「それにしても、なんためにこんな大掛かりなロボットを?」
「ここは榊グループが手配したレジャー施設だ。」
レジャー施設…。
「あのロボットはアトラクションとして使う予定のものだ。お前たちがここに侵入してきたので、試運転もかねて投入してみた。安全性は保障する。」
「なるほど、確かに驚かすだけで襲い掛かっては来ませんでしたね。ですが、うちのマネが発作を起こしてしまったので…」
「わかっている。今は水分補給をさせよう。後程、点滴も行う予定だ。もともとこの計画は、お前たちを危機的状況に置き、その際の精神力を鍛えるためのものだった。跡部と手塚にも協力してもらってな。」
そういうと、榊監督の後ろにいた男たちが凛に水をくれた。榊グループのBGのようだ。
「やっぱりね」
「ともかく、ことが露見してしまった以上、跡部や手塚たちにも知らせておく必要があるな。合宿所まで行くぞ。」
21:00
食堂
「とまぁ、こういうことだったわけだ。わかったか?」
「なるほどね…何となく想像はしてはいましたが、やはりそうでしたか。」
「バレちまったものはしょうがねぇが、不足分をあと二日ここで行う。」
「なんだ?まだ、サバイバル生活を続け里のかよ」
「いいや、明日の朝、食料や練習道具を積んだ船が到着する。食料の心配をしなくていい。」
それからっと続ける跡部
「小日向・辻本…お前ら二人はその船で帰ろ。今まで手伝ってもらって悪かったな。」
「え?残っちゃ…」
「テニスの合宿で何をしようっていうんだ?あーん?」
「あー、そうですね。わかりました。」
「でだ。丸井。お前のところのマネージャーはどうする?病院に行ったほうがいいんじゃねぇのか?」
「そうかもしれないけどよ…多分、ここに残るっていうだろうよ。まぁ基本的にあいつは一日寝れば治るから。それに幸村君も、そういうだろうし…。」
「わかった。だが、無理はさせるなよ。」
「そんなこと俺らが一番わかっている」
一方そのころ
点滴を受け、病院よりも暇つぶしになるようなものはなく、ただ天井のシミを数えるくらいしかないとは思っていたが、まさか彼がずっと一緒にいるというとは思いもしなかった。
「なんだか騒がしいね」
「あっち行かなくていいの?」
「別にいいよ。跡部からも大体は聞いたし、あっちには丸井も、ジャッカルもいる。今はゆっくり休もう…。」
「私はマネージャーなのに迷惑かけて」
「気にしないで?そもそも、選手じゃないのに走らせた俺にも非がある。」
点滴の液がゆっくりと落ちていくー。
まだ、三分の一が残っている。
もう少しかかるか…。
「ねぇ。凛、帰る日に話したいことがあるんだ。」
「話したい事?」
「うん。」
「え、何?」
「今は、まだ言えないけど…もう迷いはないよ。」
「精市でも迷うことなんてあるの?」
「何を言ってるんだい?俺だって迷うよ」
「嘘だ~。」
せき込む回数が減ってきたのはなんとなくわかる。
少しずつ会話の回数も増え、笑顔も増えた。
まだドキドキする
吊り橋効果と錯覚してしまいそうなほどに
でも、俺は
今日は今日の、明日は明日の
君にそう…ずっと
恋をする
俺はずっとね。